②おはようございます、幸せに。
もおち
プロット
〇参考作品
・月影の鎖(乙女ゲーム)
・SWEET CLOWN(乙女ゲーム)
・夏雪ランデブー(アニメ)
・ブレイブ・ストーリー(小説)
〇世界観
現代日本。物語開始の時期は、残暑がようやくなくなり、秋が始まるころ。
〇主要キャラクター
ツムギ(主人公。女。20歳の早生まれ。大学3年生。たまに授業をさぼってる。強かで自分のズルさをズルさと認めてる。でも、そのことに罪悪感を抱いている。恋愛経験は中学高校大学と、付き合う等をそれなりにしてきた)
ハルヒト(男。24歳。社会人。現在休職中。実の両親とは幼い頃から疎遠。育ての祖父は数年前に死別。実質、天涯孤独。育ての祖父がきっちり育てたおかげで、浅い人間関係は難なく適応できる。だが、深い人間関係の構築は、あまりしようとしない。同窓会で「そういえばいたなあ」って言われるような、存在感薄い。薄くしてる。祖父が死去する数日前に「大事な人、作れ」と言われたことが一種の縛りになっている)
ユカ(女。24歳。ツムギの姉。ハルヒトの元婚約者。お姉ちゃん気質もあってか、ハルヒトを気にかけた。ハルヒトと付き合って、ハルヒトの自分に向ける気持ちに違和感を積もらせる。積もりに積もって、ハルヒトに結婚への不安について話したものの、寄り添ってくれなかったため物語半年前、婚姻届に判を捺す前に姿を消す。ちゃんとハルヒトに理由をメッセージで伝えて)
ツムギとユカの関係性(姉妹仲は良好。お互いのことは、信頼してるし心配している)
全体の関係性は
ツムギ→→←←ハルヒト(→)ユカ
〇物語構成
第一章
祖父の残した家(平屋)で暮らすハルヒト(休職のため療養中)に、ツムギが毎朝通い妻もどきしている風景。
四年前の姉妹のお茶会。
ツムギがユカの口からハルヒトの存在を知る。
第二章
ツムギがハルヒトとともに、外出も兼ねてスーパーへ行くまでのひと悶着。少し前の買い物関連の話題提示。
三年前の姉妹の話。
ツムギがユカを通して、ハルヒトと小さな交流をする。
第三章
無事にスーパーに到着したツムギとハルヒト。買い物しながら、ハルヒトの小さな気遣いには気づいて、小さな甘えには気づかないふりをして甘えさせた。
昔姉妹でよく買った、駄菓子のラムネを見つけ、懐かしくなって眺めていた。後ろにいたハルヒトに聞かれ、懐かしさで気が緩んでツムギはユカの名前を出してしまう。
少し微妙な空気になっても、お互いそれ以上何か言ったりはせず、買い物を終え、帰路につく。
二年前の姉妹の話。
大学に合格したツムギを、ユカが祝う。
ユカのハルヒトに対する惚気とちょっとした不満と違和感をツムギが聞く。
ツムギが自分の腹の底にある、ユカへの羨望と嫉妬に気づかないフリをして、笑う。
第四章
ハルヒトの家に帰ってきたツムギとハルヒト。淡々と買ったものを仕舞うべき所に仕舞う。
立ったり座ったりしてたから、ツムギのポケットから、入れていたスマホが床に滑り落ちた。ハルヒトの足元の近くで、暗い待ち受け画面を上にして。
そのスマホに、着信が入った。ユカからだった。ツムギから、私も連絡できなくなったと聞いていたのに。
そのスマホを拾ったハルヒトがツムギに渡した。
スマホを受け取り、ツムギがハルヒトから離れて一つ謝罪を口にして電源をそのまま切った。
ツムギがハルヒトのところに戻れば、ハルヒトが笑っていた。静かにツムギの帰宅を促す。
ツムギが玄関から出て、しばらくしてから鍵のかかる音が聞こえた。
半年と少し前の、姉妹の話。
プロポーズをされたというのに浮かない顔のユカに、ツムギが不思議がる。
いわゆるマリッジブルー。
ツムギに話して、たくさん話して、ユカが自分が抱いた違和感の正体に気づく。
そして、ユカは姿を消した。
第五章
半年と少し前の、ツムギとハルヒトの話。
以前ユカから聞いた、ハルヒトの家にツムギがやってくる。
ツムギをユカと勘違いした寝起きのハルヒトに、ツムギが自分がユカじゃないことに気づかせる。
自分自身を見てほしかったから。
ツムギが自分にとって都合のいい、でも自分の首を絞めるような約束を、ハルヒトにする。
「ユカちゃんのこと、好きなままでもいいんです。
なんでもいいんです。
ハルヒトさんが元気になるまで、一緒にいます」
ユカのことも大事で、ハルヒトのことも大事で、自分自身のことも大事で。
結局みんな、傷ついた。
第六章
鍵をかける音がしてから四日後。翌日行く勇気はなかった。
ハルヒトの家に来て、ツムギは半年と少し前のデジャヴュを起こした。玄関の落ち葉に滑って、玄関の引き戸を開けた。デジャヴュを見た。
ツムギとハルヒトは静かに静かに話し合う。押しつけもなく、駆け引きもなく。
そして最後に、ユカと話がしたい話が聞きたいと、ハルヒトはツムギに伝えた。
第七章
ツムギのスマホを持って出かけたハルヒトをツムギは待っていた。
お昼頃の時間、ハルヒトの部屋がお昼寝するのに最適だといつの日だったか聞いた。
今頃なんの話をしているんだろう。気になるけど、昼の陽気に眠気が抗えない。
※※※※
大きな公園の大きな池の周りに、設置されたベンチに、ハルヒトは座っていた。ツムギの姿はない。でも手には、ツムギのスマホを持っている。
ツムギのスマホが鳴った。深呼吸をして遠慮がちにスマホの通話ボタンを押した。
聞こえてきたのは、いなくなってしまった、ユカの声。
近況を報告しあって、ゆっくり静かに話し合う。
ごめんなさいとありがとうを言い合う。
「変わったね」
「ツムギちゃんのおかげ」
「……もう、ツムの言った、元気にはなったの?」
「……いや、まだだよ」
「……ハル。どうか幸せに」
「ありがとう。……ユカも、どうか幸せに」
優しい決別をして、通話を終えたハルヒトが立ち上がり、池の向こう側のベンチで泣いているユカを潤んだ視界にほんの少しだけ捉えた。
※※※※
ぽやぽや。ふにゃふにゃ
ツムギは、もし起きたときに、ハルヒトが帰ってきていたら、お帰りなさいって伝えよう。そう思った。
そう思っていたのに、玄関の開く音、廊下を歩く音、ふすまを開く音、全部聞こえていたのに、まどろみの中、ただ薄っすらと瞼を開くだけ。
「もう少し寝てて」
その声とともに目の前に、手の影がかかった。視界が暗くなって、眠気が再度深まった。
「ありがとう」
優しく穏やかな声。頭の方に、何か固いものが置かれる音。
「おやすみ」
ツムギの少し離れたところで、何かが横たわるような音が聞こえた。
目を覚ます頃は、まだ遠い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます