第223話 飛躍
スタトリンとジャクリーヌ一派の戦争終結から、十日が過ぎた。
サンデル王国は、国に巣くっていた魑魅魍魎共をその戦争で大罪人として一掃することができたこともあり…
領主不在の領地が多数発生した為、国の首脳はその対応に追われている。
すでに神の宿り木商会の協力もあり、領地として目覚ましい発展を見せるキーデンの領地に近い、領主不在の領地をいくつか統合し、そこにキーデン伯爵が信を置ける代官を着任させて、ひとまずは領地の経営を行なっている。
「心配ない…私には偉大なる守護神様となるリン様がついていて下さる!!これまで、心無い貴族達の圧政に苦しんできた民達を、我がキーデンの領地で幸せに暮らせるようにするのは、この私の役目!!リン様!!その為にも、どうかこの私にそのお力をお貸しください!!」
最も、新たにキーデンに加わった領地にも神の宿り木商会の関連施設が順次展開されていっており、これまでの悪徳貴族による圧政から、キーデン伯爵の民を大切にする極めて清廉で民にも無理のない領地経営が行われており…
それだけでも天と地ほどの差があると、領民は大いに喜び、平和に暮らしている。
加えて、神の宿り木商会の関連施設が展開されていっていることで、民がより暮らし豊かな領地へと変わることができている。
宿屋ができたことで、そこに泊まる為に他国や他地域から人が来るようになった。
レストランができたことで、そこの料理を味わいたくて他国や他地域から人が来るようになった。
ジュリア商会の支店ができたことで、非常に新鮮で上質な食材を求めて多くの人が来るようになった。
冒険者ギルドの支部ができたことで、害獣討伐や採取など、様々な依頼ができるようになった。
それにより、領地の経済効果は目に見えて向上し、民の生活水準も明らかによくなっていっている。
加えて、神の宿り木商会からの卸売の契約を締結する商会や商店も増え、目に見えて業績が向上していく為、雇用の需要が増えて民が仕事にも困らなくなり、一家庭あたりの収入も目に見えて増えていっている。
「俺の領地の特産物となる鉱石や宝石を、リン様の神の宿り木商会で買い取って頂けるとは…そのおかげで、領地の収益も倍増している!!守護神様、万歳!!」
「私の領地の特産物となる海産物も、リン様の神の宿り木商会で買い取って頂けて…そのおかげで、領地の収益も倍増…ああ…偉大なる守護神様…」
そして、ブレイズのヴォルカニック領にウンディルのシーサイド領にも、神の宿り木商会の関連施設が順次展開されていき…
当然のように領地の経済効果は上昇、雇用の拡大にもつながり、民の生活は目に見えて向上していっている。
それだけでなく、ヴォルカニック領の特産物となる…
【火】属性の魔力を多量に内包した魔石となる『炎魔石』を筆頭とする鉱物類。
さらには、シーサイド領の特産物となる…
巨大なイカの魔物となる『クラーケン』、凶悪な肉食の水棲魔物で、まるで魚雷のような突進攻撃を得意とする『デビルシャーク』などを始めとする海産物。
それらを、神の宿り木商会が素材や食材として購入してくれることとなり、領地の収益は目に見えて上昇していっている。
それとは別に、鉱物類の採掘や海の魔物の討伐を冒険者ギルドに依頼することができるようになった為、民の安全もより確保しやすくなり、領地の特産物の入手もより安全に行なうことができるようになっている。
そして、ヴォルカニック領とシーサイド領も領主不在となった近隣の領地を統合することとなり、ブレイズもウンディルも自身が信の置ける代官をその領地の領主として配置し、大幅に上昇した領地の収益も活かしてさらなる領地の改革に臨んでいる。
結果、拡大したキーデンの領地と同様に、悪徳貴族の圧政に虐げられてきた領民達が天と地程も違うと言い切れる程に住みよい領地となり、民に大いに喜ばれている。
領主を担う貴族の数こそ少なくなってしまったものの…
今残っているのは民を思い、民の為にとその力をふるうことのできる、確かな実力と高貴な精神を持った貴族ばかり。
しかも、ブレイズやウンディルのように国の未来を担う若い貴族がほとんど。
その若手達の成長を願い…
マクスデルとエリーゼはあえて一人一人の負担を増やす形で、各貴族に領地の経営を命じたのだ。
今は最悪の状況まで陥った領地を統合しての経営に、四苦八苦している貴族も多いものの…
それも長くは続かない、とマクスデルとエリーゼは確信している。
何故なら、サンデル王国は常に守護神となるリンの守護があり、そのリンが設立した神の宿り木商会が、国内にどんどん関連施設を展開していっている。
しかも、神の宿り木商会が来てくれた領地は例外なくいい方向に進んでおり、今後は安泰だと言えるような状況になっていっている。
そのことを、領地を新たに統合してからの領地経営に苦しんでいる貴族達も耳にしており…
神の宿り木商会が、守護神リンの救いの手が来てくれるまでの辛抱だと、目いっぱいの頑張りを見せてくれている。
サンデル王国の領地がどんどん改善されていると言う噂を聞きつけ、他国から流れてくる者もじょじょにだが増えており…
サンデル王国の国営は、間違いなく回復に向かっている。
これからのサンデル王国の未来を思うと、マクスデルもエリーゼも喜びがこみ上げてくるのであった。
――――
「「「「「「「「「「リン様!!我ら世界樹のお告げを頂き、リン様にお仕えさせて頂く為、このスタトリンまで馳せ参じました!!」」」」」」」」」」
リンの生活空間に根付いている為、リンから直接魔力も水ももらえている世界樹。
それにより、さらにその力を増しており…
自然に生きる亜人達へと送るお告げも、より鮮明に、より距離を増して送ることができるようになっている。
その為、スタトリンには世界樹をこの世に復活させてくれた英雄リンの下で、リンに仕えたいが為に移住してくる亜人が、後を絶たない。
この日も多くの亜人がこぞって、神の宿り木商会の事務所の方へと訪れ…
世界樹のお告げにより、リンに仕えたい旨を真っすぐに交渉担当に伝えてくる。
戦争が終わってからの十日間で、実に数万もの亜人が神の宿り木商会の従業員となり…
ついにスタトリンの人口は十数万を突破、神の宿り木商会の従業員も十万に到達することとなった。
従業員の居住地は一つの小国に匹敵する程発展しており、様々な種族が分け隔てなく、とても仲良く幸せに暮らせている。
商会の業務も、それぞれが得意分野を活かして生産に、防衛にと力を発揮しており…
商会の生産力も著しく向上していっている。
・宿屋…七十二店舗→百四十四店舗
・パン屋…三十六店舗→七十二店舗
・レストラン…三十六店舗→七十二店舗
・ジュリア商会…四十五店舗→九十店舗
・冒険者ギルド…三十六支部→七十二支部
・孤児院兼ごみ収集場…三十六支部→七十二支部
・商会拠点…四拠点→二十拠点
・診療所…十店舗(New!!)
