第3話

 そんな七海君を僕は一年生の頃から見ていた。


 七海君はクラスではムードメーカー的な存在でもある。


 そして体育では運動神経抜群なのか、球技から何まで熟す位だ。 そんな七海君とは正反対な僕。 きっと僕はそんな七海君に憧れていたのかもしれない。


 最初はただの憧れで七海君の事を見ていた。 それがいつの間にか僕は彼の姿を目で追ってしまっていたのだ。 それを繰り返しているうちに僕の胸の鼓動が早く波打ち始める。 それが恋と知ったのは、つい最近。 きっかけはたまたま見ていた恋愛ドラマからだ。 恋をするとは、まさに僕が七海君の事を追っていて胸の鼓動が早くなるっていう事をそのドラマでは言っていた。


 今まで胸の高鳴りを知らなかった僕。 最初は病気かな? って思って心配していたけど、そんな時にドラマを見て知った。


 だけど今回、七海君が僕に罰ゲームで僕に告白してきた事で、七海君の本当の気持ちっていうのが分かった。 そう全くもって七海君は僕には興味が無いという事をだ。


 完全に僕の青春っていうのは終わったようにも思える……。


 ……いや、待てよ。


 よくよく今回遭った事を考えてみよう。


 確かに七海君達は罰ゲームで僕に告白して来たと言っていた。 だけどキスっていうのは例え罰ゲームでも男同士で出来るもんなんであろうか? 例え罰ゲームで告白は出来るのかもしれなけど、キスは……? そこの所は分からないけど、流石にキスまでは罰ゲームでも出来ないような気がする。


 それに七海君は僕とキスをした後に直ぐに服の袖で唇を拭うって事をしなかったようにも思えるし、気持ち悪そうな素振りも見せなかったようにも思える。 流石に七海君達が屋上を去ってからの、七海君達の行動っていうのは分からないのだけど。 フツー男にキスした場合、気持ち悪くて直ぐにでも服の袖で唇を拭うっていう行動する筈なのに、少なくとも僕の前では七海君はしなかった。


 そう考えると、例え今さっきの事は罰ゲームで七海君は僕に告白してキスをして来たのかもしれないけど、もしかしたら七海君も僕の事を好きなのかもしれない。

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