◆登場人物紹介/まとめ①

※ラストまでのネタバレを含みます。ご了承下さい。



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◆リリアン

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 主人公。前世(前・魔王討伐隊『英雄』のアシュリー)の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女

 今回の魔王討伐隊では冒険者の『サポーター』を務めた。


 種族:狼獣人(灰狼族)→聖獣フェンリル/女性

 年齢:15歳/前世は享年22歳

 ランク:Eランク(#1~)→Dランク(#9~)→Cランク(#34~)→Aランク(#103~)

 ジョブ、スキル:獣戦士/剣術、武闘術、完全獣化、神秘魔法

  メイン武器は鉤爪。元はショートソードを使っていた(前世からのスキルがあり、実際には剣スキルが高い)

 外見:長い黒髪、黒狼の耳と尾、赤く光る黒の瞳、背は小柄(156cm/#30時点、物語終了時ではさらに成長している)、胸は控えめ(物語終了時ではここも成長している)


 * * *


 転生前は前・魔王討伐隊、『英雄』のアシュリー。冒険者でもあり、Sランク以上の実力を持つ人間の剣士。

 獣人の国、銀の毛並みを持つ灰狼族の有力者の家に、三つ子の兄妹の末っ子として転生した。一族で一人だけ黒の毛並みを持っていた。

 幼い頃から前世(アシュリー)の記憶を持ち、また転生時に『黒の森の神』(ギヴリス)と交わした「魔王を倒す」という約束を果たす為、己に厳しい修業を課して育つ。その上前世からのスキルなども有しているので、実はかなり強いが、周囲にはあまり目立たない様に隠していた。

 13歳で学校を飛び級卒業(本来なら卒業は15歳)、1年間あちこちを回って過ごし、14歳で人間の国へ行き冒険者見習いとなる。

 王都シルディスでは、前世で関わりのあった人たちの間に身を置きながらも、前世や実力を隠しながら過ごす。1年間の見習い期間を経て、15歳で冒険者デビューした。


 その後、自らを転生させた神、『黒の森の王』ギヴリスと再会。その協力により記憶や知識、神秘魔法を得た事で、さらに力を手に入れた。

 それ以降はその特殊な魔法を使い魔法石を使わずに大人の姿や大黒狼の姿に変化できる様になる(大人の姿になると、口調や雰囲気などが変わる)。


 王都に戻ったリリアンは、残されていた昔(アシュリー)の家に戻り、過去の思い出を辿り、サマンサやメルの死を知った。

 昔の仲間シアンとの再会、さらに過去の『英雄』でもある先代の王とも繋がりを持ち、協力して魔王の事、過去の討伐隊についてなどを調べていった。

 そうして再び魔王を倒さんと、冒険者ランクを上げ、闘技大会で勝利し冒険者の『サポーター』となる。

 討伐隊の一行として訪れた魔王城で、魔王復活と神の封印、そして真の神話を知る。そして神との約束通り魔王を完全に消滅させ、神を復活させた。


 魔王討伐後、『星の神ギヴリス』によりその正体が獣人ではなく『聖獣フェンリル』であることを告げられ、改めて神の使いとなる。

 そして前世(アシュリー)からずっと思い続けていたシアンにようやく自分から思いを告げ、結ばれた。


 * * *


 22歳で亡くなった前世の記憶を持つ為、獣人よりも人間よりの考え方をする事が多い。しかしながら、現在のリリアンの『性格や振る舞い』は、獣人として生を受けてから『獲得』したものがほとんど。その為、行動や思考がアンバランスになる事もある。

 何かが起きた時に「自分の事よりも相手の損害」をより気にする。

 ジャスパーにセクハラされた時にも彼を庇い、デニスに『獣使い』を付与した時には「そんな事をしなくてもいい」と、裸でシアンに温められていた時も気にしたのはまず自分の汚れでシアンを汚す事だった。これは前世のアシュリーからの思考にもよる。


 恋愛などに関しては恐ろしいほどの鈍感体質。

 まず、自分に興味を持たれていても、それが『恋愛感情』故だとは思わない。 男性がこっちをじっと見ていても、隣の女性を見つめているのだろうと思い込む。男性に抱きしめられてもキスをされても、「何か他の理由があって」されている事で、それ以外の好意や下心などがあるとは思いもしない。


