第2話 今の君2

 今回もまた、泣いている。まるで、彼女のように。


自分も彼女と同じように、泣いている。泣いても、何もわからないのに。


僕は彼女に出会ってから、あらかじめ、未来に行って彼女の居場所を確認するようにした。居場所は予想できるということは、大学時代には関係ない部分を、彼女は変えようとしているのか。


辛い過去を抱えていて、その辛い経験から逃れようとしているのかもしれない。




 今に戻り、再び彼女に声をかけた。


「どの過去に戻っているの?」


無視されることを不安に思いつつも、勇気を出して声をかけた。


すると彼女は目を合わせないとしても、顔を上げ、


「高校生の時、いじめられてた」


それだけ言い残して、椅子から立ち上がって、どこかに行ってしまった。


 いじめられていたのか。だから、過去に戻るたびに泣いていたのか。


戻っても、いじめを回避できずに、また傷つくの繰り返し。


助けたい気持ちもあるが、未来にしか行けない僕には、何もできないだろう。


それか、他人を未来に、過去に連れ込むことは可能なのだろうか。




やってみよう---------------------------------



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