小説もええけど、CGを作りたいねん。なにわのおたく主婦、ハッカー息子を召喚し、たった一人でCGアニメに挑戦する!

鳥小屋

序章  なにわのおたく主婦、無謀にもCGアニメに挑戦する

 大阪梅田のヨドバシカメラ。

 その広い売り場に無数に並んだPCを見て、私は、途方にくれた……。

 いったい何を買ったらええんや……。さっぱりわからん……。

 

 大阪生まれの大阪育ち。50代、定職なし。無職……


ま、夫と子供がいるので、世間的には「主婦」と言っていいんだけど……無謀にも、突然、CGアニメ作りに挑戦することにした。


 金もないし、技術もない。ついでに言えば、若さもない。


 だが、なんとかなるだろう。大阪のオバハンは、そんな細かいことは気にしないのである。これまでの人生、どんなことでもテキトーに何とか乗り切ってきたから、たいてい何とかなる。いや、どんなもんでも最後には何とかなってきたのである。いや、何ともなってなかったかもしれんけど。


 年齢だって『ハウルの動く城』に住んでる「魔法にかかった状態のソフィー」よりはまだ若い。あれって90歳やろ? 私かて魔法で、「中身」はひょっとしたら「18歳のまま」かもしれへんやん。まあ、ほんまに57歳だったとしても、90歳よりはましやん。何とかなるやろ。


しかし、広いなヨドバシ。


 昨年、ブラックな職場でのパートをやめて、ハローワークに通っているうち、職業訓練を教えられた。「求職者職業訓練」なら、失業手当もなかった私でも、応募できるらしい。その中に「3DCGモデラー養成」というコースが!


 CG? それって、アニメとか、ゲームとか、特撮の実写合成で使うアレ?

それマジ? めっちゃラッキーやん! 


 うーむ。こんなものが無料で学べるとは……。えらい時代やな。


 SF、ミステリ、ファンタジー、ライトノベル……そんなプロ作家養成の「小説講座」の事務員をたまたま長年やってきたので、周囲にオタクが多すぎる。なんせ作家も、作家志望も、オタクばかり……。


 そのせいで、自分では『オタク』という自覚はないが、一般的に見れば、たぶん私はそこそこの『オタク主婦』だろう。まあ、テレビドラマの方もけっこう好きだけど(『相棒』と『科捜研の女』は必須……)、アニメと特撮が好き。とくにCGアニメが大好きだ。


 若者たちに混じって、半年間の職業訓練。終わったら、無謀にもいきなり一人でCGアニメ作りに挑戦する所存。おもにゲーム業界で就活していく彼らと違って、50代からの「未経験」で、いまさらゲーム業界に就職できるわけもない。てか、そもそもゲームはあまりやらんしさ。


 そんなこんなで、たった一人きりでCGアニメ作りに挑戦することにしたけれど、それにはまず自分のパソコンが必要。うんうん。RPGアドベンチャーゲームだって、冒険前は、まずは装備を揃えるトコからだよね。それくらい知ってる。


 とりあえず、大阪梅田のヨドバシカメラに来たのだが、うーん。なんや、パソコンって、めっちゃ種類あるやん。どれ買ったらええんや?


 そういや、たしか「どれがいいか迷ったら、e-sports用のものを買うのもいいですよ。だいたいスペックが同じなので」って言われていた。で、e-sports用のPC売り場に来てみたのだが、うわ、なんじゃ〜〜これは。


光るキーボード? ゲームチェア? かっこええやん……ほ、ほしい。


 いやいや、かっこいいけど、そんなん、べつに要らんねんけどな……。

 

 店員をつかまえて話を聞こうとするが、カタカナだらけで言ってることが何が何だかわからない。なんだそれは。呪文か? うわぁ、どうする。

 

 頭が混乱したので、とりあえず、キーボードだけでも買うことにしようかな……と。

 今のノートパソコンでは、CG製作にはまったくスペックが足りないから、早く新しいのに買い替えないと使えないけど、キーボード多少はしのげるはず……。ノートパソコンには、テンキーもついてないのだ。テンキーがないとCGで必須なショートカットが使えない。


で、キーボード売り場に行く。すると、これまた、めっちゃ種類があるやんか……。え。この中から選ぶのか? 


 やっぱ、こうなったら、東京在住の天才ハッカーのおたく息子に頼るしかないか……。


 前途多難なCGアニメ作りへの挑戦。ゆかいな大阪のオカンの実録エッセイ。明日からリアルタイム(たぶん)で連載します。






















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