関連施設の展開も順調に進んでいき…
今ではサンデル王国の領土の半分程まで、関連施設を展開することができている。
加えて、商会の医療部門の医師も数、練度も十分な程になったのを機に、系列の診療所の展開も開始することとなった。
診療所は例によって展開する店舗の規模こそ小さめで、医療器具と薬品はリンの収納の魔道具から設置・使用できるものの…
主に重症手前の怪我や病気の治療を目的に、各店舗に最低一人医師と事務の者が常駐して運営する形となっている。
あまりにも重症で、店舗での治療が不可能な場合は、リンの地下拠点にあるスタトリンの診療所へ搬送することとなる為、そちらへの転移陣も設置されている。
その為、地下拠点の診療所はさらに拡大されて、いざという時には入院治療もできるように二十床もの診療ベッドが設置されることとなった。
とは言え、元々診療所どころか医師すらいないような地域を優先して展開していっていることもあり、診療所を作った地域の民にはとても喜ばれており…
医師の腕も対応もいい為、怪我をした者、病気になった者は誰もが信頼して神の宿り木商会系列の診療所へと訪れるようになっている。
「す、凄いです!!」
「どの領地でも、我が神の宿り木商会の存在を領主様にとても喜んでいただいてます!!」
「商会の拠点となる事務所の方には、ひっきりなしに魔道具や武器防具などのオーダーメイドの依頼が入ってきますし、商品の卸売契約の商談も後を絶ちません!!」
「ヴォルカニック領の特産となる鉱物類に、シーサイド領の特産となる海産物のおかげで鍛冶部門と食品加工部門が新たな商品の、調理部門が新たな料理の開発に成功しております!!」
「関連施設の展開も進んで、売上は爆発的に上昇中!!全く勢いが衰える気配がありません!!」
「冒険者ギルドも、依頼が殺到して冒険者の方々が精力的に依頼を受注、完遂してくれており、サンデル王国内でも大好評となってます!!」
「神の宿り木村の方も、村人は五百人を突破!!そこからも生産に特化した亜人の方が従業員となってくれており、商会の生産力は著しく向上しております!!」
「リン様の教会も、スタトリンの中はもちろん外からも参拝者が絶えず訪れており、誰もが喜びの声をあげてます!!リン様の元で結婚式を挙げたいと言う男女も相当数になっており、予約が一年先まで埋まってしまっている状態です!!」
「商会設立から二月目となる今月は、初月を遥かに上回る大白金貨百五十億枚をすでに売り上げております!!このままの勢いが続けば、大白金貨二百億枚に達する見込みです!!」
商会の業績管理部門の面々は、凄まじい程の神の宿り木商会の大躍進に喜びの声が止まらない。
ヴォルカニック領とシーサイド領の特産物のおかげで新たな商品や料理の開発に成功し、それのおかげでまた売れ筋が増えることとなった。
商会への、高単価の個別依頼も激増しており、その依頼も依頼主の期待をいい意味で裏切る結果で完遂しているので、さらに依頼が増えていっている。
加えて、商品の卸売契約を求める他商会や商店の商談も、至る所で頻発しており…
卸売の契約締結と共にリンの貸倉庫サービス、商会の配送業の契約も締結される為、より売上の上昇につながっている。
サンデル王国の王家、つまりマクスデルやエリーゼからも、神の宿り木商会の力を信頼しての高単価依頼が頻繁に来ることもあり、しかもそれを完璧に遂行している為、神の宿り木商会の評判は王家お墨付きとなっており、国内でも最高峰の評価を受けている。
冒険者ギルドも各地で依頼が殺到しており、それを所属する冒険者達が悉く完遂してくれているので、どの領地でも喜びの声が絶えなくなっている。
特にリンの生活空間にある、冒険者御用達の広場からどの支部にも移動ができる為…
各地から来る依頼は常に本部、支部全てで共有されている。
その為、住んでいる場所を問わずその依頼に適した冒険者が依頼を受注し、それを遂行することができるようになっている。
神の宿り木村の人口も五百人にまで達しており、村人に生産特化の人材が多く現れているので、より商会の生産力が向上している。
リンを崇拝する教会も、スタトリン国外からも参拝者が訪れる程に知名度が上がっており、教会の開場時間内は常に人で大賑わいとなっている。
さらには、教会の礼拝堂で結婚式を挙げたいと言う男女が、種族を問わず次々と予約をしており、もうすでに一年先まで予約が埋まっている。
商会設立から二月目となるこの月は、初月を大きく上回る大白金貨百五十億枚をすでに売り上げており、このままの勢いが続けば大白金貨二百億枚に達する見込みとなっている。
