爆乳の大伊さんに捕まった

 少しだけ柵は形になってきた。

 とはいえ、半分も出来ていないけど。


 さすがに道具が足りなさすぎるな。地道に作っていくしかない。


 重労働を終えたところで、日も傾いてきた。



「ここまでにしよう。みんな、汚れを落としに風呂へ行って来なよ」

「ちょっと、ちょっと。早坂くん」

「ん、どうした天音」

「わたしたちにもドラム缶風呂とか使わせてよ」

「あ~、そうだった。貯水池と露天風呂も完成していたんだった」


 北上が補助してくれて、あれから丸太を敷いた。これで壁が崩れてくることはない。


 というわけで、浴槽タイプの露天風呂とドラム缶風呂が完成した。この人数だから、効率よく風呂に入れていいだろう。


 ……ただ、海水を汲みに行くのが大変だけどなっ。


 やはり、洞窟の奥にある湖を利用するか?


 いや、あそこは危険だ。

 今のところは、人員を使って水を溜めるしかないかな。



「どうやってお湯を沸かすのです?」



 千年世が俺の服を引っ張る。

 そうだな、みんなの為に動きますか。



「ファイアースターターでバチッとね。火起こしは俺に任せろって」



 水は十分に満たされている。大伊たちチームが汲んでくれたのだ。彼女ら、お風呂に対する執念が凄かったし、アツアツの風呂に浸かりたいと呪詛のように言っていたからな。

 俺は火をつけて、薪をくべていく。


 ……うん、良い感じだ。


 あとは勢いがついたら空気を送り込んで火力を調整していく。



「おぉ、凄いね!」「さすが早坂くん」「彼がいれば生活には困りませんね」「頼もしい~!」「風呂♪ お風呂♪」



 気づけば全員が俺を取り囲んでいた。お祭り騒ぎになって、みんなテンションが上がっている。火を前にすると気分が落ち着くか高まる。今は後者だ。



「みんな、待った。まだ沸いていないからね。――って、みんな脱ごうとするし!!」



 気づけば、女子たちは制服やジャージを脱いでいた。俺がいるのにも関わらずだ。うそでしょ……。


 教室で女子たちが着替える中に、俺だけ取り残された気分だ。まさかこんな事態に陥ろうとは……!


 ここが天国だったか――!!!



「だって我慢できないも~ん」


 ほぼ下着姿になる桃瀬は、そう言った。

 そういうモノなの!?


 みんな恥ずかしくないのか……? それとも、もう俺のことなんてお構いなしなのか。

 男なんて俺しかいないからなぁ。……いや、正確に言えば傭兵の男(ジョン・スミスっぽいヤツ)もいるんだが――ヤツは紐でグルグル巻きにして洞窟の奥に押し込めてある。



「早坂くんは、あっち向いてて」

「無茶言うなよ、天音。俺は火力を調整しなければならないんだ。てか、天音は脱がないんだな」


「わ、わたしは……恥ずかしいもん。でも、どうしても見たいっていうのなら……いいけど」


「いいのかよっ! じゃあ……ぜひ」

「え~…」

「え~って。良いんじゃなかったのか」

「やっぱり恥ずかしいから……」

「そ、そうか」



 なんてやっとると、お湯が良い感じになってきた。これを露天風呂に移してを繰り返していけばいいのだが――あ。



「ひゃっほ~~~いッ!」

「冷たいですぅ」



 桃瀬と千年世が露天風呂(海水)に浸かっていた。そうだった、テスト用に海水を入れたままだった。今はプール状態だな。

 てか、二人とも気が早すぎだろう! まあいいや、おかげで使えることが判明した。次回はお湯を張らせてみるか。



「とりあえず、桃瀬と千年世を除く皆さん。ドラム缶風呂は精々、二名が限界なので……って、うわ、みんな顔が怖いぞ!?」



 なぜか俺が狙われていた。


 えっと……あれ。


 おかしいなぁ、なんでみんなこっち来るのぉ!?



「早坂くん……一緒に入ろ?」「そうだね、どうせなら早坂くんと一緒がいい」「うんうん、これって戦争するしかないよね」「取り合いだ!!」「早い者勝ち!!」「早坂くん、わたしと!!」「一緒に入りましょ!」



 って、あれええええ!!


 なんでそうなるのぉおおおお!!


 身の危険を感じた俺は、立ち上がり猛ダッシュ。すると、背後から桃瀬と千年世を除く女子たちが追いかけてきた。



 マジかよぉ!!



 だが、足の速い大伊に捕まった。くそ、なんて瞬足だ。しかも馬鹿力。抱きつかれて、俺は完全に身動きが取れなくなってしまった。



「お、大伊さん!」

「これで、私の勝ちね。一緒に入りましょう」

「大伊さんって、足速いんだね」

「まあこれでも陸上部だからね」


 そういうことか。足が早すぎると思ったんだ。


「分かった。こうしよう……これから入れ替わりで一緒に入るってことでどうだ。その方が公平だし、不満もないっしょ」



 俺がそう提案すると、女子たちは渋々ながら納得した。これが妥協案だ。もうこれしか平和的解決は望めないだろう。


 今日のところは大伊と一緒に入ることにした。


 天音が不安気な眼差しを向けてくる。

 ……そういえば、初日は北上と入ったっけな。それをすっ飛ばして大伊となるとは。けれど、天音とはどうにかして入りたい。


 そうだ、昨晩みたいに夜コッソリ入るか。うん、そうしよう。



「早坂くん、行きましょ」

「お、おう」



 大伊は、俺の腕を引っ張って誘導してくれる。いっそ、みんなが入れる露店風呂でも作ろうかな。そうすれば全員が入れるし……って、想像するとなんか王様みたいだな。


 結局、大伊以外は海水浴へ向かった。


 待っていると日も沈んでしまうからな。



「さて、のんびりしましょうか」

「よろしく、大伊さん」

「うん。これでも私は優しいので君を癒してあげる」



 下着姿のまま抱きつかれて、俺は興奮した。よく見れば、大伊は……爆乳レベルのバストサイズ。これは……ドラム缶風呂に入れるのか……!?

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