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<裏話>

 リリアンの名前に根拠はないです(笑)

 自分はよく過去の自キャラ(別創作やゲームなど)の名前をリサイクルすることがありまして、ここでは昔プレイしてたTRPGで作った「リンク(リンクス)」というキャラをベースに考えてました。でもリンクスだと山猫なんですよね。彼女は狼なのでむしろ正反対(何をもって反対と見做すかは謎)。じゃあ別の可愛い名前をと思った時に、リンクの「リン」のイメージが強くて、そこからリリアンになりました(笑)

 ちなみに狼獣人になった理由は「猫娘だといかにも媚びてそうだから猫じゃないやつ→犬……? いや、強そうに狼!!」でした(笑)



<記憶制御>

 リリアンの正体は獣人ではなく、聖獣フェンリルである。

 聖獣たちはフェンリルに限らず、全て『記憶制御』をされている。今回の場合においては神々や聖獣たちの為でなく、『人間の為』である。そして彼らにとってそれは『当たり前』の事で不自由などを感じるものではない。

 制御されている記憶は、深い物は神々についてや世界の成り立ちについてなど。神の一部から作られた聖獣たちは、完全にではないが神と同じ記憶も有しているので、それらを必要以上に漏らさない為でもある。

 神々には神々のルールがあり、それを犯した(=禁忌にふれる)場合には罰を受けることになる。

 この物語内の場合、『人間を救おうとする為に禁忌を犯す』と、罰として『人間を滅ぼされてしまう』ので、禁忌を犯さぬよう言われていた。


<神秘魔法>

 『教会の魔法使い』しか使えないとされている魔法。実際には神が行使する魔法で、神力を有する(もしくは取り入れた)者のみが使える。物語内で出てきたものは、「スキルの鑑定」「スキルの偽装」「変姿の魔法」「結界魔法」「転移魔法」「座標記録」「『獣使い』の付与」など。

 リリアンと同じく、神力を有する聖獣たちも使う事が出来るが、各々で使っている魔法、使っていない魔法などがある。



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◆シアン・ギャレット

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 デニスとミリアの兄貴分のSランク冒険者で、前・魔王討伐隊、冒険者の『サポーター』

 リリアンの前世であるアシュリーの相方でもあった。

 今回の魔王討伐隊では『顧問役』として同行した。


 種族:人間→古龍エンシェントドラゴン眷属けんぞく→フェンリルのつがい/男性

 年齢:(物語終了時)36歳。ただし見た目の年齢は20代半ば過ぎで止まっている。

 ランク:Sランク

 外見:栗毛の短髪、茶の瞳(細目の三白眼)、背は標準(178cm/皆よりは低い&アッシュとさほど変わらないのがコンプレックス)


 * * *


 昔の彼は、ある北方の田舎町で破落戸ごろつきのような冒険者たちの下っ端をしていた。

 兄貴分たちに謀られ、冤罪えんざいで自警団に捕まり拷問で死にかけていたところを、当時Aランク冒険者だったアシュリーに助けられる。恩義を感じたシアンは、それ以来付き人の様にアシュリーに添って旅をするようになった。

 アシュリーに出会った当時の冒険者ランクは年齢の割に低かったが、それ以降は早寝早起きなど規則的な生活をし、厳しい鍛錬を積み、真っ当な冒険者として活動して経験をためてめきめきとランクを上げていった。

 そしてアシュリーに対して、恩人としての感謝以上に異性としての好意を抱くようになっていたが、彼女にその思いは全く伝わらなかった。

 魔王討伐隊を決める闘技大会にはアシュリーと共に出場し、シアンは4位の成績で終わった。本来であれば、『サポーター』に選ばれるのは2位の者だが、『英雄』のアシュリーの進言により、『サポーター』に選ばれた。

 討伐隊として魔王の元を目指す旅の終盤で、アシュリーは魔族に殺され、自身も右目の視力を失う。魔王を倒し、王都に戻っても意気消沈いきしょうちんしていたが、アシュリーが目をかけていた孤児の少年デニスや討伐隊仲間と救った獣人の少女ミリアの世話をし、また逆に支えられる事でどうにか立ち直る。その時、ミリアを養女にしている。

 それでも癒やせぬ傷心を抱えて旅に出る。聖獣の住処にも訪れ、とくに古龍の元では落ち込む暇がないくらいのシゴキを受け、さらに失った右目の代わりに『竜の眼』を貰った。

 ちなみに聖獣たちはアシュリーがフェンリルとして復活した事を知っていた。アシュリーの想い人であるシアンを、リリアンのつがいにさせるつもりで立ち直らせようとした。(というのは名目で、半分はただの爺様のシュミ)


 帰郷してはまた旅に出てを繰り返していたが、何度目かの帰郷でデニスの後輩として活動していたリリアンと知り合い、以降は冒険者仲間として行動するようになる。その中でリリアンがアッシュの生まれ変わりと知り、共に過去について調べたり、昔のように接する様になった。

 一方、元討伐隊の一員として、先王ケヴィンとも繋がるようになり、今回の討伐隊に『顧問役』として同行する事になる。

 討伐隊の一行と赴いた魔王城では、過去に討ちもらした『アシュリーの遺骸のゴーレム』と再び戦い、涙と共にこれを討ち果たした。

 魔王の消滅と『星の神ギヴリス』の復活を見届け、平和になった王都に戻り、リリアンからの告白を受けようやく結ばれた。


 その後は、リリアン=聖獣フェンリルと共に『神のお使い』をしながら過ごす。


 * * *


 自身が昔は『下っ端』で兄貴分たちに虐げられていた経験から、逆に後輩の面倒見がいい。「俺も昔はよ~~」と言いながら、先輩風を吹かせないような話し方をする。

 自分はおごらず、時に過ぎないお世辞も使いながら相手を褒め、軽い口ぶりで輪の中に入っていくのが彼の処世術。そのお陰で、口下手のアシュリーも上手く皆の輪に入れるようになっていった。

 ちなみに良く食べるが、肉が付きにくいタイプ。筋肉はあるが、縦に長いイメージのある痩せマッチョ。

 アシュリーと行動していた為、彼女同様色々な武器を使う事ができる。討伐隊になってからは、剣と槍を主に使っており、デニスが槍も使っているのはシアンの影響による。


 * * *


<裏話>

 彼のキャラメイキングをしていた時に、某バンドの「僕は君の事が好きだけど 君は僕を別に好きじゃないみたい」を聞いていた為、フラれまくる設定になってしまいました。シアンすまん(^^;

 それ以降、キャラ設定を考える時に歌詞入りの曲を聞くのはやめました。



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◆デニス・クロフォード

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 王都シルディスの西の冒険者ギルドに所属するリリアンの先輩冒険者

 今回の魔王討伐隊で、冒険者の『英雄』を務める。


 種族:人間→古龍の眷属→古龍/男性

 年齢:(物語終了時)24歳

 ランク:(物語開始以前:Sランク)→Aランク→Sランク

 ジョブ:剣士/剣術、槍術、火魔法

外見:栗毛の短髪、深い緑の瞳、背は高い(186cm)、少し筋肉質(でもマッチョではない)


 * * *


 親がなく王都の西地区にある孤児院で育つ。7歳で当時冒険者だったアシュリーに出会い、彼女を慕い、また師事を受けた。

 アシュリーの死を受け、一度はふさぎ込んでしまう。だが彼女が遺したものを受け継ぎ、同じ道を進む為に冒険者を目指す。その際に、すでに死んでいるアシュリーの養子となり、家名も受け継いだ。

 アシュリーの死後にシアンと知り合い、彼からも保護と師事を受けている。が、『大好きな憧れのおねえさん』の『彼氏ヅラ』するシアンに対して、捻くれて「おっさん」と呼び、そのまま直せずに今に至る。


 幼少の頃から『アシュリーのような冒険者になる』という明確な目的を持っており、その為必死で努力したので、学校の成績も冒険者としての実力も高い、実は努力家。学校も飛び級で1年早く卒業している。

 冒険者になり比較的早いうちにSランクとなったが、クエストの失敗によりAランクに降格される。アシュリーの死や、自身の失敗で仲間を死なせた事、さらに後輩の負傷による冒険者脱落などから、身近な人を失いたくない気持ちが強い。自身の事より仲間や後輩たちの事を気にかけるようになり、西の冒険者ギルドの世話役を任されるようになった。


 その頃、冒険者見習いになる為に王都にやってきたリリアンと出会う。王都には珍しい獣人の少女の冒険者、しかもまだ見習いという事で、ギルドマスターから特に目をかけるように依頼される。

 1年の見習い期間を経て冒険者デビューをしたリリアンは、王都を出て旅をするようになる。その旅の中で、デニスはリリアンが大人に化けた姿を目にし、その姿や振る舞いが好みのどストライクだった為、それ以降リリアンに好意を抱くようになった。

 しかし今一歩踏み出せずになかなか告白も出来ぬうちに、今度は王都に帰ってきたシアンがリリアンに積極的に接するようになり、さらに出遅れる。

 その後、リリアンの前世がアシュリーだと知り、己の気持ちとリリアンの魅力を再確認する。


 闘技大会を勝ち抜き、晴れて魔王討伐隊の『英雄』となったデニスは、意を決してリリアンに告白をした。つもりだったが、リリアンに告白だとは受け取られず、失敗に終わってしまった。

 魔王を討伐し王都へ帰還後、リリアンがシアンに告白した事で、完全にフラれ、傷心を癒やす意味も含めて古龍の所に弟子入りした。

 古龍からは後継者になる事を求められ、それを引き受ける。しかし、眷属を増やす為に子をたくさん仕込め、なんならハーレム作れとの勧めに逆らい、その後は仙狐せんこの住処で世話になりながら古龍の特訓を受けている。


 * * *


 気さくで頼りがいがある。腕もたつし、頭もいい、ついでに背も高め(186cmだが、この世界のこの年代の平均身長は日本人の+5cm程なので、私たちのイメージから見ると、180ちょいのにーちゃんくらい)、ルックスも悪くない。これでモテない訳がない。

 恋愛経験はそこそこ豊富。初期~中期は同僚や後輩冒険者に告られて、Sランクになってからは貴族や町の有力者の娘たちが加わる。

 だが、冒険者女性たちとの交際も長くは続かず、偉いさんの娘たちとの交際は面倒なので嫌われるように敢えて振る舞って別れている

 自分から恋愛に向かった事は過去一度もなく常に受け身だった為、自分からの恋愛アピールはものすごく苦手。


 自身の失敗をトラウマにするなど、責任感が強く真面目なタイプ。

 付き合いやすい様に気さくに振る舞っているが、シアンほどバカにはなれないので『話しやすいいい先輩』が不動の位置。

 シアン同様よく食べる。筋肉は普通につく、ちょっとがっしり体形。



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◆ニール(ニコラス・ジルクレヴァリー)

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 正体を隠して冒険者活動をしていた、王族の少年。前『英雄』クリストファーの息子で、現国王の甥

 今回の魔王討伐隊で、王族の『英雄』を務める。


 種族:人間/男性

 年齢:(物語終了時)15歳

ランク:冒険者見習い→Dランク

 ジョブ:剣術、弓術

 外見:ミディアムの金髪、碧玉(エメラルド)の瞳、身長は標準(175cm→178cm/まだ伸びる)


 ニール・エドワード…冒険者としての偽名(母の母方の姓)

 ニコラス・ジルクレヴァリー…王族の一人としての、本当の名前。父方の姓

 ニコラス・レンフィールド…アレクと一緒に居た頃の田舎貴族としての名前。母方の姓


 * * *


 「ド田舎の貧乏貴族の息子」を自称し、身分を隠していたが、その正体は現国王の甥のニコラス。前・魔王討伐隊英雄のクリストファー(クリス)と、同じく元討伐隊のアレクサンドラ(アレク)を両親に持つ。(母親も貴族で、田舎で質素な生活をしているので、自称も嘘ではない)

 『英雄』であった亡き父のようになりたいと、また中傷を避けて田舎で暮らす母の汚名を雪ぎたいと、正体を隠して王都に上京し、冒険者見習いとなる。その際、祖父である先王ケヴィンと、母アレクサンドラの計らいにより、西ギルド所属の冒険者でもある王城騎士アランが、教育係として彼についた。

 そのアランの勧めで西の冒険者ギルドに活動の場を移し、リリアンやデニスたちと活動をするようになった。


 『貴族の少年』としてでなく、『冒険者見習い』として今までと違う事を学び、ひょんな事から『樫の木亭』の給仕をする様になったり、ミリアのつらい過去の話をきいたり、貧しい物売りの少年の為にバザーの企画を考えたりなど、様々な経験をし内面も成長させていった。

