10回以上転職を繰り返した者だが、今まで出会ったクソ上司を晒していく

絶華望(たちばなのぞむ)

給料泥棒はお前だよ

 入社して一ヶ月がたったころ私はクソ上司にこう言われた。

「お前がやってることは、給料泥棒と一緒だからな」

 そう言われた理由は、私が二週間前に教わった事を忘れてしまい同じ事を聞きに行ったからだ。

「すみません」

「いいか、お前はお金をもらって仕事してるんだ!金払ってんのは、コッチなの、お前が金払ってんなら何度でも聞いて良いよ。学校は金をもらってるから何度同じ質問しても怒らないし優しく教えてくれるんだ。

 お前は金をもらって仕事を覚える立場なんだ。教わった仕事を忘れたら、俺がお前に教えた時間が全て無駄になるんだよ!俺の時給知ってるのか?二千円だぞ?しかも、俺の時間だけじゃない。お前に払った金も無駄になった。本当に給料泥棒だよ」

「すみません」

「すみません、じゃねえよ!俺の時間返せよ!」

「すみません」

「いいよな、お前はすみませんっていっときゃ良いんだもんな、とはいえ、俺も教えないわけにはいかないからな、まったくお金払って欲しいよ。俺がもう一度教えてやるから、お前、俺に二千円払えよ」

「すみません」

「はぁ、そこは払いますだろうが!もう、良いよ。もう一度教えてやるから忘れんなよ」

「はい、ありがとうございます」

 私は忘れないようにメモ帳とペンを取り出した。

「おい、何度も言わせるな、メモは後でとれ、今は黙って聞け」

「はい」


 似たようなクソに出会ったことのある読者の皆さんは、お分かりだと思うが私は教わったこと全てを忘れたわけではない。十教わったうちの一を忘れたのだ。無論忘れたことを正当化するつもりはない。だが、忘れないためのメモを禁止され、口頭でいっぺんに説明され全てを記憶できるほど私は頭が良くないのだ。

 しかも、このクソが担当していた業務にマニュアルはない。そして、クソが担当している業務は他にやり方を知っているものが居ない。

 私は、その業務を引き継ぐために雇われていた。だが、早くも私の心は折れそうだった。それは、給料泥棒と言われたからではない。このクソが給料泥棒だからだ。


 理由はこうだ。まず、会社は私にも給料を払っているが上司にも払っている。それには管理職手当てが含まれている。管理職手当ては部下を育てる能力に対しても支払われている。

 つまり、会社からすれば、講師として雇っていることになり、クソ上司は部下に対して、部下が仕事を覚えるまで何度でも教えなければならないのだ。

 そして、部下が仕事を覚え忘れないように指導する事も仕事だ。なのにマニュアルも用意せず。メモもとらせないのは頭がおかしいとしか言いようがない。つまり、会社からすればクソの方が給料泥棒なのだ。クソの言い分はこうだ。


「俺は記憶力が良いから一度覚えたことは忘れねぇんだ。お前もやればできる。なんせ、この俺が出来てるんだからな」

 皆さんには、このセリフを覚えていて頂きたい。なぜなら、この言葉は嘘だからだ。これから、このクソは何度も私に説教と言う名のオ〇ニーを見せつけてくるからだ。


 まあ、こいつの場合、私が業務を引き継いだら、クビにされるかもしれないという恐怖があるのだろう。

 なぜなら、雇われた時、人事からヤツの悪行の数々を聞かされ、クビにしたいけど、ヤツにしか出来ない仕事があるからクビに出来ない、キツイだろうけど頑張って欲しいと懇願されたのだ。

 そんなこともあり、ヤツも自分のしてきたことが不味いことだと自覚しているらしく、私の前任者たちは全員が部署異動を願い、それが叶わなかった者は、残らず会社を辞めた。


 ヤツは給料泥棒と言いたいがためにマニュアルを用意せず。教える時にはメモをとらせないのだ。自分の方が給料泥棒していることを棚に上げて……。


 さらに言うと、ヤツは犯罪者である。イジメとかパワハラと言うマイルドな表現は私は嫌いだ。なのでキチンと罪状で言う事にする。

 一つ目、侮辱罪、部下に給料泥棒と言ってはいけません。

 二つ目、詐欺未遂、本来支払う必要がない金銭を支払義務があるように相手を誘導してはいけません。


 こんな犯罪者から仕事を引き継がねばならないのは気が重かったが、結局私は、このクソがクビになるまで働いた。そして、その後で会社を辞めた。理由はクソが担当していた業務は、難しいものではなかった。覚えることが多いだけで、マニュアルさえあれば誰でも出来る簡単なものだったからだ。

 クソは自分がクビにならない様にマニュアルを用意せず、自分しか出来ない仕事を作り出し、さも有能であるかのように偽装していただけだった。

 私は難易度の高いゲームが好きだった。そして、飽きっぽい性格をしていた。だから、一度クリアしたゲームは二度としなかった。

 そして、私にとっては仕事もゲームだった。難しい仕事ほど燃えるのだ。だから、マニュアルが完成したとき、私の中でこの会社でのゲームは終わった。


 これから、このクソから仕事を引き継ぐまでの間、彼が私に投げた数々のブーメランとヤツが犯した罪状を紹介していこうと思う。


 私の名前は面従腹背、鋼のメンタル以外、取り柄のない、しがないサラリーマンだ。

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