3 Yさん登場


 こんばんは。と言って見上げる。

 

 でかい。わかっちゃいたけど背がでかい。

 仕事道具を抱えたYさんは、ニコっと笑って挨拶してくれた。想像通りの普通系イケメンだった。さっきの人じゃなくて、ほんと良かった。お店さん、疑ってすみませんでした。


 歩きながらホテルへ。私は全く詳しくないので、予算を伝えて、おまかせでお願いすることに。


 さりげなく車道側に移動するYさん。こういうのだよ。こういうさりげなさが垣間見えるのが楽しい。


 移動中、なんで僕を選んでくれたんですか? と訊かれた。みんなに訊いているらしい。「落ち付きあって、静かそう。目つきとか好き。手もきれい。あと声」と伝えた。実際、いい声だった。


 ホテルは偶然見つけた安い所で、カウンタにおばちゃんが居た。こういうのだよ、この場末感、と思った。


 部屋についた。マスクを外す。


 はっきりした目鼻立ちの小顔さん。

 私は流行りの塩顔より、ちょい濃いめが好みだったので、心の中で「ありがとう…」と小さな幸せかみしめる。


 施術の詳細を説明してもらう。Yさん、メモ用紙を探していたが無かったようだ。ティッシュの隣にあるのは? と聞いたら「これコンドームだね」と普通のトーンで返事があって笑った。ラブホなんだからそりゃそうだろうな。私としたことが。


 カウンセリングで、やってほしいこと、NGなことを伝える。

「今日はひたすら癒されに来ました。マッサージお願いします。エロ枠はキスハグオンリーで」

 と伝える。一番のウリであるエロ系マッサージを封印してしまい、拍子抜けしたかな? と思っていると「やりたい事とそうでない事がはっきりしてて、良いと思うよ」とにこやかに対応してくれた。ちょっと安心する。


 シャワーと歯磨きを済ませ、ガウンを羽織る。ちなみに下着は着用。彼氏には見せなかった勝負下着を、初対面の男にお披露目するとは思わなかった。

 そのあとYさんもシャワー。Tシャツと下着姿の男性って、無防備感がかわいくないですか。足がとても奇麗だった。

「モデルさんみたいだね」

 というと、Yさんは微笑んだ。言われ慣れてる、みたいな顔だった。


 照明の調節をして、ベッドへ。


次回、“あそびの時間”編。



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