ハヅル笑劇場

羽弦トリス

第1話授業中で

27年前に遡る。僕が高校生の時の話。

4時間目が終わると昼休みになるのだが、授業中にお腹が鳴るのが恥ずかしかった、あの頃。

周りから、”ぐうぅ~”や”ごろごろ”とかお腹の虫の音が聞こえる。

お腹の虫が鳴く音を教室のホンのわずかに聴こえさせたくらいで、あたかも、大犯罪を犯した事の如く顔が紅くなり、恥ずかしそうな青少年達。

僕も良くお腹の虫が鳴くので、お腹に力を入れて鳴らないように我慢していた。


すると、どうしたことか授業終了15分前に排尿したくなった。

『しまった。膀胱にも力が及んだか?』

僕はお腹の虫と排尿の2つを我慢する羽目に。

『羽弦我慢しろ!後、10分。動くな。じっと下半身に力を込めろ!』

そうこうしている内に、放屁したくなったのだ!

放屁だけは、辞めてくれ!

同じクラスに彼女もいる。三つ巴の戦い。

授業終了まで5分足らず。

僕は授業そっちのけで、腕時計を見ていた。

あまりの精神の鍛え方だから、お腹の虫は鳴かすようにした。


”ギュルギュルギュル~ぐうぅ~”

隣の、醜女の和田はクスッと失笑した。もし、和田がお腹の虫鳴らしたら、大笑いしてやるっ!と、誓った。

残り3分。もう大丈夫だ。安全圏。

排尿感は薄れ、放屁も我慢できる。


キーンコーンカーンコーン

「はいっ。今日の授業はこれまで。わからない質問は職員室で聴くからね。ハイッ、起立~」

僕は乗り越えた、安心感一杯で起立した。


ぶりっ!


僕は、焦った。ここは、和田の仕業にしよう。

「おいっ!和田っ!屁こくなよ!」

「私じゃない!羽弦!ね?中島さん?」

和田は至極当然の事を言っている。

「たぶん、今のオナラ羽弦君だと思う」


『うわっ!くっせ~!誰が屁こいたの?』


僕は逃げる様に、トイレに走りそして、学食で焼き肉丼を食べたのだ。

しばらくの間、和田に”スカンク”と言う有難いアダ名で呼ばれた。

彼女は、

「あんた、黙ってりゃカッコいいのに、何でオナラなんてするのよ?」

「あれは事故。事故なんだ。大腸の!」

「バカっ!」


これが、青春か~。

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