 ちょっとした誤解からリリアンたちと離れ離れになったことを切っ掛けに、『英雄』を目指すようになる。しかし、まだ見習いの身のニールは冒険者として討伐隊の一員になる事は諦めるしかなかった。その為、王族の一員として討伐隊に入ることを目指し、厳しい訓練を受けさらに成長する。

 ライバルのウォレスを手合わせで負かし、見事『英雄』の座を手に入れ、未熟ながらも一行のリーダーとして務めを果たした。


 魔王討伐後は王族として生きる事を捨て、西ギルドの冒険者として町に下り、ミリアを伴侶として長くはない生涯を終える。

 王族を抜けた後も、先王ケヴィンの代わりに諸国への繋がりを作る活動を積極的に行っていた。

 というと、聞こえがいいが、要は以前のようにシアンやデニス、リリアンたちを誘ってorねだって、諸国を巡っていた結果でもある(笑)


 * * *


 物知らずなところはあるが、教わった事や感じた事は素直に受け入れられる、意外に純粋な性格。

 学校に行っていない(勉強は家庭教師がついている)事もあり、今まで友達らしい友達がいなかった為、『友達』という言葉などを特に喜ぶ。またすぐに人を羨ましがる、真似をしたがる、あまり遠慮はしない。好奇心が旺盛で、全体的に前のめりの姿勢。たまにアランに注意されるが、実際には人を不快にさせるような程ではない。


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<裏話>

 ニールとケヴィン爺様の名前の元ネタは某アイドル()



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◆マーニャ/マリー/マーガレット

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 教会に所属するエルフの魔法使い。2代前の『英雄』で、且つ先代の神巫女

 今回の魔王討伐隊では教会魔法使いの『英雄』を務めた。


 種族:エルフ/女性

 年齢:見た目は20代前半だが、実際にはかなり年上

 ランク:(マーニャ時)Bランク、(マーガレット時)Sランク

 ジョブ:魔法使い/回復魔法、水魔法、神秘魔法 (他の属性魔法も一通り使える)

 外見:長い金髪、紫水晶(アメシスト)の瞳、背は標準+(165cm)、美人でスタイルもいい、胸は豊か


 * * *


 マーニャ……いや、マリーの母は初代の神巫女だった。

 遥か昔、ギヴリスにより女神シルディスが殺された事実を隠そうとした教会は、神巫女であったマリーの母を女神の代わりに仕立て上げる。マリーはその秘密を抱えたまま、二代目の神巫女になり、神に成り代わった母を奉った。


 神の国から召喚された『勇者』マコトの身には女神の魂の一部が宿っており、彼は真実と神の秘密を知っていた。

 マコトとマリーは、彼らなりにこの世界を崩壊から救う為に、『勇者の召喚』と『魔王の討伐』を演出しようとする教会に協力する事とした。

 それ以降マリーは、シルディス神の神力を封入した『神酒』を飲み、ただでさえ長いエルフの寿命をさらに伸ばし生き永らえ続けた。それだけでなく、何度も名前と姿を変え『英雄』や『神巫女』をも務めている。

 しかし、その目的はあくまでも『この星を守る為』であり、自身の欲望などの為ではなかった。彼女は彼女なりに、この世界を守ろうとしていただけだった。

 先代の王、ケヴィンが『英雄』として参加した先々代の討伐隊の時にも、神巫女の役と教会の『英雄』の役を務めている。その頃はマーガレットと名乗っていた。


 今のマーニャの名前と姿で魔法使いの冒険者として西の冒険者ギルドに姿を現したのは10年ほど前。デニスが13歳の頃だった。その頃から、今と変わらぬ姿をしている。

 先代神巫女マーガレットとしての素性を隠し、リリアンたち冒険者の仲間の一人として活動をしていたが、だからと言って皆に不利益な事をしている訳ではなかった。

 勿論彼女なりに、次の討伐隊のメンバー候補になる者たちを探す目的をもっていたが。

 皆を癒し、元気付け、落ち込んでいればじっくり耳を傾ける、そんな優しいマーニャは、特にニールやリリアン、ミリアたちにとっては、まるで姉や母のような存在でもあった。


 今回の魔王復活の前に、マーニャは前討伐隊のサマンサを探し出し、彼女の手で自らの命を『勇者の剣』に捧げさせようとしていた。それだけ、現在のこの星の状況が悪くなっていることを彼女は理解していた。しかし星の秘密を知ったサマンサは、逆に自身の命を『勇者の剣』に捧げる選択をした。

