第227話 溺愛
「なんと…ジャスティン商会も、神の宿り木商会の系列商会となったのか…」
「そうじゃ。そのおかげで神の宿り木商会の販路は大幅に増強され…今月の売上は先日の見込みの倍にまで膨れ上がっておるのじゃ」
「ば、倍ですか!?確か月終わりまでの見込みは、大白金貨二百億枚だったはず…と言うことは、大白金貨四百億枚にまで達した、と言うことですか?」
「そうなのじゃ。ジャスティン商会が神の宿り木商会の系列になったことで、どの支店も以前よりも客が殺到しておるらしくての…神の宿り木商会の商品の在庫はいくらでもあるゆえ、売り切れなどもない…卸売の契約を締結した、他の商会や商店の売上も劇的に増えておることもあって、卸売の量も劇的に増えてのう…全く、凄まじい勢いじゃて」
ジャスティン商会が、神の宿り木商会の系列となってから一週間。
すぐにジャステイン商会の全ての支店に、神の宿り木商会の系列を現す看板が設置され、その影響でどの支店にも買い物客が殺到。
神の宿り木商会からの、卸売の契約を締結している他の商会や商店も飛ぶ鳥を落とす勢いで売上が増加しており、その影響もあって卸売の量も激増している。
そのおかげで、そろそろ月末を迎えるこの時期で改めて売上を確認すると…
なんと、元々の見込みであった大白金貨二百億枚を遥かに上回る、大白金貨四百億枚もの売上を達成していたのだ。
神の宿り木商会の最大の売りとなる、商会の生産力。
それも、日々世界樹が発しているお告げによって、生産特化の亜人が日々リンに仕える為にと、スタトリンを訪れていることもあって、日に日に増強されている。
さらに、ジャスティン商会が系列の商会となったことで、接客・販売希望の人族の雇用はそちらで行なうようになっており…
販売スタッフも日に日に増強されていっている。
元々の五十名程から、倍の百名程にまで増強された業績管理部門では、リンの手によって作られる業績管理の魔導具、加えて書類生成の魔導具など…
世に出すことを泣く泣く諦めなければならない程の便利な魔導具が豊富にある為、業務そのものは非常に効率的で精度も高く、常に部門の職員達は無理なく働くことができている。
むしろ人員が増加したことで、交代で休暇を取る余裕ができた程となっている。
元々の五千名程から、倍の一万名程にまで増強された防衛部隊でも、幹部クラスがリンの生活空間と地下拠点、そしてスタトリンを護る方針は変わりなく…
それでいて日に日に増えている、神の宿り木商会の関連施設の防衛にも、余裕をもって隊員を派遣することができている。
元の二百名程から四百名程にまで増強された医療部門も、リンの地下拠点にある診療所はもちろんのこと、ジャスティン商会の一部支店である簡易診療所、神の宿り木商会の方でじょじょに展開していっている診療所には最低一名の医師と医療補助・事務担当が常駐しており…
それ以外は常時、商会の居住地にある医療部門の研究施設にて、日々医療の進歩の為の研究に勤しんでいる。
元の五百名程から千名程にまで増強された建築部門でも、主にジャスティン商会職員の方が依頼者との折衝・見積・要望のヒアリングを担当し、神の宿り木商会の職人達が設計・構築を担当するなど、きっちりと役割分担ができている。
そうした協力関係を築きつつ、日々建築の研究をしており、自己啓発も活発な状態となっている。
もちろん、サンデル王国の王都チェスターにある、ジャスティン商会のチェスター支店で定期的に行われている、高額商品のオークションも変わらず実施されており…
そこでリンや鍛冶部門、商品開発部門が作り上げた非常に希少で超高額な商品、またはリンや従魔達が狩りで得た高位の魔物の高級素材などはそちらで取引がなされている。
無論、数は出さずに商品一つにつき、月に一度と言う頻度に留めているので、供給過多による値崩れなども起こってはいない。
「…さすが、さすがはリン様が設立された神の宿り木商会…商会のスケールそのものが、他とは違い過ぎるな…」
「本当にその通りですわ、あなた。それに我が王家もオーダーメイドなどの依頼で、常に期待以上のものを頂いていますし…これからもスタトリンと共に良き関係を築いていきたいですわ」
「無論、我がスタトリン側も、今後もサンデル王国とは良き関係を築いていきたい…そう思っておるのじゃ。お互いに神の宿り木商会のおかげで国営基盤は非常に強固なものとなっておる…が、スタトリンは発展の勢いこそ凄まじいものの、まだ独立して間もない新興国…サンデル王国との友好な関係は非常に重要なものと、妾も国の重鎮となる者も、そう思っておるのじゃ」
「シェリル殿、それは我がサンデル王国も同じこと…我が国は大粛清による首脳の激減により今は再建の真っ最中…その再建を常に最高の形で支援してくれる神の宿り木商会…何より、守護神様として自ら危険な依頼をこなし、スタトリンのみならず我が国の相談役にもなってくださるリン様とのつながりは、もはやなくてはならないもの!!」
