11ページ 病院のベッド
目が覚めると悠人は、病院のベッドの上に寝かされていた。
目の前には父親と母親、未歩が居た。
未歩は心配そうな顔をし、両親は申し訳無さそうな顔をしている。
「すまん悠人」
父親は頭を下げた。
「ごめんね、悠人。早とちりしちゃった」
母親は十代の少女が使うような声色で続けた。
「母さん最初から信じてたのよ。悠人が変態じゃないって」
両手を肘の先まで合わせ、母親は許しを乞う。
しかし、悠人は思う。
信じるとかじゃなくて、まず話を聞いて欲しかった。
でも、自分にも悪い所があった。そんな事を口に出す訳にいかないので、黙っていた。
父親は謝る。
お前の気持ちも事情も知らず、卍固めからコブラツイストに移行し、スコーピオンデスロックに入ったと。
「俺を殺す気かよ」
悠人は思わず突っ込むと同時に、意識を失っていて良かったと思った。
「さすがにアタシも、そこでマズイと思ったわよ。止めに入らなかったら、最後にツームストンパイルドライバー が入っていたんだから」
引きつった笑いを母親はし、自己弁護をした。
「ツームストン(墓石)だけに、墓ん中に送る気だったか」
流石に最後の技だけは、悠人は本気で死ぬと思った。
「凄いぞ悠人。英語の勉強はバッチリだな」
「ホント。退院したら悠人の好きな、お寿司食べに行こっか」
両親は悠人を褒めた。
「最初に母さんが口火を切ったけどな」
悠人も苦笑しながら返す。
その後二人は反省の色を見せる。
未歩の方を見る。
未歩も、二人に釣られて悠人を見た。
悠人と視線が合うと、未歩は笑顔を見せた。
悠人は、その顔を見て安心した。
「父さん、母さん。俺、姓を変えるよ。綾瀬になって本当の家族になりたい」
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