第3章 王国とドラゴン
第13話 少女
アタイは赤い竜フィア。ボルジィート山の中腹の洞窟に住んでいた。元々赤龍神として崇められていたり、食べ歩きで大食いをし《赤髪の大食い食べ歩き少女》とよばれたりしていたが、今はこの山の麓の街ボルスを魔獣のスタンピードから救ったので、英雄扱いされている。
まあ食べ歩きのときに知り合った男がこの街の領主だったり、冒険者を始め食堂や屋台の店員からはよく知られていたりしていたのでドラゴンだってバレた後も街で食べ歩きをする事ができた。
そうしていたら、領主のグローケンから呼び出しがあった。
「どうしたの?グローケン。」
アタイは領主の館に来て昼食を食べながら話を聞く。グローケンの隣には少女が座っていた。
「いやな、山と街をいちいち往復するのも大変であろう。だからこの街に屋敷を持ってはどうかなと思ってな。この街を救ってくれた礼を含めてその屋敷を与えよう。どうだ?」
「あー、アタイは別に住処から街まで来るのは問題ないよ。」
「いや、毎日ドラゴンの姿で街まで来てから人化をされるとフィア殿を知らぬものが驚いてしまうので、街にいてください。」
あー、なるほどね。最近はドラゴンだってことがバレてからわざわざ隠れて街に入る理由がなくなっていたので、そのままの姿で来たからなぁ。
「まあ、そう言われてしまえば仕方ないな。遠慮なく貰うよ。」
「すまないな。」
「構わないさ。ところでそちらの娘は?」
アタイはグローケンの横に座る少女についてたずねる。
「ええ、この子は私の娘でクリューと言います。」
「クリューです赤龍神様。よろしくお願いします。」
彼女はそう名乗って頭を下げた。
ドラゴン女将の冒険譚〜王都に宿屋、始めます~ 中城セイ @Sei_N
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