12ページ 義兄妹って

 悠人は真剣に告げた。

「悠人……」

 母親は泣きそうになりながら、悠人の手を握り、父親は涙を堪える。

 二人の様子を見ていると、悠人の心の中に罪悪感が生まれる。

 自分は今まで何をしていたのだろう。

 妹のことを避けてばかりで、傷つけてばかりいた。

 何も言わずに、ただ我慢して、自分の感情を押し殺していた妹に対して、俺は何をしてきたのだろうか。

 こんなにいい子が、何故、自分なんかと一緒に居るのか。

どうして自分を慕ってくれるのか。

 悠人はずっと疑問だった。

 だが、今なら分かる気がする。

 悠人は両親に向き直ると、改めてお願いをする。

「俺を本当の家族にして下さい」

 と。

 父親は力強く、悠人の手を握った。

 そして、悠人を抱きしめた。

 母親も悠人の肩に手を置く。

「ダメだよ」

 未歩は三人に向かって言った。三人とも未歩の方を振り向く。

 三人の目に映るのは、少し怒った顔をした未歩の姿だった。

「ど、どうした未歩。悠人が、お前の本当のお兄ちゃんになるんだぞ」

 父親は慌てる。

 母親は困惑した顔で未歩を見つめていた。

 悠人は何かを言おうとしたが、言葉が出なかった。

 未歩は首を横に振る。

 それから、はっきりと口に出した。

「お父さん、お母さん。義兄妹って結婚できるんでしょ。私、将来お兄ちゃんの姓になりたいな」

 と、恥じらう。

 悠人は目を大きく見開く。

 両親は、唖然とした表情を浮かべた。

(近親者間の婚姻の禁止)

 第734条 直系血族又は3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。

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