第2話
2
「はあ、厠と浴槽ですか」
「そうじゃ、シズカが持つ外の知識は我らには有用じゃて」
よく分らない顔をしているスカジに、スネグーラチカは力強く言った。
「まずは身近な所からじゃな」
「はあ」
「よろしくお願いします」
静は頭を下げる。
「うん、雪姫様の頼みだし、とりあえずやってみようか」
そんなふわっとした感じで製作が開始された。
「仕切りがあって、外からは見えないようになっていて、便器があって、水が流れて…」
個室トイレの事を聞かれて、そんな説明をしてゆく。
「うーん、水で流すってのはムリですねぇ」
「ならば個室を作って便器とやらを置いて見るか」
「便が溜まったら捨てる方式ですね」
スカジは言った。
「あと手を洗うのもムリかなぁ」
「水道がないからなぁ」
静はガックリしたが、
「そのようなものがあるのか、便利じゃのう」
スネグーラチカは感心している。
「じゃが、それは後にしよう。今はできることをすべきじゃ」
「うん、そうだね」
静はうなずく。
それから、浴室についても説明した。
「これも水道とかいう設備がないとダメですね」
「水どころか湯が自動で出てくるとはすごい技術じゃなあ」
スネグーラチカは目をキラキラ輝かせている。
新しい物好きなのかもしれない。
「じゃあ、個室に浴槽を置いて、そこへお湯を入れるやり方かな」
静は言った。
「そうだね、排水もね、下水とかいう設備がないからムリだね」
スカジはうなずく。
「しかし、湯を捨てるのに人手を割くのは馬鹿らしいのう」
スネグーラチカは、もっと楽にしたいようだ。
労力をかければ何でも可能にはなるが、その分、労働者の仕事が増えるということだろう。
「じゃあ、パイプで外に捨てればいいんじゃないかな?」
「うむ、簡単になるが、排水をまき散らすのはどうかと思うのう」
スネグーラチカは言った。
「今は我らだけが使こうとるが、今後、この技術が皆に行き渡った時に皆が排水をまき散らしたらどうなる?」
「あー、環境汚染につながるってことね」
静はうなずいた。
「環境汚染か…そういう言葉は我らにはないのじゃ」
スネグーラチカは妙に真面目な口調である。
「やはり、シズカに教わることは多い」
「いや、そんな」
静は褒められたような気がして照れた。
色々と話し合った後、スネグーラチカがまとめた。
「アイディアは色々と出ておるが、実現可能なものを段階を踏んでこなしてゆくのがよかろう。
まずは厠じゃ。
1)館に個室を設けて便器を置く。まずは人力で便を廃棄する。
2)後で下水設備を設置する。流水を用いて便を流す。
次に浴室じゃ。
1)館の部屋に浴室を増設する。浴槽を置く。まずは人力で湯を入れ、人力で湯を廃棄する。
2)後で上水設備を設置する。水、湯を供給できるようにし、排水もできるようにする。
こんなところじゃな」
「うわ、難しそう」
「そうじゃ。だが、やってやれぬことはない」
スネグーラチカは自信ありげに宣言してみせる。
「それから、水道…ですか、どういう設備を作ればいいんでしょうかね?」
スカジが聞いたが、
「……」
「……」
静もスネグーラチカも無言になる。
「あー、じゃあ保留ってことで」
スカジは空気を読んで言った。
*
「静の補佐役を呼び寄せたぞ!」
スネグーラチカは唐突に言った。
二人の少女を引き連れている。
「いや、犠牲者を増やすなって!」
静は怒鳴った。
「なんじゃ、うるさいのう」
「うがー!」
「おかしなヤツじゃ」
「寒いよう…」
「なんだ、ここは?」
新たに異世界召喚された二人は白人だった。
「クレア・シャーマン、クレアって呼んでくれ」
一人はショートヘアの黒髪、Tシャツにジーンズというラフな格好。
鼻っ柱が強そうな顔をしていて、スレンダーな身体。
