磁石
猿会 合
磁石
「なにそれ。」
「磁石ってやつ。」
「あ、最近発見されたってやつか。」
「そうそう。」
「鉄にくっついたりするんだっけ?」
「そう。金属にもくっつくし、磁石が2つあったらS極とN極が互いに引き付け合うらしいよ。」
「めっちゃ面白そうじゃん。」
「これさぁ、沢山あったらとてつもなく便利じゃない?」
「何に使うの?」
「例えばなんだけどさ、」
「うんうん」
「犬の首輪にこれを付けておけば散歩の時に自分はもう一個磁石を持ってるだけでいいじゃん?リードがなくても遠くに行かなくなるんだよ。」
「え、そんな離れてても磁石の効果ってあるの?」
「そこなんだよ。今持ってるこれじゃあ到底犬を引き寄せることなんか出来ない。」
「そうだよね。」
「でもさあ、もっと大きい磁石があれば出来ると思うんだよね。ボウリングの玉くらいのさ。」
「確かにそれなら出来そうかも。」
「でしょでしょ。それにさ、もっともっと大きくて強力な磁石があれば離れていてもお互いの居場所とか分かったりするんじゃないかな。」
「え、どうやって?」
「例えばだけど、まず俺の家にバットくらいの大きさの磁石を用意して片方の先を地面に釘で固定しておく。」
「うん。」
「そしてお前には超強力な磁石の玉を持たせておく。」
「うん。」
「その状態でお前が出かけた場合、俺の部屋の磁石は常にお前がいる方向を指し示すことになる。」
「まあ、出来ないこともなさそう。」
「これ結構応用が利きそうじゃない?」
「うーん。でもなんか監視っぽくて気持ち悪いなあ。」
「まあ確かに。」
「あとさぁ、大きい磁石って聞いて思いついたんだけど、地面が全部磁石のN極になってて自分の靴の裏にもN極をつけておけば宙に浮けるんじゃない?」
「うわそれめっちゃ現実的じゃん。」
「ていうか百年後くらいにはそれが普通になってそうだよね。」
こんな二人の会話から磁石の歴史は始まった。数百年たった今も、磁石のS極とN極は絶えず引き付けあっている。更にもう一つのSを付け加えた形で。そしてそれは意外にも手のひらサイズだとか。
磁石 猿会 合 @monkey_rerendezvous
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