「ははは…さすがはスタトリンの守護神となるリン君が設立した商会…我がジャスティン商会も売上・利益共に過去最高を日々更新する程の好景気なのだが…正直桁が違い過ぎるな」
「しょ、商会、の、み、皆さん、が、い、い~っぱい、は、働いて、が、頑張って、くれる、お、おかげ、です」
「ははは…リン君は相変わらずだなあ…そんなリン君だからこそ、神の宿り木商会は誰もが君を慕って一生懸命働いてくれるんだよ」
「そ、そう、で、です、か?」
「そうだよ、リン君。商会の総従業員数がすでに十万にまで達しているにも関わらず、これ程の一体感と協調性を各個人個人が持って業務に取り組むことができ、しかも休日でも仲良く遊んだりすることができている…これは本当に凄い事なのだよ」
「み、皆さん、が、し、幸せ、なら、ぼ、ぼく、う、嬉しい、です」
「!うむ…会頭となるリン君がそうだからこそ、従業員一人一人もそうなっていくんだろうね…まさに君はこのスタトリンの…そしてサンデル王国の守護神だよ」
決して自分のことを主張せず、ましてや驕ることなど皆無。
どこまでも、自分以外の功績を主張し、自分以外の誰かが幸せなら、それを一番に喜ぶ性格のリン。
そんなリンが会頭だからこそ神の宿り木商会の従業員は誰もが幸せに楽しく生きることができているのだと、ジャスティンは思う。
誰かの幸せ、喜びを思い、浮かんでくる天使のような愛らしさに満ち溢れているリンの笑顔。
この笑顔は、何が何でも護りたくなってしまうと、ジャスティンは思わされる。
「もお~リンちゃんったら♡どうしてリンちゃんはこんなにも可愛くて、こんなにも愛したくなっちゃうの?♡」
「リンちゃん♡リンちゃんがそんな風に言ってくれたら、私はリンちゃんの補佐としてもっともっと頑張りたくなっちゃうじゃないか♡」
「リン様♡私達メイドは、リン様の幸せと喜びが何よりの幸せ…そしてご褒美なのです♡私達、もっともっとリン様のお世話をさせて頂きたくなっちゃいます♡」
「旦那様♡旦那様がウチのすることで幸せになってくれたら、ウチはそれが一番幸せです♡」
「ああ…このスタトリンと、我がサンデル王国の守護神様…♡…リン様、このアンはリン様が喜ばれるお姿を拝するのが一番の幸せです♡リン様のお世話、このアンがこれからもい~っぱいさせて頂きます♡」
「リン様♡このマテリアはリン様を心の底から愛しております♡リン様の幸せは、このマテリアの幸せです♡リン様…はあ…♡」
そんなリンのそばに、それぞれの仕事が一区切りついていたリリム、エイレーン、ローザ、フェリス、アン、マテリアが寄ってきて…
その瞳にリンへの止めどなく溢れてくる愛情の形を浮かべて、全員で寄ってたかってリンを愛そうと、ぎゅうっと抱きしめてしまう。
「!は、はな…」
「だあめ♡リンちゃんはめっちゃくちゃに愛されないといけないの♡」
「そうだよ、リンちゃん♡私は会頭補佐…だから、会頭となるリンちゃんのサポートをするのは当然だし、こうやってリンちゃんを愛するのも当然なんだよ♡」
「リン様♡ローザは…ローザはリン様を愛したくて愛したくてたまらないのです♡リン様は、こうして目いっぱい愛されないといけないお方なのですから♡」
「旦那様♡旦那様のこと、ウチがい~っぱい愛してあげたいです♡」
「ああ…リン様…♡…リン様をこうして愛することができて、アンは…アンは幸せ過ぎておかしくなってしまいそうです♡」
「リン様♡わたしリン様にず~っとお仕えさせて頂きます♡リン様のこと、めっちゃくちゃに愛させて頂きます♡」
いきなり抱きしめられて、リンは驚き慌てふためいて、儚くいやいやをしながら抵抗してしまうも…
リリム、エイレーン、ローザ、フェリス、アン、マテリアがそんな抵抗を許してくれるはずもなく、いつものようにリンの頬にキスの雨を降らせて、めっちゃくちゃに可愛がって、愛してしまう。
それだけで幸せ過ぎてたまらないのか、リリム達の美貌にとろとろに蕩けた表情が浮かんでしまっている。
そして、何が何でもリンを、その幼く小さな身体に背負う呪いに負けないようにめちゃくちゃに愛してあげないと、と言う思いがどんどん強くなっていく。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ……………きゅう……」
案の定、己の中のコミュ障がはじけてしまい、リンは意識を手放してしまう。
そして、すやすやと天使のように可愛らしい寝顔を晒しながら眠るリンを、リリム達はますます可愛がって愛して、絶対にリンを孤独にしないように、目いっぱいの愛情を注ぐようにしてしまうのであった。
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