かなり痩せ気味だ。
「マグダレナ・ヴィシニエフスカですわ」
もう一人は、長い金髪を後ろで二つに分けてお下げにしていて、分厚い牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけている。
典型的なガリ勉タイプと見える。
やぼったいワンピースを着ている。
「私はスネグーラチカ、雪姫と呼ばれておる」
「え?」
マグダレナが反応した。
「ロシアの民話の雪姫?」
「おお、露西亜では未だにそう呼んでおるのか、結構、結構」
スネグーラチカは満足げにうなずく。
「はあ? てゆーかここどこなの?」
クレアがうんざりした様子で聞いた。
「フロストランドじゃ」
「はあ?」
「そして、日本人の静じゃ!」
「コニチワ」
静は緊張して片言の日本語で挨拶。
外人と会話するのが苦手という、典型的日本人である。
「てか、これ誘拐!?」
クレアがくわっとすごい形相になる。
「まあまあ、それは一旦置いといて」
静はなだめたが、
「そ、そうだな、一旦置いといて……って、置けるかぁっ!」
なんかノリツッコミをして見せるクレアである。
「だって、ここ警察とかないしー」
静は諦め顔で言った。
「あー、やっぱりそうなんですね」
マグダレナがうなずいた。
「これは、日本の代表的文化、なろう系異世界召喚ファンタジーというヤツですね!」
(あ、ヲタクだ…)
静は心の中で言った。
「ジーザス! ジャパニメーション!!」
半ギレで叫ぶクレア。
「あー、うるさい」
静は耳を塞いだ。
*
「私はアメリカ人だよ、ハイスクールに通いながら会社を経営している。小さい会社だけどね」
クレアは自己紹介した。
スネグーラチカの部屋で暖まりながら例の飲み物を飲んでいると、大分落ち着いてきたようだった。
「私はポーランド人ですわ。リツェウム(普通高校)に通っていて、科学者を目指していますの」
同じくマグダレナも自己紹介する。
「経営者に科学者か、これは当たりかもね、雪姫さん」
「うむ、私の力じゃ!」
いつものヤツ。
「え…浴室とトイレがないの!?」
クレアの顔が青くなる。
「とりあえず簡易的に設備を作ってみました」
「ふーん、そうすると上下水道の建設が急務ですね」
マグダレナは腕を組んでいる。
頭の中で考えをまとめているような感じだろう。
「上下水道はまず置いておくとして、先にボイラーを作るというのはどうでしょう?」
「「ボイラー?」」
静とクレアが聞き返した。
「なんじゃ、それは?」
スネグーラチカはいつものように目を輝かせている。
「金属の炉は作れますか?」
マグダレナは聞いた。
「それは可能だと思う」
スネグーラチカは自信なさげに返す。
「炉で薪を燃やしてお湯を湧かして蒸気をパイプに通して輸送してやるというものです」
マグダレナが説明したが、
「ほえー?」
スネグーラチカはよく分ってないようだった。
頭上に「?」マークが浮いている。
「えっとね、例えば料理で使うカマドの火に鍋をかけたとするじゃない?」
クレアが代わって説明する。
「うむ」
スネグーラチカはうなずいた。
「鍋に蓋をしてると中の水が沸いた時に湯気で持ち上がるでしょ?」
「あー、そうじゃな」
スネグーラチカは鍋と聞いて料理を想像したらしい。
じゅるりとよだれの音がする。
(あ、これ、食いしん坊の顔だ)
静は思った。
「この湯気を管に通して遠くへ持って行くとどうなる?」
「おおー、そういう発想はなかったな」
スネグーラチカはすぐに真顔に戻った。
「つまり、湯気を遠くへ持って行って暖めるのか」
「そうね」
マグダレナは言った。
「これがあれば暖房が解決できるわ」
「ふーん、でもこれは暖房だけじゃない?」
「水道とは関係ないよねー」
