第12話 賑やかな家族

 


「アリスちゃん♡ ほ〜ら、たかいたかぁ〜い♪」

「キャッキャ♪ たかいの!」

「うふふ♡」

「まま! もっとちて!」

「良いでちゅよぉ♡ アリスちゃんは可愛いでちゅね〜♡」


 はぅ.......もう幸せです♡ 学園で理事長してた頃よりも物凄く充実感があります♡ もう私は【深淵の魔女】でも学園の理事長でも無い、アリスちゃんを愛する母親.......ミレーナ・フォーゲンベルクよ♪ イリスに関しては、金髪で種族がエルフなので私と姉妹と言う事にしました。名前は、イリス・フォーゲンベルク。年齢は私の方が上なのでイリスは妹ですね♪ これなら姉妹と言ってもみんな信じるでしょう! 今度あったら、みんなには生き別れた妹ですと言って強引に説明して納得してもらうとしましょう。


「あ! いりすねーたん!」

「アリス、お昼ご飯が出来たよ♪」

「わぁ〜い!」

「お、お.......おおおお.......お姉ちゃんも.......ぅぅっ」

「壊れた機械か!? そんな緊張しなくて良いのにぃー」

「だ、だって.......恥ずかし.......ぃ」


 イリスかわよ!? そんなに私の事をお姉ちゃんと言うのが恥ずかしいと言うのかしら? やれやれ、本当にしょうがない子ですね〜


「イリス」

「きゃっ.......!? 何!?」

「たかいたかぁ〜い♪」

「ちょっ.......ええ!? 降ろしてくださいよ!」

「イリスねーたんずるいぉ!」


 うふふ.......アリスちゃんは純粋で可愛いけど、イリスの恥じらう姿もまた違うベクトルで可愛いです♪ 苛め.......可愛がってあげますからね♡


「バカっ! 変態魔女! もう降ろしてってば!」

「ほほう.......イリス、遠慮しなくて良いんだよ。ほれほれ〜♪」

「私はもう21歳ですよ! 立派な大人です!」

「はいはい〜分かりましたよぉ」

「今日のお昼御飯、ミレーナ.......あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛やめて!!!!! いやっ.......♡ あはははははははは!!!」


 私は最近イリスの接し方について少し分かって来ました♪ 物理的に分からせ.......黙らせるのも良いですが、イリスはこしょぐり攻撃が大の苦手な様です♡ どさくさに紛れて胸やお尻も揉んでやろうじゃありませんか♪


「はぁ.......はぁ.......ううっ.......」

「よしよし♪」

「うわあああぁぁぁぁぁぁんんん.......! お姉ちゃんのバカっ! 変態! 痴漢! 爆乳痴女! もう知らない!」

「あっ、待って.......イリス!」


 少しやり過ぎちゃったかな? しかし、ツンデレ属性が混じった金髪の美少女エルフ.......流石アリスちゃんの産みの親だねぇ♪ 可愛い♡ 21歳とか私から見たらまだまだ子供です!


「さてと.......アリスちゃん〜お昼ご飯食べに行こっか♪」

「うん!」






 ◆食卓◆





「ねぇ.......イリス」

「はい、何でしょうか?」

「あの.......何故、私だけご飯がレタスだけなの?」

「あれ? 確かレタスが大好きだって言ってたよね? それとも妹の料理が食べれないと言うのですか?」

「え、待って.......レタスは私の苦手な食べ物だよ! これは料理と言わないわ! お皿の上にレタス丸々乗せただけじゃないの!」

「ちゃんと洗ってありますよ?」

「そう言う問題じゃないよぉぉおおお!!」


 あぁ、さっきの事まだ怒ってるのかな? アリスちゃんの前であんな事をしたのが良くなかったのかな? しかし、これは由々しき事態ですね。イリスに意地悪すると私の食事がえげつない事になっちゃう。でも、可愛いイリスに意地悪してイチャイチャもしたいし.......ぐぬぬっ.......難しい。でも、私は欲望に忠実な女。全てを手に入れて見せる!


