第2話

秋、太陽の日差しが夏より少し低くなって、朝なのに朝な気がしなくて寝坊した。少し遅い朝食を食べて9:37くらい。

寝坊しても、あまり気にすることはない。なぜなら、用事はないからだ、周りの人は学校だの仕事だの忙しそうだが、僕は違う。長い時間がある。

気楽でいい。

このままこれが続けばいいと思う。

まあ、そうはいかないのを僕は知ってる。

社会が悪い。こんな社会にした偉い人が悪い。

本当は僕だって、何者かになれたんだ。だけどこんな社会で生きていくのは嫌だから何者にもならない道を選んだ。

そうは言っても、時々嫌になることはある。呼吸をすること、他人の笑顔を笑い声を聞くこと、人生が。


この道を選ばなかったらきっと違う人生、テレビで笑ってる奴らみたいになれただろうか。


引き返せない、格好悪い。だからこのまま。変わらず何も。


秋の日に鬱々とする。

秋が悪いなと思いながら、外へ出てみる。

晴れてる。だから公園に向かう道に人が多い。

だから公園にも人が多いのだけど、こんな日がこれじゃあ台無し。


いつもは通らない裏道、木々が少し多い舗装された道。

ここがいい。秋が堪能できて、風が気持ちよくて、生きるっていいなって思える。


駅前まで行くと学生がたくさんいる。今日に限ってどうして。

急いできた道を引き返す。

いいことがあって嫌なことがある。これが繰り返されて、憂鬱が溜まった家、部屋に戻った。

片付けは必要だよ。だけどできない。

テレビをつけて見て、ゲームをつけて見て、電源を落として見た。


他の人の幸せ。憎く感じる。

けど、羨ましい。

僕も欲しい。


部屋に今日も一人僕がいた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

秋の日 冷凍氷菓 @kuran_otori

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る