アオイコエ@イラスト

あさひ

第1話 セイユウッ! イラスト?

 僕の青春はここから始まる

このドアの先に誰が何が待ってる? ドキドキしてる……

世界を開く感じだ。

「こんにちは!」

 ガランとした教室というか物置きにしか見えない

何が青春だとは言いずらい。

 名残がそこらに残されている

ところどころに名前や夢が書かれた跡を

霞ませる見知らぬ道具たちは輝いている。

「これが俺の始まりの場所か……」

「確かに疑わしいな」

 腰の辺りから女子の声が響いたことに

秒数を置いて反応するまで思考が止まった。

「うわぁっ!」

 ムッとした表情にあどけなさが残りながらも

くたびれた目を感じたがまだ光を灯す。

「失礼な! 私は君の相棒であり

級友の紅一点な同級生こと切枝実事きりえだみことだぞっ!」

「はあ…… 元気ですね」

 無理しているのがだいぶわかる

てか震えないでほしい。

「僕が怖い? 大丈夫なはずだけどなっ!」

 泣きそうな顔でそれを伝えると

さすがに申し訳ないのか虚勢をやめて

舌を出してごめんと頭を叩く。

「おおっ! 見たことあるぞ!」

「なっ? 私のオリジナルポーズをだと!」

 二人とも心で気が付く

同志が目の前にいるというか

気が合うしかない。

「練習したよね」

「お前もな」

 ふふっと笑いながら

手を取りぴょんぴょん跳ねている

その姿に面食らっていた

自身たちより若い後輩であろう子たちは

恐る恐る声を掛けてくる。

「あの先輩ですか? 同級生で編入の年上……」

「でもすごいじゃん! ねえ? 工多こうた君」

 しっかりとしながらも若々しい姿は

少し前の自分たちのようで何か心に来るものがあった。

「頑張ろうな! 二人とも!」

「お姉さんたちは酸いも甘いも嚙分けた大人だからな!」

 先輩の言葉にパッと開いた花は満面に

こちらに良い雰囲気をぶつけてくる。

【はいっ!】

 こうして始まるはずだが

どこから手を付けようかなと迷うところしかない。

「君たち!」

 びくっと全員が驚いたが

次の言葉は以外にも歓迎だった。

「君たちが私の実験候補生かっ!」

 唐突に実事の横にズイズイと踏み込み

手を握り始める。

「なんですか?」

「覚えていないのかっ?! 私は有田曜ありたようだよ」

「親戚のお姉さんと同じ名前ですね…… あなたが?」

 目の前には学生にしか見えない

作業着の美少女がいた。

 ぼさぼさと髪をかき分けるが

いまいち完璧超人が思い浮かばないのである。

「先生って完璧超人というあだ名ですよね」

「それは違うぞ」

 疑問をぶつける

しかし即刻に真顔で否定されるが

周りの視線がおかしい。

「見たことありますね…… 工太くんはどう?」

「僕も声と顔をみたことあります」

「私もだよ」

 疑問よりも声と顔に違和感があるらしい

有名人だったら俺以外しか知らない何かなのだろう。

椿青土つばきせいどと言う名を持つものは?」

 隠したいことがあるのか先生は

スルーしながら無視した。

「おれですけど……」

「私のことをもらう約束は? 忘れたのか?」

 何を言っているんだと周りが

不信に思い始める。

「君は子供に手を出す趣味があったとは……」

「引きますね」

「だよね」

 スルーを続けているからか

どうしようもない状況が続いていた。

「後で話そうか? 姉さん?」

「おおっ! 私待ってるね? どんな格好がいい?」

「やめてくれますかね? 何する気ですか?」

「えっと…… 聞くの? 熱い夜になるんだけどな……」

「ねえ! 違うからね! みんな? ちょっと!」

 全員が引きながら笑っている

距離が遠いなとか

そんな感情は全部なにもかも無視である。

「わざと言ってますよね? 

覚えてますよ! ええ! 人を弄ぶ癖が治りませんね!」

「てへっ」

「まったく今でも好きですとも! 愛してますとも!」

「しゃあっ! 言質取ったぞ?」

 何がしたいんだと気を乱しながら

話をしていた。

【仲が良いね】

「そう言うなら戻ってきてほしいなっ!」

【いやです】

 まあいいや

こういうの懐かしいな 毎日これならまあいいや

幸せだな。

「姉は元気か?」

「病院にいます…… 父さんのせいで」

「そうか……」

 遠くを見つめる仕草を窓に向ける

始まりのアオゾラから心を拾った。

 第一話 おわり

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