【詩】ワニとカニ

地下鉄への乗り換え、

僕は人々の流れについていく。

というよりも、僕の進む方向をふさぐかのように、

のろのろと、群れが移動していた。


田舎者たちよ。

そう、僕もふくめた田舎者たちよ。

都会の群れにのみこまれ、

そうして、群れになってしまった者たちよ。


僕は、

おびえながら川をわたる牛になるよりも

にごれる水底のワニになりたい。

――なりたかった。


幼き日、家のまえの清流で、

カニを捕まえるのが好きだった。

そのこころを忘れてはいないか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る