第5幕 やっと変身! マジカル・エターナル大活躍!

「マジカル・ドリームチェンジ!」


 ガリキャガリガリキャッスルに入る前に城ヶ崎じょうがさき悠花ゆうかはマジカル・エターナルへと変身した。

 

 短かった黒髪は金色の長い髪へと変わり、耳の下辺りで二つ結びになっていた。その結び目には黄色いリボンが飾られている。

 黄色を基調としたドレスに、胸元には濃いめの黄色のリボンが一つ。肘まで伸びた黄色い手袋が光り輝く。スカートはフリルが何重にも折り重なり、その下には黄色のスパッツをはいている。さらには黄色のニーハイソックスで肌の露出をできるだけ抑えており、黄色のコンバットブーツには星のマークも入っている。全身が黄色で構成された魔法少女、それがマジカル・エターナルなのである。


「はっ!」


 城内に入ってから、襲いかかるガリガリーズをマジカル・エターナルは魔法で次々とやっつけていく。ぷっちょ君の先導で目指すは蝶介ちょうすけ秀雄ひでおが囚われている牢獄。しかし牢獄が近くに連れ、敵の数も増えてきた。


「あの階段を降りれば、牢獄はすぐそこ……」


 ぷっちょ君がそう言い終える前に、目の前にガリガリーズが現れた。そして後方からも、左右からもガリガリーズが迫ってきた。


「ガリガリーガリガリー」


 ガリガリーズが訳のわからない台詞を吐きながら、ガリガリビームを発射した。


「エターナル・シールド!」(劇場版限定必殺技!)


 マジカル・エターナルが両手を突き上げ、四人を包み込むバリアを作り出した。ガリガリビームはバリアに当たって消滅する。だが、たくさんのガリガリーズが休みなくガリガリビームを発射し続ける。


 しばらくは持ち堪えていたが、そのまま動くこともできず、ガリガリーズの攻撃には終わりが見えなかった。さすがのマジカル・エターナルもだんだんと疲れの色が見え始めてきた。


「さすがに……これ以上は持たないかも……」


 ピシッ! とエターナル・シールドにヒビが入った。そのとき!


 李紗りさ真弥まや、二人の体が輝き出した。その光が広がって、壊れかけていたバリアが瞬時に元に戻ったのだ。


「!?」自分が何をしたのかわからずに、李紗は光り輝く自身の体を見つめている。


「お姉さま、魔法が使えていますわ!」真弥もまた、自分の体から魔力が溢れているのを感じていたのだった。


 マジカル王国で一、二を争う魔法使いとして名高い李紗と真弥だったが、人間界に来てからというもの魔法が使えなくなっていた。だから、マッスルキングダムに来たときも魔法は使えないものと勝手に思い込んでしまっていたのだった。


「きっとここが人間界ではなくて、マッキンだからだわ! この国はMP(のことではなくて、……魔力のことである)があふれているのよ!」


 魔法少女に変身しなくとも、魔法を使うことができる。ここからの女子三人組(とぷっちょ君)は圧倒的な強さだった。


 ガリガリビームは防御魔法で弾き返し、ガリガリーズを次々と倒していく。全てのガリガリーズを倒すのにさほど時間はかからなかった。だってガリガリだから。


 そうして、ついに蝶介と秀雄が囚われている牢獄へとやってきたのだった。



「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ」



 薄暗い牢獄の中から、気味の悪い息遣いが聞こえてくる。マジカル・エターナル、李紗、真弥、ぷっちょ君は足音を立てないように慎重に歩みを進める。明かりは一定の間隔で壁に取り付けられている蝋燭のみ。影で存在がバレてはいけないと、李紗が魔法を使って四人の影は見えないようにしていた。


 こちらは魔法が使えるのだから勢いで助け出せばいいのにという李紗の提案に、真弥が「もし私たちの存在がばれてしまって、蝶介や秀雄お兄様に万が一のことがあってはいけませんわ」と釘を刺したのだ。



「うわあああっ!」

 向こうから蝶介のものと思わしき叫び声が聞こえてきた。



「はあっ、はあっ、もうだめだ!」

 秀雄の苦しそうな声も重なって聞こえてくる。



 ――番所君と海原君、もしかして敵から拷問を受けているのかしら! 早く助けてあげないと!


 マジカル・エターナルの顔に焦りの色が見えた。もはや一刻の猶予も許されない。李紗と真弥もうん、とうなづいて一斉に二人の苦しむ声がする方へ走り出した。



「!!」

「なんてこと!」

 四人の目の前には信じられない光景が広がっていた。

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