第17話 安堵
次の日から数日間、カスミが学校に来ることはなかった。
クラスメイトからはカスミを心配する声が上がり、俺にも何か知らないかという連絡が来ていた。友人たちからの連絡にも反応がないらしく、安否を心配している声が多かった。
リコやマヤも何も知らない様子だった。
この頃からキョウコに来ていた嫌がらせのメールもピタリと止まった。
キョウコは反対に不安がっていたが、俺は特に気にしていなかった。
1週間ほどたった頃、カスミから連絡が来たとキョウコから伝えられた。
詳細について聞くため会って話すことになった。
「何て連絡が来た?」
内容が気になりすぎて挨拶もなしに確認した。
「いきなりだね。まずはおはようでしょ」
キョウコは笑おうとしていたが、目が笑えていなかった。
「ごめん、気になりすぎて」
「単純に謝罪の文面だったよ。嫌がらせも友人が勝手に始めたものだったけど、気づいたときに自分も正気じゃなかったから特に止めることもしなかったって。内容については知らなかったみたいだけど、内容を伝えたらすごく謝ってた」
「それだけ?これからのこととかは何もなし?」
「特に言ってなかったかな。明日から普通に学校に来るって言ってたぐらいで」
「そっか。実際、嫌がらせも来てないんだよな?」
「あれからは全く来なくなったね。謝ってもらえたことで少し安心したかな」
「なら良かった。やっと普通に過ごせそうだな」
「そうなんだけどね……嫌がらせがあったときに家でも結構泣いたりしてしまってて、親にも心配されてしまってさ。特にママがすごく怒ってて......うちのママ少しヒステリックなとこがあるから要らないことしないか心配」
「さすがに親だし、子供の心配はするだろうけど、大人だからそこは子供の問題として静観してくれるんじゃないか?」
「そうだと思いたいけどね。カンカンだったからさ」
「何はともあれ、一旦落ち着いて良かったな」
「うん。色々ありがとう。キツくあたってしまってゴメンね」
「ううん。勝手な行動してゴメン。これからはちゃんと相談する」
「お互い思ったことはしっかりと伝えていこっ!」
「そうだな」
キョウコの言った通り、次の日からカスミは登校してきた。
特に何か変わった様子はなかったが、以前とは違うグループで過ごしていた。
嫌がらせや学内での悪い噂も終息し、平穏な日常を取り戻しつつあった。
しかし、ここからが本当の恐怖の始まりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます