銃声? 爆発音? 深夜の緊急事態...
深夜になって、もっと寒くなってきた。
俺は、薪を焚火の中に放り込んで火を絶やさないよう、作業を繰り返していた。北上は俺の股の中で眠っている。
なんて可愛い寝顔だ。
ついつい頬を摘まんだり、押したくなるのだが――止めておいた。
ちょっと前まで部屋でぬくぬくしていたのになぁ……。
しかも、天音も北上も甘えてくるし、毎日が最高だ。
いや、けど今も同じようなものか。
安心しきって俺に身を預ける北上を愛でながら、髪に触れていると……。
『――――ドォン……』
なにか爆発音のようなものが遠くで聞こえた。
ん……気のせいじゃないな。
しかも爆発は断続的に起きていた。
『ドォン……。ドォン……!』
な、なんだ。まるでドンパチみたいじゃないか。
さすがの北上も異常を察知して目を開けた。
「……なんです?」
「さあ、分からん。ただのラップ音ではなさそうだけど」
「まるで銃声です。もしかして、どこかで戦闘が?」
「まさか。この島には俺たちとマーカス以外には……もしや、いるのか」
「みんなを起こしましょう」
俺は天音を起こした。
「おい、起きろ。天音」
「そ、そこは……だめだよぅ、早坂くん」
なんの夢を見ているんだ!?
心なしか顔が赤いような。
ちょ……天音って、そういう夢を見るのか!
「今すぐ起きてくれ」
ゆさゆさと体を揺らしても、天音は起きない。
「……早坂くん、激し……」
「ちょぉ!? なにが、なにが激しいんだァ!?」
これ以上は危険と判断した俺は、軽く叩いて天音を起こした。すると、今度は目を開けてくれた。
「……むにゃぁ。あれぇ、早坂くんどうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。天音、どんな夢を見ていたんだ」
「え……夢? 夢だったのー!!!」
そんなに残念そうにするだなんて……俺と何をしていたんだか。
「それより、大伊さんに琴吹、草埜も起きてるぞ」
「はっ、本当だ。どうしたの? まだ外真っ暗じゃん」
「異音が聞こえたんだよ。もしかしたら、どこかで戦いが起きているのかも」
「うそ……」
「みんな、そういうわけだから装備を整えてくれ」
北上が最低限整えてくれた防弾ベストを装着していく。
さて、あとは武器だけど……。
ナイフ、鉄バット、バッテリー式の改造
「今回、銃はないですが、バッテリー式の改造
合法ギリギリの改造ネイルガン。
バッテリーで動作してくれるし、釘を発射すれば20メートル先まで届くようだ。威力も実証済みだとか。
明らかに違法っぽいのだが……なんとか工具としての体裁は保っているようだ。本当かねえ。
銃よりは負けるかもしれんが、ないよりはマシな武器だ。
「ネイルガンは人数分ある。みんな使い方は大丈夫か?」
「大丈夫ですよ。一ヶ月の間でみんな多少訓練を積んでいますから」
そう、一ヶ月の間、なにもしなかったわけではない。また無人島に行くことも想定して、俺たちは訓練を繰り返していた。
それか本当に役立つ日が来るとはな。
洞窟に留まるのは危険だ。
「俺と北上さんで様子を見にってくる。みんなは洞窟の奥へ避難してくれ」
「で、でも……!」
大伊が止めてくるが、俺はどうしても気になった。
「敵がどんなヤツで何人いるか見極めたい。もしなにかあったら電話するからさ」
「分かった。でも、無茶はしないでね」
「ああ、大伊さんもね」
俺と北上は、洞窟を出た。
爆発音のあった海側へ向かう。
ナイトビジョンを装着し、先へ進んでいく。
明かりを使うと向こうにバレる可能性があるからな。
「啓くん、あくまで敵の人数を知る為です。不要な戦闘は避けること」
「もちろんだ。無駄に戦っても消耗するだけだからな」
暗い森を二人で突き進む。
すると、海側でフラッシュが何度も続いていた。
これは爆発というか、撃ち合いじゃないか――!
人数は分からないが、機銃掃射が行われていた。
まてまて、ガチのドンパチじゃないか!!
「これは……ミニ軽機関銃ですよ。あんなものを持ち込んで撃ち合っているだなんて……まるで戦争です」
嘘だろ……そんなガチの武器を使っているとか、この暗闇にいるのは軍隊か? それとも民間の軍事会社とか……。
勘弁してくれ!
「どうするよ、北上さん」
「プロとすれば、向こうもナイトビジョンを使用しているでしょうし、こちらの位置がバレるかも」
くっ、ここまでか。
でもせめて人数だけでも……!
俺は少しずつ顔を出していく。すると……マジか!!
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