第2話
私は学園に入ってからというもの勉強はそっちのけで男あさりを始めました。狙うは次男・三男です。もちろんお家柄よし、器量よし、性格よし、頭よしを誰よりも早く見つけ出しアプローチをしなければ、いい物件は即座に完売してしまいます。
しかし、あからさまにしていては気分が乗らないでしょう。なにげなく近づきお家の事をそれとなく聞くのがマナーです。それは男性たちも心経ている事です。しかし、女性から話しかけてはいけません。まず男性が女性に話しかけ徐々に仲良くしていきます。長男は婚約者いる場合が多いので、声を掛けて来るのはだいたい次男からの男性です。それも女性側はわかっている事なので女性から長男であるろう男性に声を掛けることはしません。時間の無駄ですから。
最初はもちろん私も声を掛けてくれる男性と話をしていました。素敵な男性ばかりでウキウキしていたものです。
その中でもっとも見栄え良く、自分の事を思ってくれる方との縁を望んだのです。結婚するなら自分の好きな方としたいでしょう?そして親の意向にも繋がるのなら言う事なしです。
しかし、私は学園内の噴水広場でユリウスと出会ってしまったのです。
最初は階級があまりに違うので眼中になかったのですが、誘われるのだから仕方なしと自分に言い訳をしてユリウスと会っていました。
ユリウスは身分を隠してハーゲン子爵の息子だと言うことで学園に入学していました。父にも手紙を送り、ユリウスの事を確認したのです。過去に姉たちもそんなことをしていたからです。婿として合格なのかという事をです。
そして話しかけてくる男は婚約者なしだという常識が前提です。父はユリウスがこの国の王子だと言うことも王太子だという事も何も言っていませんでした。でも知っていたのでしょう。知らなかったのは私だけ、馬鹿なのは私だけだったようです。
私はユリウスから話しかけられると嬉しくなり誘われるまま付いていきました。そして私は父からのお許しもあってユリウスにアプローチを仕掛けた。もちろんすんなりうまく行き、心の中では「ユリウス、ちょろ…」なんて思っていた事もありました。
「これで私も姉たちのように幸せまっしぐらだ」と思っていました。私にとっては姉たちが連れてきた婿殿達よりもちょっと地位が上の方、きっと父の商売にもいい影響が出るお方だと思っていたのです。
お相手の方がこの国の王子様で王太子だと知っていたらアプローチなんてしなかった。王子様は婚約者がいようがいまいが好きな女を手に入れる事が出来るようです。初めて知りましたよ、そんな事。
私は第二夫人とか第三夫人とかでいいのですが、ユリウスが私を王妃にしたいと言い出しているとかで、冗談じゃない。私に王妃様なんて務まるなんて思ってもないのです。
父よ、せめて王子ってことぐらい教えてほしかった。
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