 マーニャはサマンサの最期の願いの通り、自ら討伐隊の『英雄』となった。一行と共に魔王城に赴き、囚われた神ギヴリスの前に現れた大司教を『勇者の剣』に吸わせ、自らの命も剣に捧げてその長い生涯を閉じた。


 * * *


 美人でスタイルよし、色気も胸もある。また酒に強い。かなりモテるのだが、大抵酒の飲み比べで撃退している。ただし、エルフの種族的な性格で、恋愛感情は薄い。割り切った『大人の付き合い』もそれなりにはしているらしい。


 マーニャが夜の相手を積極的に受け入れるのは、そのエルフという種族の特性と同様、『優秀な種を受け入れる為』だが、彼女にとってはそれだけではない。

 魔力の高い自身の血を引いた子供の魂は、よりこの星に力を注げることをマーニャは知っている。おそらく彼女の子供の何人かは、討伐隊のメンバーに選ばれ、その後『勇者の剣』によって星に捧げられている。

 唯一、その命を奪うのでなく守ろうとしたサマンサ。敢えてエルフの里で出産し、そこに置いてきたサマンサだけは、マーニャが心を寄せた男性との子供だった。


 * * *


<裏話>

 ぽよよん美人のおねーちゃん枠でキャラメイクしていたマーニャ。一番最初は、デニスの彼女枠もしくは奥さん枠の設定でした(新婚ほやほやで子供ができたばかり、なんて可能性もありました)。その設定が生きていたら、デニス×リリアンの可能性は全くなかったです。



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◆アラン

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 ニコラスの教育係の騎士 兼 ニールの「冒険者の先生」冒険者

 今回の魔王討伐隊で、途中から王族の『サポーター』として一行に加わった。


 種族:人間/男性

 年齢:(物語終了時)21歳

 ランク:Bランク → Aランク

 ジョブ:魔法剣士(複合)/剣術、風魔法、回復魔法

 外見:アッシュカラーで少し長めの髪、紺色の瞳、背は標準+(180cm)


 * * *


 出自は、街道沿いのある大きい町の商家の三男坊。幼い頃に討伐隊の活躍を知り、クリストファー王子とその騎士アレクサンドラに憧れを抱いていた。実家は長男が継ぎ、サポート兼長男のスペアとして次男までは重用されるが、アランは穀潰しとされる三男だった為、王都に上がって冒険者になった。

 その後、幼少時の憧れを追って騎士団に入団。冒険者としての経験がある点を買われ、ニコラス殿下(ニール)の教育係となった。


 最初はニールを他の貴族の坊ちゃん方と同じように、中央の冒険者ギルドでぬくぬくと活動させていたが、本人の「本当の冒険者になりたい」の希望通りに鍛える為に、先輩のデニスを頼って西の冒険者ギルドにやってきた。

 ニールの教育係として、また冒険者の先生として、時に兄のように共にすごす。

 討伐隊を決める闘技大会にも出場したが、デニスに勝てずに敗退。ニールが成人した事で教育係の役目をも終え、討伐隊の『英雄』となって王都を旅立つニールとは別れる事となった。


 その後、志願してアレクサンドラの護衛騎士として田舎町に異動。その町で、ウォレスが抜けた討伐隊の一行と再会し、アレクサンドラの強い勧めもあって、代わりの『サポーター』として討伐隊に加わることになった。

 魔王討伐後には、ニコラスとアレクサンドラは一緒に暮らす事になり、アランはアレクサンドラの護衛騎士に戻ったので、結局はアランとも一緒に暮らしている。


 「私はもう貴方の教育係ではありませんからね」とか言いながら、ニールに小言を言っている姿が目に浮かびます(笑)


 * * *


 男ばかりの兄弟の下で育ち、且つ父親が厳格で母親も大人しい女性だった為、「尊敬できる女性」や「自立している女性」に特に興味を惹かれる。そして、その「尊敬」が好意に変わり易い。その所為で、物語内でも何度か恋に敗れている。

