不幸体質の私は幸せを手放しがち
朝香るか
第1話親からの勘当1年前
「お前は何もしないな」
「本当に。家事もできない子なんて恥ずかしいわ」
家に何も利益がないから勘当だと言い渡された。
平平凡凡な容姿の私。
「――そんな。皆学校に通っているのになぜ?」
「あなたがいい成績をとっても来ず、
かといって家事をするわけでもないからですわ」
勉強で手いっぱいで家事をするなんて考える余裕もなかった。
確かにしていない。
中学での先輩の幾人かは高卒で働いている者もいないではなかったようだ。
私が今通っているのは進学校と名高い公立高校。
当然周囲の人たちは専門や大学や大学院まで目指している。
自分だって進学するものと思っていたのに。
学校で進路どうこうという話の出る前に。
「高卒決定か」
「1年、猶予をやる。出ていけ。そして実家と思うな」
実の親のはずなのに、悪魔に見えた。
愛情がなかったとは思わないが、年々母からのあたりが強いなとは感じていた。
1年後に出ていかなればならない。
自分の部屋に戻ってため息。
好きなもの詰め込んだものを整理して、一人で生きていかなければならない。
☆☆
好きだったアーティスト、好きだった本、CDも。
家族旅行の写真もすべて捨てた。
「ばいばい。わたしの大切なものたち」
母は昔は優しい人だった。県内随一といわれる進学高校に入るまでは。
「女の子に学はいらない」
なぜなのだろう。進学校に入ったとはいえ、上位のほうの成績では決してない。
努力しなければすぐに学年最下位に転落してしまう。
これから1年間、勉学に必要なものだけ残してあとは処分した。
母と選んだ洋服も、父から贈られた時計も全部。
燃えるごみとして出したら母親も躊躇なくゴミとして処分したようだった。
「私、なんでうまれたんだろ」
家にいるものむなしくなって、学校にいる自分も何もかも嫌になった。
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