【過去】03 新たな決意
そこで翔琉は目を覚ます。気付けば涙でぐちゃぐちゃだった。体を起こし袖で涙を拭く。
「起きたか?」
ふと声のする方を見ると、シュラが姿を現した状態で壁に背をあずけ腕組みをして立っていた。基本現代では姿を現さないはずなのにと思うが、理由は分かっている。
「シュラ……」
「大丈夫か?」
「まあな……」
翔琉は弱々しく笑う。気持ちの整理が出来ず、まだ元気に笑うことが出来ない。
「
「…………」
「なんか……辛いな……」
「だろうな。あいつらの最後は壮絶だったからな」
「違うよ」
シュラは怪訝な顔を翔琉に見せる。
「お前がだよ」
「!」
「お前は毎回あんな辛い思いをしてるんだな……」
「しかたないさ。お前達の方が先に死ぬんだからな」
シュラは苦笑しながら言う。
「そうだけどさー。でも俺の前世の死に方は、全部お前が納得いく死に方じゃねえだろ?」
「――」
翔琉は布団をたたみ、押し入れにしまいながら話す。
「ずっとお前は後悔してるんだろうな」
「――」
シュラは目を閉じふっと笑うだけだ。否定しないということはそうなのだろう。
「お前にとっては辛い出来事だと思うけどさ。俺にとってはあいつらの死は無駄じゃなかったと思うんだ」
「?」
「気付いてるか? 俺と言う存在は、生まれ変わる度に対ナグナスへの耐性と能力が加えられてるんだぜ」
「そうだな」
「時朗の前までは強さがなかった。だから強さを時朗に与えた。そして時朗の時にされた洗脳に対して奏時は【
最後の翔琉の意味深な言葉にシュラは眉を潜める。
「どういうことだ?」
「時を司る神様が使うすべての力を使えるようになったってことだ」
「!」
そこでシュラは翔琉が何を言いたいか理解した。
「一部じゃないのか?……」
「すべてだと思う。だから時を司る神様は俺に言ったんだ。見誤るなよと」
「まじかよ……」
「ああ。俺、この世界を滅ぼすことも出来ちゃうってやつだな」
「おい!」
シュラが真剣な顔で諫めるように強い声音で言う。
「するかよ。俺は興味ないし、そんなことしたら俺が住む場所がなくなっちまう。今回はじいちゃんになるまで生きるんだからさ」
「!」
「たぶんだけど、奏時までの死は時を司る神様があえてそうしたんだと俺は思うんだ」
「え?」
「なんとなくだけど分かったんだ。今までの俺の死はナグナスに殺されていない。自分で死んでるんだ」
「!」
そこでシュラも気付く。
――確かにそうだ。すべて自分で命を落としている。
「ナグナスは俺を自分の手で殺すことに執着しているんだ。だから時朗が崖から落ちた時、あいつは舌打ちしたんだ」
「そうなのか?」
「ああ。そこまで見せられた。ナグナスは邪魔が入ったとも言ってたからな」
「まさか……」
「ああ。時を司る神がわざとそうしたんだ。俺に力を与えるには必要だったんだろうな」
翔琉はシュラの前に立つと顔を見上げる。
「だからお前が悔やむ理由はないんだよ」
「――」
「何回も言わせるなよ。お前のせいじゃない。時を司る神様のせいだ」
そう言って翔琉はにぃっと笑う。
「あっ! このこと神様には内緒な」
そう言って周りをなぜか見渡しながら人差し指を口元にあてる翔琉にシュラは笑う。
「あほ。すべて神は聞こえてるぜ」
「げ! まじか」
「当たり前だろ。相手は偉い神だ」
「やべえ。力奪われるかな」
本気で怯えている翔琉にシュラは鼻で笑う。
「大丈夫だ。神はそんなチンケなこと、なんとも思ってない」
「だ、だよなー」
そして翔琉はほっと肩をなで下ろす。そしてシュラを改めて真剣な顔をして見る。
「シュラ。今回で終わりにするぞ」
「翔琉……」
「今回が本番だ。今までが練習だったんだ。だから俺に力を貸してくれ」
「当たり前だ。俺はお前の守護神だぜ」
そして翔琉は拳をシュラに突き出す。
「頼むぜ。俺の唯一の守護神!」
「ああ」
シュラも拳を出し翔琉の拳にぶつけた。
部屋の外ではその様子を亘と未桜、昇、越時が笑顔で聞いていた。
「俺達も助けてやらねえとな」
越時が翔琉に聞こえないように呟く。
「ああ」
「だね」
「うん」
3人も大きく笑顔で頷いた。
――――――――――――――――――――――
こんにちは&こんばんは!
碧心☆あおしん☆ です(^^)
ここまで読んでくださりありがとうございますm(_ _)m
過去編 3話は シリアスな話になっておりました。
どうもシリアスな話を書くのは苦手で、ちゃんと伝わったか心配でもあります。
なのに過去編3話が私は一番好きという(^^;)
この『時渡り』の核とまでは言わないけど、翔琉とシュラの絆を語るには必要不可欠な話になっていました。
ちょっとでもうるっときてくれてたらいいな~。
次はちょっとキャラが多いので、キャラクター紹介にしました。
これからもよろしくお願いします。
コメントや♡、☆をいただけたら、私、大喜びでございます(≧∀≦)
くだらないコメントも大歓迎w(自分がしてるから)
お待ちしておりますm(_ _)m
――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます