ワゴンの中の残り香
ドラッグストアを歩く
目当ての物だけ買うはずが
値下げのワゴンが
視界のすみに入った
10%引きのシールが貼られた
ごく普通のボディソープ
思わず手に取るのは
香りを思い出したから
オレンジのような
シトラスのような
ごく普通の
あの人の香り
いつの間にか
お風呂場に置かれていた
どんなものなのかと
勝手に使ってみた
一緒に入ったときに
自分のボディソープとまざり
変な匂いだと言いながら
下らない事ですぐ笑った
上辺でしか笑う事ができない
欠陥人間に成り下がった私は
あの思い出だけでも
浸れるのだろうか
頭痛薬を持っている左手に
割引シールの貼られた
ボディソープも持った
ろくに使いもしないくせに
ただ思い出すだけのために
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます