閑話 一家団欒キャンプwith 二条家 後編

僕が目を覚ました時、既に日が暮れかかっていた。


傍には綾ちゃんが居て、僕が起きた瞬間、泣き始めるのだからとても驚いた。

そうだ…僕はあの時、何とかして綾ちゃんからあの腕たちを引き離そうと…。


そうこうしていると綾ちゃんがお姉ちゃんを呼んできてしまった。


「ショウ!良かった…」


そう言って抱き着いてくるお姉ちゃんは震えていた。

僕はお姉ちゃんの背中に手を伸ばし、抱きしめ返す。


「昇太。」


テントの外からお父さんがこっちに来いと、合図している。


僕はお姉ちゃんをそっと離して、お父さんの方へ行こうとするが、お姉ちゃんは手を強く握り締める。


たぶん、不安なんだろうな…。


僕はお姉ちゃんの手を振り払うことなく、一緒にお父さんの方へ向かう。


「……おいで。」


そういって隣においてある椅子をポンポンと叩くお父さん。


僕とお姉ちゃんが椅子に座るとお父さんはゆっくりと口を開いた。


「二人には、怖い思いをさせたな…。」


項垂れながらお父さんはそう呟いた。


「俺は…弱い。あの日、お前達を、この家を守ると誓ったはずなのに…。」


「そんな事ないよ。」


僕は反射的にそう言った。

お父さんは驚いたように目を大きく開いたが、その後、ゆっくりと目を細めた。


「そうか…。」


そう言うとお父さんは優しい手付きで僕達を撫でる。


少しの間そうしていると玄夜さんがやって来て、僕達に焼き上がったお肉を渡してくれた。


想像を超える肉の柔らかさに驚いていると、お母さんと夕夏もこっちやって来た。


夕夏は肉には目もくれず、夢中で空を見上げていた。


つられて僕も空を見ると、そこには満天の星空が広がっていた。


天の川や夏の大三角、様々な星が僕たち家族を照らしていた。

その時、父さんがふと呟いた。


「昇太、この星空のように世界は無限の可能性に満ちている。俺は、皆の…家族の未来がとても楽しみだよ。」


そう言って、小さく笑う父さんの姿が僕の目に強く焼き付いた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



子供たちが眠るテントで、綾は昼間の出来事が頭の中に残り、どうしても眠ることが出来なかった。


「ショウ…起きてる?」


綾は隣で寝ている幼馴染の肩をそっと揺すりながら、声をかける。


「……んぅ?どうしたの…?」


寝つきかけていた昇太は目を擦りながら、綾の方を向く。

綾は少し目を逸らしながら昇太へと問いかける。


「ショウ…どうしてあの時、私を置いて行ったの?」


昇太は綾の表情から強い不安を感じていることを察した。


「うーん…あの時はあれが僕の事を狙ってるってたし、綾ちゃんが無事だったら、それで良いかなっ「良い訳ないでしょ!」て…思ったんだけどね。」


綾の目には涙が溜まっていた。


「私は、ショウが居なくなっちゃうくらいなら、一緒に付いて行くもん!」


昇太の胸に顔をうずめながら綾は思いのたけを吐露する。


「何で!何で…私は…ショウと一緒なら、どんな所でも怖くないのに…。」


昇太は号泣する綾を見るのは珍しく、どうすれば良いのか分からず、取り敢えず背中を優しく擦るのだった。


「…すっ…ん…私、絶対に強くなるから、ショウが、私を置いて行かないくらい…強くなるから…。」


昇太はその言葉にとても驚いて、優しく笑った。


「そっか、それじゃあ、僕も綾ちゃんに置いて行かれないくらい強くなんなくちゃね。」


二人は指切りげんまんをした。互いに傍に居る為に。


『指切りげんまん嘘ついたらはりせんぼんのーます。指切った』


二人は互いに寄り添いながら、一緒に寝るのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――私は弱い。


深夜、綾ちゃんとショウが眠りに着いてから、私は目を覚ました。


己の中で燻ぶる熱を吐き出すように外に出て、空を見上げた。


あの時、お父さんがあの場に居なければ、私たちは無事では済まなかったと思う。


自分は強いと思っていた。

何が来ても大切な物が守れると思っていた。


だがっ!


何も守れなかったっ!


あの時、あの場所で、私は落下するショウを守ることで精一杯だった。

もし、綾ちゃんにあの腕が伸びていたら…。


強く握りしめた拳から血が流れる。

すぐさまそこに炎が集まり、傷が無くなる。


今はそれがとても疎ましかった。


「強くなろう」


私は私に誓う。


家族を、大切な人を守れるよう、私は強くなる。

ここから先、私は何にも負けない。


二人を起こさないよう、私はこっそりテントに戻るのだった。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――補足コーナー&キャラクターステータス(星巳家)


・二条綾について…この日から昇太の事を本格的に意識し始めた。自覚が無いだけで、昇太に対してかなり強い思いを抱いている。今でも、その思いは強く燃えている。


・星巳昇太について…未だに恋心について良く分かっていない少年。

一時は彼女に置いて行かれていたけれど、今はかなり近く間で来ている。


・星巳日葵について…無敗を貫くことを誓った少女。

この日から現在に至るまで、一度も完全な敗北をしていない。


・二条家から見た二人…「何時かはくっつくんじゃないかしら?」

「昇太君なら安心だしね。」 


・星巳家から見た二人…「正直、家の子が断る未来が見えない…。」 

「唯一の懸念点は日葵が二人に付いて行く可能性があると言う事くらいかな…。」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

因みに二人とも最新の状態です。


・星巳 灯   42歳


力 ― 敏捷 ― 耐久 ― 器用 ― 魔力 ― 知力 ― 


〈スキル〉


〈ユニークスキル〉

【×××】

・封印状態



・星巳? 将斗?   ―――?



力 ××?? ビンショウ ?+‼× 体キュ= ======×××



〈×××〉


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超大器晩成型のダンジョン攻略 みたらし @TaTTaramiTarashi

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