「そうでもないのよ」
マグダレナはふふんと言う顔をした。
「湯沸かし器というのがあるわね」
「便利だよね、冬に洗い物するときは必須だよ」
静は手を揉みながら言った。
手荒れが心配なのだ。
「湯沸かし器の構造はだいたいボイラーと同じなのよ」
マグダレナは人差し指を立てて言う。
なんだか眼鏡がキラリと光ったような気がした。
「ちょっと待って、それって蒸気と違ってポンプが必要でしょ」
クレアが言った。
「あー、そうですわねぇ」
マグダレナは頬をかく。
「よいではないか、まずはそのボイラーとやらを作ってみようぞ」
スネグーラチカはうずうずしている。
とにかく新しいものを試したくて仕方がないのだ。
「問題があれば一つずつ解決してゆけばいいのだ」
スネグーラチカは強引に皆をスカジの所へ連れて行った。
「金属の炉だって!?」
スカジは驚いていた。
(まあ、そういう反応になるだろうね)
静は思ったが、自分達の快適さが優先なので黙っている。
「レンガの炉じゃダメなのかい?」
「蒸気…湯気の力を逃がさないよう密閉した炉が必要なんです」
マグダレナは説明する。
図を描いていた。
円筒型の炉で、下部では火を燃やす燃焼室、上部は水のタンクとなっている。
下部燃焼室からは煙筒が伸びている、煙突だ。
上部タンクには蒸気の管が伸びていて、これが館へつながってゆく。
立てボイラーというらしい。
「うーん、まあ雪姫様の頼みだし、やってみるか」
スカジはしばらく渋っていたが、結局は思い切って承諾した。
「それにしても、スネグーラチカって、あんななのに信頼がすごいよね」
「なんじゃと?」
静が言うと、スネグーラチカはジト目で睨み付ける。
「いやね、雪姫様には世話になってんだよ」
スカジは言った。
「税をやすくしてもらったり、労働環境を改善してもらったり、他所との貿易で必要な物資を持ってきてもらったり…。ま、一日の労働時間がしっかり義務づけられたり、サボれば報酬が激減したりして良いことばかりじゃないけどね」
「信賞必罰というやつじゃ!」
スネグーラチカはエヘンと平たい胸を張る。
いつものやつ。
「でも、前より良くなってるよ、ウチらの生活は」
「へー、だから皆、コイツの言うこと聞くのね」
「コイツじゃないわい!」
静がわざと言ってやると、スネグーラチカはべーっと舌を出した。
「ふーん、良い経営者なのね」
クレアが感心している。
「ほらみろ!」
スネグーラチカは機嫌がよくなる。
喜怒哀楽が激しい幼女だ。
「経営者は会社の利益だけではなく、従業員の利益をも守らなければならない。利益がないのに誰も真面目に働く訳がないからね」
クレアは言った。
「そして従業員から労働力を最大限まで搾り取るには、栄養を与えて、休息を取らせる必要がある。
そのためには十分な給与があって生活が豊かになること、十分な休暇がもらえて休息を取れること、これに尽きる」
「ブラックなのか、ホワイトなのか?」
「経営者って怖いですわ」
静とマグダレナはドン引きしていた。
「ま、まあ、やってみるよ」
スカジは冷や汗を浮かべている。
「あ、それから同じように湯沸かし用の炉も作ってください」
マグダレナは笑顔で追加注文する。
「…うへえ、こりゃ大変だなぁ」
「そういえば、湯沸かし炉の場合は湯を通すのに何か必要なのじゃったな?」
スネグーラチカは思い出したように言う。
「そうそう」
「ポンプだよね」
「水を圧力で押し出す装置」
「手押しポンプみたいなのでいいのかね、それ」
スカジが言った。
「手押しだと大変だけど、今はそれしかないかもね」
静が笑顔で押し込むように言う。
「ま、まあ、それならできると思うけど」
スカジは圧に負けてうなずいた。