「そうですわ、シェリル様…人族にとって危険極まりない場所となる魔の森…その危険地帯のそばにあるスタトリンが、文字通りこの国…いえ、この大陸を魔物の脅威から護ってくださっているのですから…我が国の国民もリン様を守護神様として崇め、そのリン様が発展させ、独立させてくださったスタトリンを心からなくてはならない友好国として認めておりますわ」
「!…マクスデル殿とエリーゼ殿がそこまで言ってくれるとは…スタトリンの王として、妾はとても嬉しいのじゃ」
リンと神の宿り木商会の存在が、スタトリンとサンデル王国の関係を非常に良好かつ強固なものとしてくれている。
お互いがお互いを認め、決してなくてはならない存在だと…
シェリルとマクスデル、エリーゼの三人はとても和やかに、リンの地下拠点の地下一階で寛いでいた。
「こ、これ、ぼ、ぼく、が、つ、作った、んで、た、食べて、く、くだ、さい」
そこに、とても嬉しそうな笑顔を浮かべているリンが現れ…
三人が寛いでいるテーブルの上に、収納空間に入れていた自分の農場で採れた上質な茶葉から淹れた紅茶と、つい先程作ったばかりのとても香ばしく、匂いだけで美味しいことがすぐに分かるアップルパイを取り出す。
「!リン…リンが作ってくれたアップルパイ、妾とっても大好きなのじゃ♡」
「なんと…リン様がお作りくださったアップルパイとは…我はとても光栄でございます」
「ああ…リン様の手作りアップルパイ…わたくしとても嬉しいです♡」
そんなリンの心遣いに、シェリルもマクスデルもエリーゼもとても幸せそうな笑顔が浮かんでくる。
三人の笑顔が嬉しいのか、にこにことした笑顔を浮かべながらリンは三人の為にホール状のアップルパイを甲斐甲斐しく切り分けていく。
「!美味いのじゃ!やっぱりリンの料理は最高なのじゃ!」
「!おお…リン様の手料理は本当に美味しゅうございます!」
「!ああ…美味しいだけじゃなくて、とても幸せな気持ちに…リン様の手料理は本当に素晴らしいです!」
外はサクサク、中はとろりとしてあっさりとした甘みが口の中に広がっていく。
シェリルもマクスデルもエリーゼも、リンのアップルパイをとても幸せそうに頬張り、その美味を噛みしめていく。
「よ、喜んで、も、もら、えて、ぼ、ぼく、う、嬉しい、です」
三人がとても幸せそうに、美味しそうに自分が作ったアップルパイを食べてくれるのを見て、リンはますますにこにことした笑顔を浮かべて喜んでいる。
「はあ…♡…リン様可愛すぎます…♡」
「アップルパイを作られてる時のリン様…もう食べちゃいたいくらい可愛くて…♡」
「もうだめ…♡…リン様めっちゃくちゃに愛してあげたくて…♡」
「こんなにも可愛いリン様は、もうめっちゃくちゃに可愛がって、愛して差し上げないと…♡」
「リン様…しゅきい…♡」
リンが三人の為にアップルパイを作っているところから見ていた、メイド部隊のメイド達は…
まず拠点の家事を担っている自分達よりも遥かに手際よく、とても嬉しそうなにこにことした笑顔でアップルパイを作るリンに、もう膝が崩れてしまう程に悶絶していまう。
そして、三人に紅茶とアップルパイを振る舞い、それを三人がとても美味しそうに幸せそうに食べてくれて、嬉しくて嬉しくてたまらないと言わんばかりの笑顔で喜ぶリンに、また悶絶してしまう。
この日、リンの風呂の世話を担当する者…
リンの着替えを担当する者…
リンの添い寝を担当する者…
その誰もが、リンをめちゃくちゃに愛したくて、可愛がってあげたくてたまらなくなってしまっている。
「?み、皆、さん、も、た、食べ、ま、ます、か?」
とても可愛らしい、にこにこ笑顔のリンにその場にいた誰もが目を奪われており…
じっとリンを見つめていたのを、当の本人は自分が作ったアップルパイが食べたいのかな、と思ってしまう。
永久保存が可能な収納空間があるので、例によって大量に作っていたアップルパイを、地下拠点の地下一階にある、二十人は座れるような大きなテーブルの上に取り出していき…
その場にいる全員にいきわたるようにと、丁寧に嬉しそうに切り分けていく。
もちろん、紅茶の方もきちんと淹れて、みんなに飲んでもらえるように準備していく。
「え、えへへ…た、食べて、く、くだ、さい、ね」
自分が作った料理を食べてもらえることを、心底喜んでいることが分かる、とてもにこにことした天使のような可愛らしい笑顔で、リンはその場にいるみんなに用意したお茶とお茶請けを食べるように声をかける。
「あ、あああ…リン様…リン様…♡」
「こんなにもお可愛らしいリン様がお作りくださったアップルパイ…♡」
