第一章 エピローグ

目が覚めたら知ってる天井だった。


何度も遊びに来たこの家にケガ人として運ばれる日が来るとは思わなかった。


隣に敷いてある布団にはぐっすり眠っている夕夏が居た。


夕夏を起こさないように音を立てないようにゆっくりと立ち上がる。


「……―いっ!」


突然体を襲う筋肉痛。

思わず声が出てしまうが、何とか押し込む。


―――夕夏は……まだ寝てるな。


そのままそろり…そろり…と歩き、扉を目指す。


退室しようと、ドアノブを回す。


バキッ、と言う音共にドアノブが取れた。


―――――ドアノブが取れたっ!?


―――え、え?何で?嘘?え?老朽化?そんな訳ない。


兎に角、もう一回ドアノブが嵌るか試すしかない。


そうしてドアノブを押し込んだ瞬間、向こう側のドアノブが吹き飛んだ。


「何でっ!」


―――そりゃそうだ、繋がってるんだもん。じゃないよ!


騒ぎに気付いたのか、誰かがやって来た。


「何か凄い音したけど…って何よ、これ…。」


綾だ、取り敢えず事情を説明しよう。


「すまない、ドアノブを回したら、ドアノブが取れてしまって…直そうとしたら、もっと酷いことに…。」


そう言うと綾は小さく溜息を吐いた。見えないはずなのに、綾の表情は何となく分かった。


「取り敢えず、お父さん呼んでくるから、ジッとしてて。」


「はい……。」


僕はドアから少し離れたところで正座して待つのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「うーん、流石にこれはおかしいね…。」


あの後、ドアノブの老朽化は確認されず、結局、僕の力が原因ということが分かった。


その為に、どれくらい力が強くなったのか今、確認しているのだが…。


「どうしてこうなった…。」


僕の右手の中には元々リンゴがあったはず。

なら何で僕の手の中には種しか残ってないんだ…。


百合さんは弾け飛んだリンゴの残骸を拾い、綾は夕夏と遊んでいる。

そんな中、さっきまで黙っていた玄哉さんが口を開いた。


「……一度病院に行ってみよう。もしかしたら魔力症かもしれない。」


玄哉さんがそう言うと、さっきまで夕夏と遊んでいた綾が勢いよく立ち上がった。


「…お父さん、変な冗談は辞めて。」


「俺だってこんなことは言いたくない、けど他に理由が説明できない…。」


「お兄ちゃん…そんな…嫌だよ…。」


リビングに重苦しい空気が流れる中、部屋の中に乾いた音が響いた。


「はいはい、兎に角、行ってみないと分かんないんだから、行ってみましょう?嘆くのはその後で良いんじゃない?」


そうだ、まだ分からない。


僕と夕夏、それと二条家の皆で病院へと向かうのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「えー…結果、異状なしです。」


その言葉を聞き、僕達はほっと胸を撫で下ろした。


―――良かった、でも、そうなるといよいよ原因が分からない。


僕達が首を傾げていると、お医者さんが僕たちにこう言った。


「もしかしたら、星巳くん、【大器晩成】とか、それに近いスキルを持ってたりするかな?」


「え…は、はい。持ってますけど…」


そう言うと、お医者さんは大きく頷いた。


「やっぱり、そう言うスキルを持った冒険者さんに多いんですけど、レベルが上がって急激に上昇したステータスに驚いて、魔力症だと思っちゃう人が居るんですよ。」


「…あ、そう言えば」


確かに、オークを倒した後、体が軽くなったような…。


「兎に角、後で冒険者協会の方で、鑑定してきてくださいね。」


「ありがとうございました。」


そう言って、僕たちは病室を後にした。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



そして、冒険者協会、現在は鑑定結果を待っているのだが…。


「……皆、落ち着いてよ…。」


二条家の皆がソワソワしていて、何だかこっちも落ち着かない。


「そ、そんなこと無いわよ。至って普通よ、普通。」


綾がそう言うと、玄哉さんと百合さんは何度も首肯する。


―――何だかなぁ…。


そうこうしている内に結果が出たようだ。

機械から出て来た紙を取る。


「――――すぅ……はぁ―――。良し。」


大きく深呼吸をしていざ!



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 星巳 昇太  lv2 NEXT240000pt  14歳


力 440 敏捷 420 耐久 390 器用 400 魔力 350 知力 380


〈スキル〉

【大器晩成】

・レベルアップに必要なpt量を増加。 


【風魔法】…lv7


【剣術】…lv9


【槍術】…lv4


【武術】…lv5


盾術じゅんじゅつ】…lv5


【雷魔法】…lv2


〈ユニークスキル〉

【無窮】

・レベルアップに必要なpt量を超増加。

・―――――の―に――する―――――上げる。

【アイテムボックス・中】

・1000㎥程の空間にアイテムを保管することが可能。


【登龍門】

・己が超えるべき試練が来た時、ステータス大幅増加と試練を超えた時、――――――――――。


【×××の××】

・―――に―――――。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「え?」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・補足コーナー


・二条綾について…今話にて怒るに怒れなかった人。

実は、玄哉が家に昇太を連れ帰った時、心配過ぎて同じ部屋で寝ようとしたが、流石に止められて、渋々諦めた。


・星巳昇太について…圧倒的衝撃、今度は240000ptですかぁ?


・昇太のスキルについて…昇太視点でもバグっています。因みに、詳細鑑定でも読めない奴は読めません。


・前話のスクロール…まだ使われずにアイテムボックス内で眠っています。

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