美少女二人とラブホテルへ

 北上さんのおかげで無事に駅周辺へ向かうことができた。


「ありがとう、助かったよ」

「それより、ロシア人に連れ去られたというのは本当です?」

「ああ……なぜか分からんが軍艦島に」

「ぐ、軍艦島。なぜあんな場所に」

「さあ、俺も分からん」


 しかも簡単に脱出できたし、なんか違和感があるんだよな。こんなアッサリ見逃すとかあるか? しかも追いかけてくる気配もない。

 殺気すら感じないなんて、どうかしてる。

 それともなにか裏があるのか?


「今晩はもう地元へ戻らない方がいいでしょう。ビジネスホテルやネカフェで一泊明かした方がいいかと」

「分かった。そうしてくれ」

「了解」


 タクシーから降りて料金を支払って、街へ繰り出した。周囲を警戒しつつ。

 最寄りのホテルにチェックイン。

 幸いにも部屋は空いていた。


「って、ここはラブホテルじゃねーか!!」


 なんか周囲の様子がおかしいと思ったんだよな。


「ちょ、え……早坂くん、それホント!?」

「ああ、天音。今自然に入っちゃうところだたけど、これは間違いない。学生が入っちゃダメだろ!」


 北上さんは「緊急事態ですから」と冷静に返答を寄越した。それでいいのかよ。いや、確かに非常時ではあるけどさ。


「それならネカフェでも良い気が」

「ネカフェは簡易的な個室ではありますが、隙間から見えますからね。サイレンサーで狙われたら、暗殺されておしまいです」


 なにその妙な説得力。本当に起こりそうだから怖い。となるとホテルの方が都合がいいわけだ。しかもラブホテルなら尚更狙われにくいだろうな。まさか学生がこんなホテルを使うとはロシア人も思うまい。


 カギを受け取り、部屋へ向かう。


 人生で初めてのラブホテルに緊張する。


 しかも一応現役アイドルの天音と……なんちゃってギャルの美少女・北上さんと過ごせるとか夢のようだ。男の夢がこんな形で叶うことになろうとはな。


 到着して扉を開けると、馬鹿みたいに広かった。


「うわぁ、すげぇ……なんだこりゃあ」

「え、えー! ラブホテルってこんな広いんだね」


 俺も天音も驚嘆した。

 なんだこりゃ、ネオンも雰囲気良いし。

 貴族のベッドみたいなのもあるし。


 カラオケとかスロットもあるのかよ。なんてサービスの良い。あと大人のオモチャもたくさん。ああ、ちゃんと避妊具まで。こりゃ準備の良い。


「お風呂も凄いみたいですよ」


 相変わらず冷静に散策する北上さん。

 どれ、と俺は風呂を覗いてみる。


 円形のジェットバスがあった。おいおい、三人は余裕で入れる空間だぞ。てか、エロいな……。


「北上さん、少しは天音みたく動揺するとかだな」

「これでもドキドキしていますよ。ほら、心音を確かめて」


 北上さんは、俺の手を取り胸に当てさせた。



 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!



 って、マジでドキドキしてるじゃん!

 顔は冷静でも中身は乙女なわけだ。

 良かった、思ったよりも緊張してくれていて。もちろん、俺も震えまくっていたけどなっ!


「そんなことしたら、北上さんを襲いたくなるんだが」

「……今日は天音さんもいますから、三人で」

「さ、さんぴーかよっ」


 とんでもないことになったな。

 室内探検を終え、ベッドへ向かう。

 天音がふかふかのベッドで寝っ転がって堪能していた。


「このベッドすごくなーい! なんか、えっちな気分になってきちゃった。早坂くん、久しぶりにしよ」


「おま……天音」


「では、あたしもご一緒に」



 北上さんまで!

 二人に囲まれて俺はパラダイスになった。そうだな、無事に生還したし、二人からこんな風に迫られることなんて滅多にない。

 今という時間を楽しまなきゃな……!

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