【シリーズ恋イカ短】恋する令嬢女白騎士団長が田舎から出て来た芋作副団長をマウンティングするけど言う事を聞かない【マンφ千代・著】

クマとシオマネキ

序章、カリスマ女騎士団長とカリスマドッグトレーナー

 

 数ある王政国家の立ち並ぶミルドガリアの世界、その中にあるアスガルド王国。


    『ハーシュ団長の白狼騎士団』


 その名はアスカルド王国の八騎士団と言われる騎士団の中で、突破力と速度、武勇に誇る優れた騎士団であった。

 無論、その性質において、ほかの騎士団と連携が取れず、かの騎士団は幾度となく敵陣にて孤立した。

 しかし、どのような状況でも知恵を絞り生還してくる生命力。

 それが白狼騎士団の真骨頂と言われている。


 しかし、その名が天下に轟いたのは別の理由がある。

 それは白狼騎士団・団長 【シルヴェーヌ・ハーシュ】団長の存在だ。

 

 まさに自狼の名に相応しい、絹糸の様な美しくウェーブのかかった髪、背丈は並みの男より高く中性的だが、息をのむ美しさというのは彼女の為の言葉と言われる。

  彼女が馬に跨り往来を行けば街の民衆はこぞって声をあげて手を振り、舞踏会においても磨き上げた豪奢なドレスアーマーのまま現れ、他の令嬢からの冷やかしの言葉に「これが私の正装ですわ、貴女達こそ貧相な身体ね」 と言ってのけた。


 そして、その場では一切踊らずとも貴族達はこぞって彼女に求婚した。


 シルヴェーヌ家のレトリバー侯爵の侯爵令嬢として生まれ、何不自由ない生活を送れる環境の筈の彼女が、何故? 騎士団という茨の道を選んだのか?


 それは…天は彼女に様々な恩恵を与えた。

 容姿や立場だけではない。

 令嬢でありながら当千の力を持ち、魔術においては魔女も裸足で逃げ出す才能を発揮した。


 そして人材、白狼騎士団の副団長イモダス。

 幼い時に田舎から出てきてシルヴェーヌ家に引き取られた時はポンコツだった。

 何故なら彼の家は犬のトレーニングの専門家。 ドッグトレーナーの家系である。

 正直、騎士団とも貴族とも、何も関係無い。

 家の者も団員からも、昔も今も芋作さんと呼ばれている。


 しかし、荒くれしかいなかった騎士団にハーシュとイモダスが入ると途端に変わっていった。

 未だにハーシュ団長によるほぼ脅迫でしかない渉外はともかく、局地的な戦力と戦略に関してはみるみるうちに向上し、現在では白狼騎士団に策は通じず、敗北無しと言われている。

 この功績、ハーシュのものとなっているが、実はイモダスの神算鬼謀ではないかと言われている。


 これはあくまで市井の噂話だが・・・


 ハーシュがイモダスに熱をあげている…


 それも灼熱の太陽のような熱のあげかたらしい。

 考えられないが…お見合いや男性と会う時にイモダスがいるのは当たり前。

 酷い時は天下の往来でイモダスを押し倒す、天下の往来でイモダスに首輪を付けられ引っ張られる、天下の往来で足ががに股の四つん這いになり「このままでは地面に落ちてしまいますわ!「おい!やめろ!」との掛け声にイモダスが脱臭袋を持ってスカート内に侵入した等…

 片時もイモダスを離さず側に置いているという。


 謂わばカリスマのハーシュ、頭脳のイモダスと言われているが真実は果たして…?


 後世まで残る逸話…吟遊詩人は謳い語り継ぐ…しかし…この2人の詩は戦いではない、愛の歌だと。


 ある時はお見合いの場でハーシュは愛を叫び


 ある時は勇者に魅了されたハーシュにイモダスが愛の鞭を


 そんな騎士団長と副団長が南の蛮族を制圧し、凱旋パレードから始まる物語だ。



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