第7話:貴族のせいで人質を取られました!ファ◯キュー!


〈視点???〉


『魔王城休憩所』


ドゥルン


「よっと.....」


 調査団の視察を終え、異空間接続で魔王城に戻った。


「はぁ.....」


「おっ、戻ってきたのか。」


「お疲れ様ですセナツさん。」


 目の前に居る、緑髪の目元と髪以外隠している人が、セナツさん。魔王幹部なのに性別不詳で不意打ち特化職業アサシンのよく分からない人だ。


「うん。お疲れ。というかいつまでそんな頭しているんだ?」


「それもそうですね。あまりこの髪の色は好きじゃ無いですし。」


 髪色を紫から白色に変えた。


「やっぱりお前は白がしっくりくるな。」


「そうですね。じゃあ自分は魔王様に報告してくるので。」


「それについてなんだが、」


「?」


「魔王様は緊急会議に出ることになったから居ないぞ。多分明後日には戻ってくるからそれまでは代理のダラーさんに報告だ。」


「え。シャ◯カス酒カスドン底野郎さんですか?魔王さん頭イカれました?」


「言い過ぎだ。まぁ言いたい事はわかる。正気とは思えない程の事実だし。でもあの人幹部の中で1番ベテランだからな。言葉遣いには気をつけろよ。」


「.......とりあえず報告してきます。」


「頑張れ。」


 そう言われ自分は魔王の仕事場へ向かう。


『魔王の間』



 コンコン


「どうぞー」


「失礼します。」


 無駄に大きい扉を開け、魔王の間に入ると、ガリガリで髪はボサボサ.....というより傷んでいる様な、如何にも''廃人''という言葉が似合う、桃色髪のエルフが居た。


「ロウラ君か、要件はなんだい?」


「最近やって来た開拓団の調査結果ですが....」


 グビグビ


「人数は、冒険者20〜26人。開拓の発案者関係は10人程。冒険者は大抵はD〜C級程度でB級が少しであまり恐れる程ではありませんが....」


 グビグビ


「.......1人だけ明らかに強い者がいます。危惧するべきはその者位だと思われます。」


「なるほどなるほど。」グビグビ


「それから.....」


 クハァ−


「あの.....さっきから何飲んでるんですか....」


 呆れ気味にそう尋ねる。


「塩分補給と水分補給を兼ねているんだよ〜塩レモンって良いな〜」


「なるほど.....」

(この会話の噛み合わなさ....普通に飲んでるな.....魔王は何を考えているんだ.....)


「そういえばさ.....」



〈視点:アルロ〉


『噴水のある所』


「は?人質?」


 戦いが終わった後、なんやかんやあって、今は貴族のサンなんちゃらに手紙を渡して、貴族がそれを読み上げているのを俺とシルト達が聞いているのが今の状況。


「あぁ.....水色の髪の武闘家を人質に捕ったらしい.....」


「水色の髪の武闘家.....ロイネのことか.....」


 シルト達の絶望の1歩前くらいの表情を見るにどうやらロイネって子はシルト達の仲間っぽい。


(そういえばそんな子居たな〜初日に会ったけど、会っただけじゃ覚えないよな人間。)


「返して欲しければ、責任者共々魔王城に来い.....期限はこの手紙を受け取ってから3日だ....話したい事が沢山ある.....場所は地図に記した.....だそうだ.....」


 貴族も絶望してる.....


「はぁ.....で、どうする?もし行かなかったとしても普通に攻め込んでくると思うぞ。」


「..........」


 何このお通夜みたいな雰囲気.....思い出したくないこの雰囲気。周りは泣いてるのに自分達が理解出来ないこの温度差.....やめて欲しいんですけど。


「えっと......話を進めるけど誰が行く?責任者限定だからあまり大人数で行こうものならまとめてぶっ殺されるし、かと言って馬鹿正直に責任者だけで行ったらお前ら不平等条約結ぶだろうし.....ここは少数精鋭で行った方が良いな。」


 俺が説明と提案をしている間。コイツらはずっと黙っている。だからどんどん進める。


「不本意だが、俺と貴族のお前で魔王城に交渉しに行くのが1番良いだろう。はっきり言って他の奴らはお荷物になりかねないし。」


「.......俺達も行かせてくれ.......」


 今まで黙っていたシルトがそう呟いた。


「え?今まで黙っておいて?」


 急にそんなこと言うからめっちゃ辛辣に言ってしまった。というかお荷物になりかねないのところ聞いてた?


「すまない.....少しばかりショックが大きくて......それに........仲間を人質に取られて黙っている程俺達は落ちぶれていない。」


「そのセリフを仲間にも言わせろよ。」


 そう.....シルトは俺達とは言っているものの、後ろの奴らは何も言っていないのだ。ただただ怯えているだけ。何が勇者パーティじゃぬるぬる射◯パーティーの間違いだろ。


「申し訳ないが、それについてはあまり触れないで欲しい。俺達は冒険者になって数ヶ月と日が浅い。その分困難に当たったことは少ないし未熟者だ。だからすぐに行動不能になる事が多い。厚かましいかもしれないが、多めに見てやって欲しい。」


 想像以上にまともで真剣な答えが返って来た。欲をいえば、そんなの知らないからさっさと切り替えろと言いたいところではあるが、こういうことを正直に言えるのは将来大物になるか?


「そうか。じゃあまず作戦.....というかどういう役割にするか話し合った方が良いな。貴族。お前の屋敷で会議したいんだがいいか?」


「あぁ.....構わない.....」


「よし、じゃあ案内してくれ。出来る限り早く。」


 俺は貴族を急かす。魔王に会うんだ、出来る限りの対策をしないと十中八九死ぬ。


 それに.....いつまでも勇者パーティに居た頃のテンションでいちゃまずい。そりゃあまだ数日しか経ってないけど、イキッたり味方にある程度任せて大きく攻めたりは出来なくなるかもしれない.....切り替えていこう.....



〈視点:魔族〉


「なぁるほど〜人質は反抗的なんだぁね。まぁ無気力症候群より全然良い。助けに来てくれるって信頼が出来てる証拠だ。」


「はい。それと.......」


「?」


「余計かもしれませんが一応魔王城内の雰囲気を暗くおぞましい雰囲気にしておいた方が良いと思います。その方があちらは所詮貴族の御坊ちゃまでしょうから精神面に圧をかける事ができて有利に進めるかと。」


「良いアイデアだぁね。とりあえずそっちで色々自由にやって良いよ。必要な物はコッチで手配するかぁらねぇ。」


「かしこまりました。では自分はこれで。」


 そう言い魔王の間から退出した。


 三日以内.....アイツも来るだろうか.....来るだろうな.....嫌な予感がする.....何か大きな物が.....


「はぁ.....」


 考える事が多くて疲れる......今日は少し仮眠を取ってその後は......いつも通り書庫にでも行くか.......




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