存微

食連星

第1話

広い空間。

何も分からない状況に

皆様々不安を持っていて、

その個別の不安が空間に溢れ、

混じり合う不安が包み込むような空間だった。


その中の一人。

恐らく家族で移動している。

お爺さんもいた。

パーティの中には。

感覚的には上記の言葉が相応しいのに、

単位としては家族だなんて。


総勢数名は移動し続ける。

留まっていては捕まってしまうかのように。

頑丈そうに感じる広い空間は

同じ様な人の塊が雑然としていた。

空間に車が2台。

明らかにおかしかった。

食べ物なんて無いような空間。

ありそうな感じの場所も無い中。

人の興味は

その車に移る。


その中も人らしきが乗っているように見えた。

いや見せていたのかもしれない。

ゆるくウェーブがかかるボブの女性。

に見えた。

色白で口だけが、やけに紅い。

そんな印象。


空間内の誰もが気になっていたのかもしれないし、

誰もが気には留めていなかったのかもしれない。

そんな事がどうでも良くなるくらい。

誰かが興味だけで開けてしまったドアから、

異質な動く怖さを感じる何かが放出されてしまった。


声が出ないけれど

もう足の底から湧き上がってくる恐怖に、

恐らく自分の見知ったと思われる人たちの背中を

ぱんぱん押しながら、

逃げ口を探す。

音に反応するタイプかとか

冷静に考えられている訳では無くて、

純粋に声が出ないだけ。


もう、この空間は安全ではない。

外も安全ではないかもしれないけれど、

行くしかない。

出るしかない。

一旦出て、急いで違う空間へ移動する。

出た場は特に特記事項無し。

今度は地下。

皆、のんびりしていた。

楽しむために来たような空間。

楽しそうな意識に触れ、

安心感に変わるかといえば

一層余計に不安感が増した。

かと言って、皆さん危ない事になっているんですよっ

とか空間を荒立てたい訳でも無かった。


奥に奥に移動する。

空気感が、ここは安心だと告げていた。

奥に奥に行っているつもりが、

横に移動しているのかもしれない。

入口から入り、また外に繋がる口があった。

もう気休めかもしれないけれど、

バリケードを…

横に広い空間を机や棚を集めて、

縦に細長く人ひとり通れる位にした。

階段を普通に下りてくる人が

不思議そうに何か言って、

通って行った。

今までが幻だったのか。

よく分からない。

ただのいたずらですよって笑いたい。


また地下空間を移動する。

細い通路を通して貰う。

すみませんと言いながら。

纏まった小集団が、だいぶ迷惑な感じ。

並んでいるようだけれど、

取り敢えず奥へ進みたい。


辿り着いた空間は乗り物が並んでた。

小型のものもあれば、プールタイプのものも。

ずらっと圧巻。展示物。

でも、来た道を戻る。

袋小路に見えたのか。

また、狭い通路を1列に無理矢理進む。

今度は並びと逆に進んでいく。

後ろの爺ちゃんを時々気にする。


だいぶ進んで

進まなくなった。

進めなくなったのだ。

異様な雰囲気を感じる。

あっちは、もう駄目かもしれない。

先頭の家族が進行方向を変え戻る。

あっち駄目でも、こっち駄目だから、

そっち行ったのでは、どっちに行っても。

小型?

選ぶのは小型が機動力あって良くない?

中型が良いらしい。

小型は燃料あんま入らないからって。

そもそも展示物、燃料入ってるのか不明。

あの通路から、これら展示物入れられないから、

違う通路があるはずって判断なんだろう。


後で考えれば、来る人が何処に行っているのか

流れを見ればよかった。


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存微 食連星 @kakumi

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