第5話 委員会
委員会で集まると、森川はまだ来ていなかった。来たら隣においでって手招きするつもりで一番後ろに座った。来た!森川だ。
おいでと手招きしたが気がつかなかったのか違う席に座ってしまった。
「小塚君。ここいい?」と知らない女子が隣に座ってしまった。断るわけにも行かず仕方なく「いいよ」と言ってしまった。…何だよ。何で気がつかないんだよ。
「ねえ小塚君。一緒に当番やろうよ」誰だか知らない、隣の女子が言う。
「あ、俺、部活で一緒の森川とやるつもりだから、ごめんね。違う人と組んで。」
「え、あ、そうなの。うん。わかった。」
森川は部活では俺とよく話すくせに、ここでは全くこちらを見ない…何だよ。知らんぷりかよ。
黒板に当番をやる曜日を自由に埋めていいと言われたので森川が描くまで待って後から行って同じ日に名前を書いた。森川は下を向いて何かをやっていて見ていなかったみたいだ。本当、冷たいな。
小塚君と同じ図書委員なのはすごく嬉しかったが森川優花は困っていた。
小塚君は女子の中で意外に人気があって自分のクラスにも好きだと言っている女子がいた。
同じ部活なので色々聞かれ、本当ほ自分も好きだったが、とても敵わないぐらいの可愛い子が好きって言っているので、自分は無理だと思い気持ちを閉じ込めた。
話をしたいが、さっきも小塚君に話しかけている女子もいたぐらいだから私が話しかけたら絶対敵意を持たれると思い、なるべく知らないフリをした。でも黒板の隣同士に名前を書く姿を見て、嬉しすぎて笑顔になってしまった。下を向いてニヤッとして自分でも気持ち悪かった。
一緒に当番できるんだ。嬉しい。
部活で森川は普通だった。でも何となく委員会の集まりで何で素っ気なかったか聞けずにいた。
当番当日、この前全然見てくれなかった事もあり、本当は誘って行こうと思っていたがそれはせず、図書室へ直接向かった。
図書室に着くともう森川は座っていた。
「あ、小塚君。今日はよろしくね。」
あれ?今日は柔らかい感じだ。
「あ、うん。」
あまり人も来ないので作業をしながら小さな声で話しかけた。
「ねえ、委員会の当番決めの時なんで無視したの?」
「無視!無視なんてしてないよ。」
「だって、全然こっち見なかったじゃん。」
「あ、それはちょっと具合悪かったから。」
「そうだったの?俺てっきり無視されているのかと思った。」
「そんな事しないよ。そう見えたのならごめんね。」
「いいよ。安心した。」
その後部活があったけど具合なんて悪そうじゃなかったけどな。
「これ借りたいんですが。」
小塚君の前に女子が立っていた。同じクラスの小塚君の事が好きな子だ。
「はい、ちょっと待ってて。」
小塚君が対応している。貸し出し印を押し差し出した。小塚君の手をわざと触ったのがわかった。
「あ、ごめんなさい。」
「別に大丈夫だよ。この本面白いよね。」
「知ってるの!じゃあ読むの楽しみ。」
楽しそうな会話が続くと胸が苦しくなる。思わず席を立ち上がり「私返却済みの本並べてくる」と言ってその場を離れた。
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