「あれれ〜? 主ぃ〜もしかして、ダイエット?」

「フェンちゃん、私太ってないわよ! そのビーフジャーキーとステーキを私によこしなさい!」

「えぇっ.......!? それは嫌だよ! これは僕の大好物なの! いくら主とは言え、ビーフジャーキーとステーキは渡さないよ!」


 人化形態のフェンちゃんは相変わらず可愛いな.......じゃなかった。ごほんっ.......しかし、素直だったフェンちゃんが、私の命令に逆らうとは.......


「フェンちゃん、私とビーフジャーキーどちらが良いのかしら?」

「ビーフジャーキー!」

「お、おう.......!? 嘘でしょ.......私との付き合いはもう50年以上と言うのに私よりもビーフジャーキーですって!?」

「や、やだなぁ〜主ぃ、冗談に決まってるじゃん♪」

「目が本気何だけど!?」


 やれやれ、フェンちゃんが駄目ならばサラちゃんの方は.......


「うめぇ.......肉うんめぇよ! 流石イリスだぜ!」

「え、もう食べたの!?」

「ご馳走さん!」


 はやっ.......!? お肉を少し分けて貰おうとサラちゃんにお願いしようと思ったらもう食べ終わってる!?


「ううっ.......かなちい」

「んぅ.......ままぁ?」

「アリスちゃん、気にしないで。何でも無いの.......」

「まま、よちよち♪」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛アリスちゃん愛してるうううううううううううぅぅぅ♡ むぎゅう♡」


 アリスちゃんの優しさに思わず号泣してしまう所でした。やはり私の味方はアリスちゃんだけよ!


「全く、仕方ありませんね。はい、こちらのお肉はお姉ちゃんの分です」

「あれ、今イリス、私の事をお姉ちゃんと呼んで.......」

「え、要らないのです? ならば仕方ありませんね.......フェンさん、こちらのお肉をあげま.......」

「わ!? わわわわっ!!! 待って! 分かった、分かったから! そのお肉私に頂戴!」

「くすくす.......」


 おっ.......今、イリスが笑った?


「イリスねーたん、笑ってゆの!」

「アリス、笑ってないよ♪ あらあら、お口周り汚れてるよ?」

「んみゅ.......」

「ゆっくり噛んで食べないと駄目だよ?」

「はいなの!」


 え、めっちゃ貴い.......イリスがアリスちゃんのお口をフキフキと拭いている。2人の背後に薔薇園が見えるよぉ〜


 ミレーナは2人の様子を見ながら、うっとりとした表情を浮かべていると家の窓を突き破ってセイント・ユニコーンのユニちゃんが顔を出して入って来たのである。


「オーッホッホッホ.......ゲホゲホッ。主様! 一大事で御座います!」

「ちょっと! 今良い所何だから邪魔しないでよ! ユッケちゃん!」

「ユッケじゃありませんよ!?」

「ん? 馬刺しちゃんだったけ?」

「馬刺しでもありませんよ!? ユニです!」

「ふむふむ、ユニ.......ユ.......二.......え、やっぱり歩くユッケじゃん。そろそろ冬も近いから歩いて来てくれる非常食は助かるよ♡」

「主様がご乱心ですわ! ご乱心!!」


 やかましい馬刺しちゃんですね。して何の用件なのかしら?


「ユニちゃん、冗談だよ。して用件とは何ですか?」

「大変ですの!」


 わざわざ家の窓まで突き破ったんだから、それなりの緊急事態があるのでは? 


「サラマンダー、セイント・ユニコーンって美味しいのかな? 僕食べた事ないよ」

「ん〜どうなんだろ。良し、試して見ようか。フェンリルよ火加減はどうする?」

「ウェルダンで♪」

「きゃあああああ!? おやめになんし! 私は美味しくありませんのおおおおおおぉぉぉぉ!!」


 全く、やかましいお馬さんですね。とりあえず用件は何なのかしら?


「ユニちゃん、落ち着いて」

「あ、はい.......この場所に冒険者達が向かって来ています!」

「ふむ、冒険者.......何人くらい?」

「グラスモンキーからの報告によると数は4人!」

「ほほう.......ならばユニちゃんに命じます。冒険者達を追い返しなさい。そして、殺戮は禁止です。少し驚かす程度で良いから」

「御意で御座いますわ!」


 面倒事は全部ユニちゃんに任せちゃお♡

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