2h彼氏と過ごす夜 〜女風使ってイケメン呼んだ話〜

後日談

Y改めT、そして。

　その2週間後、再び女風を利用した。なぜかって？ 推しのYさんが辞めそうだったから。

「最後に前回できなかったエロいことやってもらおう」と思い予約したが、Yさんが登場した瞬間にわかった。自分の長年の悩みが、なんとなくわかった。エロいことは一切する必要がないとわかった。ホテルに行ったがそれは変わらなかった。

　そのままベッドに転がって修学旅行トークをしていた。足をじたばたさせて、枕を抱えてゴロゴロしていた。しゃべっていたのはほとんどYさんだが。

　いろいろあって辞めるかも、ということでたくさん話をしてくれた。全部を真に受けるわけではないが、普通に楽しかった。超笑った。前回同様、ロマンチックとかエロのかけらもない。自然な流れで名前の話になって、互いに下の名前を言った。YあらためTくんになった。最後にハグされ「ありがとう」と言われた。しゃべってスッキリしたらしい。どっちがセラピストだ。あとね、ベビーオイルくれた。

　この2時間で、自分の理想の過ごし方がわかった。悩みの種も、昔から抱えていた疑問も腑に落ちた。簡単にいうとLGBTQIA+的なところだ。知人友人に自認している人はいるけど、自分も該当するとは思わなかった。

　Tくんとサヨナラし、家に帰ってめちゃくちゃ調べた。わかって良かった半面、どうして普通に生活させてくれないのかと泣いた。幼少期から人生のレールを外れがちだったが、セクシャリティでもそうなのか。

　だがしかし、自信の性的指向が判明したということは、出会いについて前向きになれるということだ。友人のススメでマッチング登録してみた。しかし、もう削除したい…。

　今回は半ば勢いで利用した女風で、自分の指向が判明する結果になった。欲を言えばもっとはやく知りたかった。そしていままでの自分に「あんたえらかったよ」と言いたい。

　周囲から「久納は冷たい」だの「まだ彼氏とセックスしてないの？彼氏が可哀想〜」なんだのいろいろ言われてきたが、もう気にしなくていいんだ。私は冷たくないし、誰かとセックスしたくないタイプの人間なんだ。つまり無性愛者だった。

それがわかっただけでも良かった。

　サンクスTくん。彼はその後、サイトから姿を消しました。

　これでおわり。ちなみに映画先輩にこのことを話した（※豆腐エッセイに度々登場する）らめちゃくちゃ笑って喜んでいたし、むしろ先輩も過去に女風サイト見ていた。さすがだな、と思った。最高の先輩だ。

　後で気づいたけど自分で書いたどの話にも自分の指向がばっちり反映されており、ビビリました。無意識、こわっ。