八百万通信

山間なつめ

第1話 犬神と公園

現代日本において知らない人はいないであろう神、妖、偉人…

そんな彼らの間で流行しているものがある。

そう、それは現代の現世に降りスローライフを送ることであった!



第1話  犬神と公園


ぼくこと犬神をご存知だろうか。知らない人が多いだろう。なれば教えよう!

狐憑きの犬版!ぼくら犬神を使役するのが”犬神使い”というんだ。

だが、ぼくは自由に過ごす犬なのだ!わはは

今日は下界にいる酒呑童子のところで遊ぶのだ!わん。


「しゅてぇん!!ぼくがきたぞ!」

「いまバイト中。俺レジにいんだろ?ちっと待ってろ。」

「うむ、今日もバイト楽しそうだな!」

「まあな!」


ここのコンビニで働く酒呑童子は変わった鬼だ。

下界に降りてきて初めて入ったコンビニでの接客に感心し興味を持ちこうして働いているのだ。

…!揚げ物のいい香りがしてきたぞ!

酒呑が楽しそうにフライヤーで調理をしていく。

あとどのくらいでバイト上がるんだろう、公園へ早く行きたいぞ!

しかしぼくは待ての出来る優秀な犬なんだぞ!



「おーい犬神、バイト終わったぞ~」

「終わったのか!待っていたぞ!!」

私服に着替えた酒呑が裏口から出てくる。

ふんふん、揚げ物のいい香りである。

「メシ買って公園に行くか。食いたいモンあるか?」

「うめおにぎり!」

「おまえいつもそれだな…飽きねえの?」

「飽きていないぞ」


何気ない会話をしながら酒呑童子の家の近くの公園までくる。

「きょうはチワワのマロンと遊ぶんだ!」

マロンは最近あまり目が見えないらしい。

危険のないようにたくさん遊ぶぞ!

「おーそうなのか。じゃあ俺は走り回って疲れたマロン抱いて散歩するわ」

「うむ!いいな!」



夕方になり酒呑童子がマロンを抱いて散歩していると飼い主が来てマロンは飼い主と家に帰っていった。

「あ~今日も楽しかった!」

「マロンもばあちゃんも元気よさげで安心したわ」

「そうだな!ぼくもそろそろ帰るぞ」

「おう。気ぃつけて帰れよ」

「今度はしゅてんの家でパーティをするぞ!ではな!」

「あいよ。じゃあな」


わふふ、今度酒呑童子と遊ぶのが一段と楽しみになったぞ!

ぼくはしあわせな犬神だな!

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