第16話:暗闇の中で戦うってキツ過ぎるよな!?
「.......どうすっかな.....」
黒いモヤの中に入って少しだけ時間が経った。
それなのに、ちっとも目が慣れる気がしない。
ドットトッド
やっぱり止めて、遠回りした方が良かったよな......
ザッザッサッサ
でもしょうがない様な気もする。森だから遠回りして遭難したらシャレにならないし。
スッスッスッ
まぁ今の状況を考えると、もう遭難してるようなもんだけど。
キンキンッ
俺の横から鋭い金属音が鳴る。
おっ、ゴーレムの刺さってる武器に当たったか。
さっきから凄い頻度で投げてきてるけど、何を投げてるんだ?というかどうしてさっきから割と正確に投げてられてるんだ?
......距離も離せてるだろうし、とりあえず飛び道具の確認してみるか。
音と勘を頼りに、ゴーレムの近くを手探りで探すと、冷たく硬い感触を感じ、撫でる様にして形を確認する。
.......なんていうかな.......
持つところの上に丸い金属部分があって、そこから左に曲がっているギザギザの刃が付いてる、って感じか?
(なんでこんな物騒なもん投げて来るんだよ.....まぁ恐らくこの島支配してる魔王軍の奴なんだろうけど.....どうするかな.....一応持っておくか.....)
乗るやつで、“何か”から逃げてからそこそこ経ったが、やっぱり目は慣れないレベルの暗闇だし、なんか知らんがポンポンポンポン物騒なもん投げてるみたいだし、結構不味く無いか?
それに、さっきからずっと走ってるのに、一向にこの状況が終わる気配がない。
このまま逃げ切れれば良いけど、さっきからちょくちょく乗るやつに木が当たってるから、そろそろ本気でぶつかってヤバそうだし、方向も確認しないとな.....それに....
(そろそろ乗るやつの魔力が危なくなってきた....これ以上無闇に動かすと、戻れるかすら怪しくなるな.....じゃあ.....やるべき事は1つだな。)
魔力で動かすのをやめて、乗るやつの動きを止める。
動きが止まったのを確認し、1度乗ってるヤツから降りて、辺りに魔力を張り巡らせ、ついでにゴーレムにも魔力を補給する。
この暗闇は多分、追ってきている奴の魔力で創ったやつだ。
毒とかが無いのは、消費魔力の都合だろう。
このバカ範囲の事を考えると、害になるやつを付与していなくても魔力の消費はかなりイカレてるはず.....
(だとすると、元の魔力量は多くても、残ってるのはあまり多くない.....と考えるのが自然なんだけど.....さっき戦ったアイツの事を考えると、この島にはヤバいヤツがまだまだ残ってそうなんだよな.....)
考えれば考えるほどやる気が無くなり、危機感が強くなる。
俺の残り少ない魔力で暗闇の中の相手をどうにかして、戦闘不能にした後に、土を上げて辺りを見渡す。
この行為の難しさ.....やるしかない訳だけど、少し不安要素が多い......けど、
「今までやってこれたんだ。なんとかなるだろ。」
アラサーになってもこんなんやってるんだ。今更ウジウジすんなダサいぞ。自信を持て自信を、と自分を鼓舞し、1発キツいのをやるため魔力を良い感じに位置を調整する。
(
半径3メートル程度の棘付きの球体を完成させ、思いっきり辺りに転がしまくる。
グゴォングゴォン バキバキバキバキ
イカつい音が鳴り、思わず耳を塞ぐ。
(ひとまずこれで怯んでるかどうかだよな.....相手はこの暗闇の中でも普通に見えてるんだよな.....)
どうしようかと考える前に、やる事があったのを思い出して、乗るヤツに戻りら自分の周りに少し隙間のある壁で、自分を囲う。
(よし、これであのイカついの投げられてもある程度は大丈夫だな。あとはこのまま少し待って何も起こらなければ.....)
グゴリゴグリグリグングニル
(......チクショウが!)
イカつい音が背後から響き、すぐさま囲まれている所から出る。
(まずいまずいまずい.....マジでどうすっか!暗いどころじゃないから何も見えんし、このチクショウが!一旦考えるにしても......とりあえず乗るヤツのところのゴーレムを動かしてみるか。)
少しゴーレムの腕をブンブン動かすと、
ゴンッ
かすかにそんな音が鳴った。
(よし、魔力を補給させておいて正解だったな。)
多分音的に、ゴーレムの腕ブンブンが、相手の身体にあたったんだろう。
ゴーレムの重量を考えると、かなりのダメージが入ってるはず。
(これで少し戦況が良くなると良いけど....)
生憎、魔力はあまり残っていない。一旦ゴーレムの魔力を他にあてるか?
そんな事を考えていた次の瞬間。
俺は、目を思わず瞑ってしまった。
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