「可能なら、高い位置に貯水槽を置いて、水管を建物に巡らせるのが効率的ですわね」
「位置エネルギーだな」
マグダレナが言うと、クレアがポンと手を打つ。
「ポンプを使う手間が省ける」
「今後、建物を建てる時はそういう設計を盛り込めばいいでしょうね」
「うわー、これからマジで大変になるな…」
スカジは苦笑した。
*
すぐに金属炉の試作品ができた。
無骨な円筒型の炉である。
水を運ぶのが面倒なので、外の雪を上部タンクへ入れて、下部の燃焼室で薪を燃やしてゆく。
雪が溶けて水になり、すぐに沸騰して上部の管から蒸気が吹き出した。
「よっしゃ、上手くできたな」
スカジはガッツポーズ。
「次は湯沸かし炉か」
いつの間にか製作所にテーブルや椅子が持ち込まれ、スネグーラチカ一行がくつろげる空間が設置されていたりする。
女5人なので、そこだけ局所的に華やかになっている。
「ボイラーの設置場所は…」
「館の外に小屋を建てればいいさ」
「蒸気管を設置して」
「水管も要るね」
「ところで暖房はどうやって設置するの?」
「蒸気管を通しただけじゃ熱が足りないよな」
「それは蒸気管をこんな形にすればいいんですよ」
マグダレナは図を描いている。
「ラジエーターだな」
クレアが言った。
「へー、管をこんな風にくねらせるのか」
スカジがこれを見て感心している。
「館にはもう暖炉があるから、まず浴室に蒸気ラジエーターを設置するといいでしょうね」
「じゃあトイレにも設置したらいいのかな」
「いや、いっそのことバス、トイレを一緒にしたらいい」
「えー!?」
クレアの提案に静は露骨に嫌そうな顔をした。
「こっちの方が設置が簡単なんだ」
「欧米ではこっちの方が普通ですわね」
「いや、館には既に厠と浴室を別々に作ったからラジエーターも別々に設置するべきじゃ」
スネグーラチカが言った。
「クレアの案は今後の建物に採用すべきじゃな」
「うん、まあ、先にここで試してみて不都合がないか見てみようぜ」
スカジは言って、作業に取りかかった。
数日でボイラー小屋が建ち、各部屋にラジエーターが設置された。
壁に穴を空けて蒸気管を通している。
「蒸気管の熱で壁が劣化すると悪いから少し隙間を空けてるよ」
「ここは金属の板を張るといいかもね」
「そうすると熱に耐えられる素材で家を建てないとなぁ」
「あと、館のマネをして厠と浴室も作ってみたよ」
「浴槽に手押しポンプを組み合わせて排水できるようにしてみた」
排水管が外へ伸びていて、地面へ水を排出するようになっていた。
「ま、これだと水浸しになるけどな」
スカジは思いついたことをドンドン進めていく。
「へー、すごいじゃない」
静は感心していたが、
「でも、あたしはサウナの方が好きだな」
「我らの文化じゃからな」
スネグーラチカはうんうんとうなずいている。
「だが、私は、伝統も新たなものも両方欲しい」
「欲張りだなぁ」
「ふん、なんとでも言え」
スネグーラチカは悪びれもしない。
そして、館にボイラー設備が設置されることになった。
それから屋根に貯水タンク、水管が設置される。
ボイラー小屋の隣に貯水タンクと手押しポンプが設置され、ここから水管を通って屋根の貯水タンクへ水が供給される仕組みだ。
これで各部屋に水が供給できるようになった。
蛇口は、水をせき止める構造の開閉式レバーが使われた。
レバーを捻れば水が出る仕組みだ。
「水管は館の侍女達には好評じゃな」
スネグーラチカは言った。
「これまでは井戸まで水を汲みに行ったり、雪を集めて溶かしたりしておったが、その手間がなくなった」
「でも、まだ問題が残っています」
マグダレナが指摘する。
屋根のタンクの水残量が減ってゆけば圧力がなくなり出が悪くなるので、その度に水を送ってやらないといけない。
