第4話 グイグイくる近藤さん

学校は静寂に包まれており、少しばかりか不気味であった。早く来すぎなのが悪いのだが...


「...ねえ、こんなに学校静かだったっけ?」

「確かに静かすぎだよね。休みだったりして...」

「でも、校門があいていたから、休みではないと思うよ。」


ガタタッ...!!と音がした。もしかしたら誰かいるのかもしれない。ッ!?


「うお!?って近藤さん?」

「ごめん...怖くて...」

「こういうの苦手だったんだ...」

「意外?かなかな昔から怖いのが苦手で...」

「そうなんだ...でも大丈夫今はひとりじゃないから。」

「うん...ありがとうこーくん...あのさ...手...繋いでもいい?」

「えっ!?あ、あうん、つなごうか...」

「ありがと!こーくん!」


近藤さんの手のぬくもりが丁度いいくらいの温かさで安心する。なんか、昔を思い出す。確か、一緒に遊んでいた子も怖いのが苦手だった気がする。近藤さんも何故かその子の面影があるように感じる、これは感だけど。


「えへへ...こーくんと手を繋いじゃった...!...ふふ...!」

「大丈夫?怖くないか?」

「うん、こーくんがいるか怖くないよ!」


ッ!?


「ねえ、近藤さん。」

「ん?どうしたの?こーくん?」

「もしかして、近藤さんと昔に会った事ある?」

「ッ!...そうかな?会った気がしないけど...」

「そっか気の所為だったか...」


?うーん自分では昔あった気がするけど近藤さんが会ったことないならそうなのかもしれない。


「そんなことよりも今は足音の方だよ。」


先にすることは今どこかで鳴っている足音についてだ。もしかしたら不審者がいるかもしれないから。


「どうするつもりなの?」

「音のなる方に行ってみて確認をする。もし、不審者だったら連絡を。」

「わかった後ろからついていくね。」


音の近い方に近づいてきた気がする。なんだろう話し声が聞こえる。


「...って...かえ...にき...」

「だい...ぶだ...おれが...」


かすれかすれだが誰かいるようだ。物陰から少し覗いてみる。


「流石にまずいよ兄貴!!」

「大丈夫だって言ったろ?俺を信じろ。」

「でもよ兄貴...」

「どうした?誰かいたか?」


もしかしてバレているのか!?でもこの人達誰だ?


「...近藤さん一応連絡お願い。」

「...わかった。ちょっと待ってて。」


これで一安心だ。


「...ど、どうしようこーくん...!」

「!?...どうしたんだ近藤さん...!」

「バッテリーがない...」


ウッソだろ!?こんなタイミングで使えないなんて...!?


「兄貴誰かいるわけではないですが...」

「なにか問題でも起きたか!?」

「トイレ行きたいです...」

「行って来い。」


やばいこっち来た!このままだとバレる!


「...こーくんこっち...!」

「...え、近藤さん...!?」


近藤さんとロッカーに入り隠れることに成功...だが


(こーくん近い...)

(ご、ごめん...)


近藤さんとの距離が近い...あと近藤さんの顔が赤い。


(こーくん...)

(...どうしたの...?)

(キス...できそうだね...)


どう反応すればいいんだよぉぉ!!!!!

ガチでどうした近藤さん!?すごいグイグイ来るぞ!?


「すいません兄貴おまたせしました。」

「おうじゃあ行こうか、『クリームアイスティー』を買いに。」


は?何言ってるんだこの人は。


「楽しみっすよね、ここにしかない限定のクリームアイスティー」

「俺はこのためにこの学校に忍び込んだんだから。」

「おいらこれ飲んでから世界が変わって...」

「わかるぜ、たまたま飲んだこれがおれの人生に生きる理由をくれたんだ。」


何だこの人達は。アホだ。確かにここにしかないクリームアイスティーのために

わざわざ忍び込むか?頭に脳みそが入ってるのか?


(こーくん、クリームアイスティーを舐めてはいけないよ?)

(近藤さん?)

「まず、クリームアイスティーの起源は昭和から始まり今の時代に着いてきたんだよ。初代クリームアイスティーはただのアイスティーにクリームを載せただけでそのクリームは甘すぎて甘党の人にはとても好評だったけど、今ほどの人気ではなかったんだよ。そのため2代目クリームアイスティーは少し甘さが控えめになり、子供から大人まで人気になったっていう伝説があるんだよ。」

「誰かいるのか?」

(近藤さん、クリームアイスティーについてはわかったがもう少し静かにしようね〜)


近藤さんもクリームアイスティー信者だったのか。どうしようものすごく帰りたい。

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