 性格はいかにも騎士らしい生真面目タイプ。おそらく、作品中の主なキャラのうち、一番の生真面目性格。責任感も強い。

 本人の中には本当は緩い一面もあるのだが、自分で自分に言い訳をして『真面目であろう』とする面もある。

 1年一緒に暮らしていたニコラス(ニール)に対しては、教育係というより、「兄代わり」のように接しており、まんざらでもなかった様子。


 * * *


<裏話>

 メインキャラのなかで、一番優先度が低く、元は居る必要のないキャラでした。

 この世界の中での『冒険者制度』を考えた時に、『見習い制度』を作った結果、「金持ちは上級者を雇って、坊ちゃんを寄生or教育するだろう」→「当然ニールにも雇った誰かが付いているはず」で、彼が出来ました。

 彼のお堅い性格のせいで、アラン主体の話は時に書くのが難しく…… ブクマもはげました、ええ……



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◆ミリア・ギャレット

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 『樫の木亭』の給仕をしている、狐獣人の少女。可愛い上にしっかり者で、客からの人気も高く、ファンも多い。


 種族:狐獣人(金狐きんこ族)/女性

 年齢:(物語終了時)18歳

 職業:『樫の木亭』の給仕(ウエイトレス)→+『星の神ギヴリス』の神殿の巫女

 外見:長く緩やかなウェーブのかかった金髪、金の瞳、身長は標準-(160cm)、程よいスタイル(胸は少し大きめ)



 元は獣人の国、金狐族の生まれ。幼少時に怪我が元で親に捨てられ死にかけたが、当時の魔王討伐隊の一行に拾われ、王都の孤児院に預けられる。しばらくの間は、足の治療の事も含めベッドか部屋の隅で過ごすただただ大人しい少女だった。

 その後、自分を救ってくれた人(アシュリー、クリストファー)の死を知る。その際に自身が一番に傷つきながらも色々と尽くしてくれたシアンと、同じく自身が遺された身でありながら自分を妹として守ってくれようとしたデニスのお陰で、今の前向きで明るいミリアになる事ができた。

 さらにシアンには記録上(戸籍上)の保護者(義理の親子)として庇護されている。成人して孤児院を出てからは、伝のあった『樫の木亭』で給仕として働く事となった。


 今の自分の幸せは周りの人々のお陰という事を、ミリアはしっかりと理解している。そして自分の笑顔が、大切な人は勿論、『樫の木亭』に来る冒険者たちの癒しになっている事も理解している。

 だから皆を信じて待って待ち続けて、帰って来た時には笑顔で『お帰りなさい』と出迎える事を、彼女は選んだ。


 魔王討伐後は、封印されていた新しい神の神殿の巫女として、ギヴリス本人(本神?)にスカウトされ、『樫の木亭』の給仕と掛け持ちで巫女を務める。

 その後王族を抜けたニールと結婚。子供が出来たのをきっかけに、リリアンたちから譲り受けた西地区外れの木枠づくりの家にニールと移り住み、そこで生涯を過ごした。


 * * *


 僅か2歳(獣人の2歳なので、人間の4歳程)で自身の死を覚悟した経験を持つ彼女の考え方は、見た目の可憐さに似合わずシビアで大人っぽい。さらに孤児院の頃の仲間たちが、成人後に生活をたてるのに苦労しているのも知っており、その所為か甘えた考え方などをとても嫌っている。

 そこを除けば、可愛いものや綺麗なもの、甘いものが好きな普通の女の子。料理や裁縫なども好き。センスも良い。

 ちなみに自分の笑顔や容姿が、『樫の木亭』に来る冒険者たちの癒しになっている事も理解している。彼女が何着も違う仕事着を持って日替わりで着飾っているのは、半分は自分の趣味もあるが、半分は来客を楽しませる為でもある。


 兄代わりの二人に加え、『樫の木亭』店主のトムなど、頼りがいのある年上男性に囲まれている為、異性の好みは無自覚で厳しい。

 そんなミリアがニールの告白を受け入れた理由の一部に、クリスの面影をみたからというのもあるだろうか。でもきっと理由の多くは、ニールの真っすぐさや頑張りを見ていたからだろう。

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