1枚の紙が


とても綺麗で大事にしていた

そして紙も優雅を纏っていた


いつの日だろうか


するりと気がついた時に

一本の折り筋があった


元に戻そうとそっと折り返す

折り筋はさらに深く濃くなる


ああ、どうしよう

元に戻るだろうか


何も無かったようになるのか

焦りに焦り、頭を抱える


下を向いて悩んでいると

紙は風に乗りこんで飛んで行った


ひらりひらりと

楽しそうに舞う


見失わないように追いかけた


漸く見つけたひらひら紙には

数本の折り筋が


ああ、元に戻るだろうか

戻って欲しい、お願いだ


一生懸命に伸ばした

泣きながら伸ばした


無理なんだ、分かっている

紙は誇らしげにくしゃくしゃだ


元には戻らない


それならば、折り紙にすればいい

紙が望むように、綺麗に折ろう


必死に綺麗に紙を折る


紙が望むのか分からないままに

一生懸命、形を折り変えた


出来上がったそれは

見かけは綺麗に取り繕えた


だが、少しのずれは

多少の、折り筋は


どうしても残ってしまった


どうしてだろう

私が下手なのだろうか


私が悪いのだろうか


お前がそうしたんだろうと

言わんばかりに

紙は静かに立っている


そのずれを、その折り筋を

飾りと思い込もうとした


綺麗な模様だと思い込んだ


それでも、それはすれ違い


紙は自ら変身する

飛行機、鶴、風船、手裏剣

楽しそうに形を変える


自我を持って変わっていく

風に乗ってひらひら飛んでいく


ああ、追いかけなければ

ああ、追いつかなければ


体力がない、追い切れない

息を切らして、足を止めた


ひらりひらりと飛んでいく

それは紙の望みとどんどん進む


紙は遠く小さく

追いきれぬ私を置いていく


それが、紙の意思

それが、良いのだろう


いつかまた

会える時が来たら


お互いに変わった姿に

もし気がついたなら


万が一の望みもない

その時に、手を取ろうか

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