第5話
―――「どうだった?」
十分ほどしてティッシュで指先を拭いながら訊ねると、放心状態から戻って来たばかりと言った目つきで「恥ずかしかった…です」と梨絵は答えた。処女と言っても女は女。最後は体を痙攣させていた。いくことは知っているようだ。
「セックスも気持ちいいけど、梨絵ちゃんはまだ未経験だから、最初はこんな痛みがあるのかってくらいに痛いわよ。うまい人なら痛みが和らぐなんて聞いたこともあるけど、優斗みたいにいきなりって感じだと出血も凄いかもしれないから、初めての時は年上の優しそうな人がいいかもしれない」
私の言葉に梨絵はゆっくりと頷いた。
お腹が痛くなったからと言って、私はトイレの便座に腰を下ろす。もちろん、それはただの口実で梨絵をかまっている間に知らぬ間に興奮していたのを自分でも感じていた。
拭ったばかりの指を鼻先に運ぶ。ほんのりと梨絵の匂いがした。湿っぽい感触から既にショーツは下ろしている。それでも確かめるべく私は大事な部分に指を向ける。身体がビクンとなった。梨絵の大量ぶりに笑いを浮かべそうになったものの、実際のところ私だって似たようなものだと今後は苦笑が漏れた。
ただ、苦笑もほんの一瞬だけ。あとはもう指先にゆだねるしかない。私は漏れそうになる声を必死でこらえて指を動かした。行儀の悪い人が何かを食べてるような音がトイレの中に響く。
いやだ…梨絵に聞かれちゃう。
まさかそこまでの音ではないのだろうが、そんな心配をさせるほど耳に届く音は大きかった。蒸し暑いトイレの中で私は汗まみれになった。
「先輩大丈夫ですか?」
澄ました顔で部屋に戻ると、すぐさま私を見て梨絵が声を掛けてきた。額にはまだうっすらと汗がにじんでいる。
「ちょっと冷たいもの飲みすぎちゃったせいかな~」
お腹をさすりながら答えてみたものの、特に梨絵は疑う気配は見せず空になったグラスをただじっと見つめているだけだった。
「そうそう、せっかくの夏休みなんだから、今夜あたりはまた夜遊びに行っちゃおうか?」
「あ…いいかも。でも先輩お腹の方は大丈夫なんですか?」
「大丈夫!出すもん出したらスッキリしちゃった」
私はそう言って梨絵に微笑みかけた。
それから私たちは他愛も無い話を交えながら宿題に取り掛かった。休日は時間が早いなどと言うけど、あっと言う間に一週間。いったい何をしていたんだろうってくらい、宿題ははかどっていない。
もっとも量が多すぎるのだ。せっかくの長期休みだっていうのにこれじゃ満足に遊ぶことすらままならない。
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