また、水が使われているうちはいいが、一旦止まると水が腐りかねない。
飲み水としては使えないのだった。
上下水でいえば、中水だ。
「ボイラーで煮沸してから屋根のタンクへ送るのがいいんじゃないですかね」
「それも一つの手じゃな」
「常に雪を使うから、炉で溶かしつつ煮沸して、それを屋根の貯水タンクへ送るのがいいですね」
「それなら、そのまま湯を送る管も作ってしまえばいいじゃろ」
というアイディアが出て、改良が加えられた。
ボイラー1。
蒸気を送って暖房にする用。
ボイラー2。
水管用。
一旦水を煮沸し、冷ましてから手押しポンプで屋根の貯水タンクへ送る。
屋根の貯水タンクの残量を見て供給するため、何日かに一回の作業。
厨房の洗い物、トイレの手洗いなどに使用される。
侍女に好評。
ボイラー3。
湯管用。
水を煮沸し、そのまま手押しポンプで浴室へ送る。
一日中必要な訳ではないので、入浴の時間を設けてその時間だけ作業する。
2階の部屋だけでなく、屋敷で働く侍女達のためにも浴室を設置。
性犯罪が起きるといけないので、男子禁制になっている。
厠は建物とは別に外へ設置。
これは男女別にはなっているが、それとは別に浴室と隣接した部屋へトイレを設置した。
やはり館で働く侍女達が使用する。
男子禁制だ。
浴室とトイレは男子禁制エリアとして定着していった。
良いことばかりではなく、デメリットもあった。
浴室は使用した湯を捨てたり、掃除をする必要がある。仕事が増える訳だ。
自然と湯を共有して最後に捨てるようになる。
衛生的にもあまりよろしくはない。
それから、フロストランドの住人は基本的にはサウナ好きなので、浴室の使用頻度はそれほど高くはない。
住み込みで働いている侍女が使うというに過ぎない。
スネグーラチカが使用するので、仕事が増えても皆、文句を言わないという面もあった。
厠やトイレの便は侍女や使用人が捨てるので一つ仕事が増えたことになる。
おまるを使っていれば基本自分で捨てに行くので手間が分散されていた訳だ。
「ふーん」
マグダレナはデメリットについて考えていた。
「浴室の湯を共有する点については湯に薬草を入れましょう。
殺菌効果のある薬草があるでしょうからそれを使えばいいと思います」
「ほう、それは良いのう。良い香りを楽しみながら湯浴みできるという訳じゃな」
スネグーラチカは早速自分で試したいようだ。
「トイレの便は肥料として使えないでしょうか」
「我がフロストランドは自慢じゃないが、春夏が短くて作物があまり育たん」
スネグーラチカは口を尖らせる。
「肥料はあまり需要がないのじゃ」
「だったら他所へ販売すれば?」
クレアが言った。
「ふむ、輸出担当の者に調べさせるよう」
「マーケティングは商売の基本」
「そうじゃな」
クレアとスネグーラチカは珍しく意気投合している。
「それと館内のことだけど、男子禁制エリアはちゃんと表示を掲げるべきね」
クレアが言った。
「なぜじゃ?」
「管理には必要なことよ」
クレアは説明した。
「こういうのは管理側が明言しておかないと、後で問題が起きた時に問題を起こした者が言い逃れできてしまうから」
「それを逆手に取ったりする輩もおるじゃろう?」
「それはそれよ」
スネグーラチカが反対意見を言うが、クレアはびくともしない。
「管理側は基準を示さないといけないのよ。これを満たさない場合はペナルティがあるって分らせる必要がある訳ね」
「なるほどの」
スネグーラチカはうなずいた。
こんな風に改善を重ねてゆき、当初の静の要望は満たされたようだった。
水洗トイレ以外は。
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