憑かれてるから疲れてる
「なるほど、厨二病ってやつを悪い方にこじらせて引きずっちゃったんだね」
「うるさいな、まぁそんなこんなあって俺の今が形成されてるわけだ。」
「でも光この前は守ってくれたじゃん。光の今は変化してるんだよ」
「あれは流れっつーか、まぁ当然のことだからな」
「物語のヒーローもいうじゃん。『当然のことをしたまでだ』って、もしかしたら光も地味な人生の主人公なのかもよ?」
「なんだそれ」
そう軽く笑いながら手元の計算機でぽちぽちと数字を打ち込む。これは意味があるのだろうか、まぁ売り上げ予想をして適当によくわかんない計算でノルマを出す。
正直目と指が過労でヒィヒィ言いそうだ。
「まぁ色々なパターンがあるってことだよ」
「全てを知ってるみたいな言い方だな、まるで神様みたいだ」
「神様ではないけどね」
そうまた笑顔をちらりと顔のそばに覗かせて怜は言う。
「ま、怜の言う通りならいいけどな、あー疲れた。肩が重い……」
「あ、あたしが肩掴んでたからだわ。あはは」
怜は肩に手を置いてもたれかかっていた。幽霊のくせにそういう質量は感じる。なんとも曖昧なもんだ。
「だからより疲れたんだ。てかお前とあってから毎日疲れてるけど」
「あはは、そういえば疲れるの語源って幽霊に『憑かれる』なんだって。知ってた?」
「ダジャレかよ。なんでそんなことしってんだよ」
「え? それはー、その……君のその、賢いフォンっていうか、スマートな電話っていうか……見てたら操作覚えたからいろいろ、ね?」
嘘だろ、幽霊にも反応するのはスマートすぎる。
俺は文明の流れを感じながらびっくりと怒りが湧き上がる。
「ね? じゃねえよ! 変なの見てないだろうな」
入ってないけど見られるとなると途端に焦る。
基本的に他人のスマホを覗くのはマナー違反だ。
「すごいねー。あたし買ってもらう前に死んじゃったから知らなかったけど、これは楽しいし凄い!」
「……何見たかは考えないようにしておく。ふわぁ、なんか眠くなってきた。目も疲れたし一時間したら起こしてくれ」
「え? ちょっ」
「憑かれてるんだから仕方ないよな?」
「う、まぁいいや。このあいだのお礼、ゆっくり寝たまえ」
話してる途中で気づいたが教室には誰もいなくなっていた。
多分本格的に設営に向かったんだろう。モブには目もくれず。
ただそれを俺は当たり前のように納得して、自分に言い聞かせ。静かな教室でそのまま目を瞑り、俺は一時の休憩に入った。
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