4 史上最高に美しいキス顔

 時間になった。最後はベッドから出てキスハグ。


 既にいい気分だったので、キスハグを忘れていた。すっぽり包まれるハグに、軽めのキス。はっきり言って、史上最高に美しいキス顔だった。相手の顔が好みだと、ここまで補正がかかるのか。


 帰り際に、ちょっとうっかりさんな所があったのですが、世の女子ならキュンキュンしてしまいそうなギャップでした。紳士ウリしてるわりにおっちょこちょいな一面が見えたので、そっちが地なんですね。たぶん彼の理想を演じてたのではなかろうか。はにかんだ笑顔が普通にかわいらしかったです。横顔すらめちゃくちゃ美しい。あの瞬間だけ脳内フォルダに保存しました。

 なるほどこうして女風沼にハマるのか…。

 

 駅まで送ってもらうまでの会話も面白かった。同業者の見分け方とか、仲良しセラピストさんの話とか。どちらも酒が飲めないトークで意気投合した。なんかもう、ロマンチックとか、エロとか、そんなワードは消え失せた。いい意味で気楽だった。

 酒が絡む現場でもがんばってんだな、エライなって言っているうちに、駅に着いた。


 改札前で「じゃあね」と言ったところでハグされた。ちょっと油断していたので、びっくりした。


”あそび”はホテルの中限定だと思っていたのだ。最後までちゃんとしてるなと思った。お礼を言ってバイバイする。改札を通り、エスカレータで降りるところで試しに振り返るとこちらを見ていた。「Y、ちゃんとしてんな!」って思った。


 手を上げて合図したところで姿が見えなくなった。これで元の他人同士になった。



次回、“まとめ”編。

 

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