「リン様♡リン様がお作りくださったアップルパイ、わたし食べたいです♡」
「リン様お手製のアップルパイ…頂きます♡」
「リン様♡」
「リン様♡」
自分達の為に、手作りのアップルパイを用意してくれたリンの優しい心と、食べてもらえることを喜ぶ笑顔があまりにも可愛すぎて愛おし過ぎて…
その場にいるメイド部隊のメイド達、業績管理部門の者達、サンデル王国側の侍従達の誰もが、リンへの愛おしさをその瞳に宿しながら、リンが作ってくれたアップルパイを恭しく口にしていく。
「!お、美味しい…」
「やだ…リン様があたし達の為に、心を込めて作ってくださったって思ったら…」
「もう、どうしようもないくらい幸せな気持ちになっちゃう…♡」
「こんな、こんな美味しいアップルパイ…」
「初めて、初めて頂きました♡」
「だ、だめ…♡」
「リン様が、リン様がもっと…もっと愛おしくなっちゃいますう…♡」
リンが作ってくれたアップルパイは本当に絶品で、それを口にした誰もが、とても美味しそうで幸せそうな、蕩けるような表情を浮かべてしまっている。
それを味わうごとに、リンの愛情が伝わってくるようで…
誰もが、すでに天元突破しているはずのリンへの愛情が、ますます心から溢れてくるのを感じてしまう。
「え、えへへ…み、皆さん、が、よ、喜んで、く、くれて、ぼ、ぼく、う、嬉しい、です」
そんな彼女達を見て、リンは心底幸せそうな、ふわりとした可愛らしさ満点の笑顔を浮かべて喜んでいる。
そんなリンの笑顔に、彼女達はもうその溢れかえらんばかりの愛情を抑えることなど、できなくなってしまう。
「もお♡リン様…♡」
「わたし達、もっともっとリン様のことがだあい好きになっちゃいます♡」
「リン様が可愛すぎて、もうどうしようもなくなっちゃいます♡」
その瞳に抑えきれない程の愛情の形を浮かべながら、彼女達はリンを優しく包み込むように抱きしめ…
頭を優しく撫でたり、その幼い頬に唇を落としたりと、もうめちゃくちゃに可愛がり、愛してしまう。
「!あ、は、はな…」
「だめです♡」
「リン様はどうして、こんなにも天使みたいで可愛らしいのですか?♡」
「こんなにも可愛いリン様、あたし達の愛で包み込んで、めちゃくちゃに可愛がりたくなっちゃうじゃないですか♡」
「リン様…私達絶対にリン様のことをお独りになんてさせませんからね♡」
「リン様はもう、わたし達の愛を目いっぱい受け取って頂かないと♡」
リンの拠点、生活空間で暮らしている者達は誰もが、とても平和に幸せに暮らすことができている。
仕事はとても楽しい。
住処はとても快適。
食事は何もかもが美味しい。
同じ場所で暮らす誰とも、とても友好的に接することができる。
なのに給金は富裕層並に多い。
何より、それらを与えてくれるリンは、傍にいるだけで精神の安寧を与えてくれる。
見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれる。
そんな、まさに非の打ちどころのない最高の主となっている。
そんなリンをこうして、その溢れんばかりの愛で包み込んでめちゃくちゃに可愛がってしまうのは、必然であるとリンの拠点、生活空間で暮らす女性陣は思っている。
称号【ぼっち】による、コミュ障と言う孤独を強要させられる呪いを背負うリンを…
なのに他者の幸せと喜びを我が事のように喜び、その為にその規格外の力を惜しむことなく使ってくれるリンを、絶対に孤独になんかさせないと、彼女達は心に誓っている。
「リン…♡…妾もリンをめっちゃくちゃに可愛がって、愛してあげたくてたまらんのじゃ♡」
「リン様…わたくしは絶対にリン様を孤独になんて、させませんわ♡」
リン手作りのアップルパイが頬が落ちそうな程に美味しくて、とても幸せな気分に浸っていたシェリルとエリーゼも…
リンを可愛がって、愛したくてたまらなくなり、リンをぎゅうっと抱きしめて離そうとしない。
リンを抱きしめているだけで、心に幸せが溢れてくるのがたまらなく心地よくて…
シェリルもエリーゼも蕩けてしまいそうな表情を浮かべてしまっている。
「ぼ、ぼく、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ……………きゅう……」
そして案の定、その場にいる女性達に抱きしめられて可愛がられて、もうどうしようもなくなってしまい…
リンはいつものようにその意識を手放してしまう。
もちろん、リンが気絶したからと言ってシェリル達がリンを離すわけなど微塵もなく…
すうすうと眠るリンの天使のような愛らしい寝顔を思う存分に堪能しながら、リンを抱きしめてキスして頭を撫でて、めちゃくちゃに可愛がってしまうのであった。
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