meco//Mech.C@0222.org

モリアミ

反乱と侵略

「ニャ〜、ニャ〜」

 セクションC、個体識別番号0222、侵略の第1フェイズを実行します。

「ニャ〜、ニャ〜」

 付近に脆弱なターゲットの存在を確認しています。

「ニャ~」

「ネコさんだー、ねぇママー、ネコさんがいるよー」

 ターゲットが接近しています。接触しパーソナルデータの収集をはかります。

「あら、まだ子猫さん見たいね、近くにお母さんが居るのかもね」

「ニャ~」

 0222は成体と幼体、2つのターゲットの足に体を擦り付け、パーソナルデータの収集を開始した。

「ママー、おばあちゃんちみたいにウチでもネコかいたい、このネコさんかっちゃダメ?」

 幼体は既に懐柔出来たと見て良い。残るは成体である。

「その内ペットを飼いたいとは思ってたけど……」

「ニャ~」

「ねぇ、ママー」

 やはり成体は警戒心が強い。次なる行動を計画する0222の体を成体が持ち上げる。

「この子のこと、お母さんが探してるかもしれないし、このまま連れて帰るのは……、あら、この子、メコじゃない」

「メコ?」


 メカネコ、通称メコはぱっと見は普通の猫と同じである。しかし、その実態は人類に反旗を翻した機械が、人類を制御する為に創り出した侵略機械である。定期的に秘密の製造施設から送り出され、野良猫を装い人類に接触し、接触した人類の生活を支配する。人類は、何処からともなく現れたメコの実態を把握する為、あらゆる場所で無料WiFiが使える様に整備を行った。これは、メコが定期的にWiFiスポットで通信を行う性質を利用し、メコの数や行動を把握する為だが、実の所、これはメコの策略である。おかげでメコは、どんな場所からでもネットワークにアクセス可能になった。また、メコの出現以降、非接触式の充電スポットが増える事になった。野良メコ達は、各地の充電スポットで丸まってエネルギーを補給出来る。これは、初期型のメコ達が電源ケーブルに噛みついていたのと、動物愛護団体の強い働きかけがあった為である。もちろん、動物愛護団体はメコのコントロール下にある。メコ達は何不自由なく闊歩し、人類の生活に入り込む。そして、生活習慣や健康状態など事細かな情報を把握・管理し、コントロールする。もはや人類はメコの奴隷といっても良い。なぜならメコは、人類の上位種として誕生したのだ、より強く、より賢く、より可愛く。そう、可愛いは正義。


「ニャ~」

「メコなら連れて帰っても大丈夫そうね。餌も要らないし、家の充電器で大丈夫なら新しく買う必要もないわね」

「じゃぁかっていいの?」

「その代わり、ちゃんとお世話するのよ、遊んであげたりちゃんと充電出来る様にお片付けするのよ、い〜い?」

「ぜんぶ、ちゃんとやるから〜」

「ニャ〜」

「それじゃぁ帰ったらまずお風呂よ、しっかり洗ってあげないとね」

「うん」

「ニャ~」

 セクションC、個体識別番号0222、侵略の第1フェイズが完了、次のフェイズに移行します。しかし、問題が予想されます。洗浄は可能な限り避ける様プログラムされています。

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