アニメ好き限定!オキテ破りのモテ戦略

かたりべダンロー

第1話 アニメオタクは実はモテる

「アニメ好きの人間はモテる要素がいっぱいだ。それを知らずに死んで行くとは勿体ない」


 後に師匠と呼ぶことになる剛承羅保人は僕にこう言った。彼との出会いは僕の人生を大きく変えた。今まで彼女が全くできなかったアニメオタクのこの僕に女の子にモテる為の戦略を彼は与えてくれた。


 そう、アニメオタクにしか使えないオキテ破りのモテ戦略を・・・・・・。



 僕の名前は水鳥礼太。Z大学の工学部に在籍する三年生だ。僕の趣味はと言うとゲームをすること、パソコンをいじること、そして大好きなアニメを観るということだ。そう、いわゆる世間でいうところのオタクってヤツである。


 性格はっていうとご想像通り内向的。つまりみんなでワイワイ騒ぐより一人で部屋にこもって何かに集中したいタイプなのである。そんな性格の為なのかコミュニケーション能力は極めて低い。というよりかむしろ人と関わるのは気疲れするから嫌なのである。だから今まで彼女も出来たことはない。


 人付き合いが苦手な僕ではあるが実は大学のアニメ研究会に所属している為友達や仲間は少数ながらいる。こんな僕にでも仲良くしてくれるホントに有り難い優しい人達である。大切にしなければといつもそう思う。


 僕にとってアニメを観る時間とアニメについて仲間たちと語る時間は至福のひとときであった。一日のほとんどの時間をこの時間に費やしたいとずっと思っていた。


 アニメを愛しオタクライフを満喫していたそんな僕にある日天敵が現われた・・・・・。



 パリピな男、口角諭駄樹であった。




 

「水鳥みずどりちゃーん。水鳥ちゃんの彼女は二次元の女の子でちゅか?」


 大学のアニメ研究会の部室で漫画を読んでいた僕の所に嫌なヤツ、口角諭駄樹こうかくゆだきは再び現れ僕にちょっかいを出して来た。


「ここはアニメ研究会の部室だから部外者は出て行ってよ」


 口角の僕を馬鹿にしたような態度にいらだちを感じ、僕は声を荒げて言い返した。


「オタクの癖にそんな口の利き方すんじゃねえよ。ま、いいや。お互い部室が隣同士なんだから仲良くしようぜ」


 口角は僕をなだめるように言っているが明らかに僕を見下したような笑いが気に食わない。


 口角が僕にちょっかいを出し始めて来たのはパーティーサークルとか訳のよく分からない部がアニメ研究会の部室の隣に出来たからだ。活動内容は店を貸し切ってみんなで酒飲んではしゃぐって口角が言っていたが色々と問題のありそうなサークルだと思う。


 正直僕はそのサークルの人達と関わらない方がいいだろうと考えていた。僕とは話が合わないだろうし、その人達と付き合うのは絶対疲れると思ったからだ。


 でも口角は嫌がる僕にやたら絡んで来た。まるでオタクの僕に屈辱を与えることによって自分自身の価値を高めるかのように。それは僕にとってホント嫌なことだった。耐え難い苦しみだった。


「お前さー、実物の彼女とか欲しいと思わないの?」


 口角は部室に貼ってあるアニメの女の子のポスターを見ながら僕に話し掛けてきた。


「それは欲しいと思うけど口角君には関係ないだろ」


 僕はムッとした表情で答える。


「俺なんてパーティーに行けばモテモテよ。女で不自由したことなんて人生で一度もないね」


 口角は汚い手でポスターの女の子を触り出す。僕はかなり腹立たしかったが喧嘩になるといけないので怒りをグッと堪える。


「あ、そうだ。今度さー、俺達が主催するパーティーに水鳥も一緒に来る?女の子いっぱい来るけどさー、どうする?」


 口角は思い出したかのように僕に誘いをかけて来た。僕は思いがけない申し出に一瞬考え込んでしまう。


僕だってもちろん実物の彼女が欲しい。たった一人でいい。僕の事を本気で好きになってくれる女の子が・・・・。そう悩んでた時・・・・。


「なーんてね。冗談。お前みたいなオタク、パーティーに呼んだら盛り下がるだろうが。こっちからお断りだっつうの。やっぱ下級国民のお前みたいなのおちょくるのホント面白いわー。あれ?本気でパーティーに行けば彼女が出来ると思った訳?ウケるぅ。あえて言おう、お前は一生彼女が出来ない」


 口角は僕を大笑いした後、隣の自分の部室に帰って行った。


 たった一人部室に残された僕は怒りと屈辱感で体の震えを止めることが出来なかった。














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