テロ組織を探り、捕虜を確保せよ!
「啓くん、ISILを探るだなんて本気ですか」
少し怒り気味の北上さん。
下手なことを言えば自由を奪われそうだ。ちゃんと作戦を提示せねば。
「ここに留まっていても、いつかは見つかる。リスクは高いけど、やる価値は十分にある」
「……それは、そうですが」
北上さんは渋々納得した。
「私は賛成ですよ~」
「ありがとう、千年世」
「いえいえ、お師匠さんと違って、私は早坂くんのよき理解者ですらっ」
ドヤ顔する千年世だが、北上さんが怖い顔しとるぞ……。
「わたしだって早坂くんを支持するし!」
「天音も賛成してくれるか」
「うん、何事も行動だよ」
賛成多数だ。
これにも北上さんは折れた。
「仕方ありませんね。では、こうしましょう。戦闘員をひとり捕虜にし、尋問するんです。ついでに人質にもできますし、一石二鳥かと」
「なるほどなぁ、さすが北上さん。悪魔的な発想だな」
「ただ殺すだけが戦争ではないですからね」
いや、これ戦争ではないんだがな。
北上さんは基本のことを言いたいんだろうけどさ。
というわけでチーム分けになった。
この小洞窟に留まる拠点チーム。
それとISILを探る戦闘チームだ。
今回は俺が振り分けることにした。
戦闘チーム:早坂、北上
拠点チーム:天音、千年世、アベリア、トム
「俺と北上さんで戦闘員を確保してくる」
「だ、大丈夫なの?」
「心配するな天音。北上さんがいれば最強だ」
「それはそうかもしれないけど……」
天音は心配性だな。
けど、北上さんの実力を知っているはず。
彼女はプロの軍人を凌駕するスキルを持っている。なので、俺と北上さんの二人きりの方が行動しやすいというわけだ。
「なぁに、千年世が守ってくれる。そうだろ?」
「もちろん! この私が敵から守ってあげますよ~」
可愛い視線を送ってくれる千年世。
本当、頼もしいな。
武器はAK-47が二丁しかないから、ひとつを千年世に託し、もうひとつは北上さんに渡した。俺はナイフ一本でがんばるしかない。
「いいのですか、啓くん」
「俺よりも北上さんの方が銃の扱いに慣れているだろ」
「あたしを信頼してくれるんですね?」
「あ、当たり前だろ……」
「フフ。ならいいです」
あ、機嫌が直った。
まったく、もう。
* * *
小洞窟を出て、北上さんと共に食人族の集落へ向かった。
今のところテロ組織の戦闘員の姿や食人族もいない
「静かだな」
「ここは誰もいないようです。別の場所へ向かいましょう」
「分かった」
「それと武器も欲しいところです」
「俺はナイフ一本だからなぁ」
「ええ、戦闘員から銃を奪いたい。なんにせよ、ヤツ等を探さないと」
その為にも生き残っている戦闘員を探し出さないと。全員食われてなきゃいいが。
再び歩きだし、林に入っていく。
少しすると浜辺に出た。
そこで驚愕の光景を目の当たりにした。
「……北上さん!」
「啓くん、伏せて」
うつ伏せになり、浜辺に視線を向ける。
そこには無数の食人族が死体があった。さすがに銃には敵わなかったらしい。
戦闘員たちが念入りに死体撃ちしていやがる。
しかし、戦闘員もだいぶ減ったな。
やられたヤツ等もいるわけか。
「敵は……七人ってとこか」
「多いですね。捕虜を確保するのは難しそうです」
だが、海の向こうからボートがやってきた。
船には二人いた。
金髪の男が浜辺に降りると戦闘員に対してなにか話していた。
……なんだ、英語っぽいぞ。
「
……これくらいは俺でも分かる。
チクショウって言っている。
なんだか悔しがっているみたいだな。
多分、仲間がやられて被害甚大ってとこかね。
「……なるほどなるほど」
「北上さん、奴らが何を言っているのか分かる?」
「ええ。あの金髪の男は英語を話していますからね。どうやら、戦闘員を指揮しているのはあの男らしいですね。これから、一部の戦闘員を残して一時撤退するようです」
その通り、戦闘員がボートに乗り込んだ。
残ったのはたった三人だった。
なにやら金髪の男に抗議する戦闘員。
恐らく“こんな不気味な島に残れるかよ!”と怒っているのだろうな。あの慌てようからして、なんとなく察しがついた。
けれど、三人が相手ならなんとかなるかも。
「北上さん、あのボートが見えなくなったら……」
「ええ、ひとりだけ確保します。残り二人は排除します」
「分かった。サポートは不要かな」
「
冗談だよな……!?
いやけど、そう言ってくれるのは嬉しい。
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