美凪side ③ 前編 その③
美凪side ③ 前編 その③
「さて、それでは隣人さんをメロメロにする為におめかしをしましょうか」
間借りしている彼の部屋に入った私は、昨日購入した洋服に身を包みます。
オフショルダーのワンピースにペリドットのネックレスを身につけて、私は鏡の前に立ちました。
「やっぱり、この姿は少しだけ恥ずかしいですね……」
肩がざっくりと開いたオフショルダーのワンピース。
首元のネックレスも私に似合っていて、とても素敵だと思います。
その……ですが、やはり彼以外の人間に肌を見せる。と言うのには抵抗があります。
夏には水着になる予定です。
こんなものよりもっと露出度が高くなるのは間違いありません。
ですが、カップル限定みたいなところに連れて行ってくれる。と話していました。
きっと、あの優待券を使って誘ってくれるのでしょう。
彼に見せても恥ずかしくない体型をしてる。と自負していますが、彼のご飯はとても美味しいです。
た、体型を崩さないように気を付けなければ行けませんね。
なんてことを思いながら、私はストールを手に取りました。
「ストールを買っていたのは、やはり正解でしたね」
そう呟きながら私はストールを肩にかけます。
露出が控えられてこれなら外を歩いても良さそうな感じがしました。
「今日も髪の毛にウェーブをつけようと思います」
昨日も彼には好感触でしたからね。
ふふーん。デートの時だけの『特別』にしてあげようと思ってます。
私はアイロンを手にして、鏡の前に椅子を用意して座りました。
「お待たせしました、隣人さん」
身支度を終えた私は、居間に待つ隣人さんに声をかけました。
「いや、別に気にしなくていいぞ。そんなに待ってな……」
振り向いた彼は、少しだけ目を丸くしていました。
わ、悪くない感触だと思います。
私は隣人さんに問い掛けました。
「ど、どうですかね……」
返ってきた彼の言葉は私の予想を遥かに超えるものでした。
「……綺麗だ。隣を歩くのが恐れ多い位にな……」
そ、それは言い過ぎだと思いますよ……
ですがここまで言ってくれるのはとても嬉しいです。
「そ、それは言い過ぎだと思いますよ……ですが、ありがとうございます。隣人さんもとてもかっこいいですよ!!」
昨日買った洋服は彼にとても良く似合っています。
そこら辺のモデルやアイドルなんか目じゃないレベルだと思います。
それに昨日はつけてなかったチョーカー。
ワンポイントになっていてとても素敵です。
「ははは。ありがとう、美凪。とりあえずお前の隣を歩いても許されるレベルには持ってけたとは思っていたんだけどな」
「何を言ってるんですか、隣人さん。貴方だってそこらのモデルなんかよりもずっとオシャレでかっこいいです。それに、そのチョーカーも素敵ですね。良く似合ってますよ」
私のその言葉に、隣人さんは少しだけ苦笑いを浮かべながら言葉を返しました。
「これは厨二病を拗らせてる時に買ったものだからな。ある意味では思い出の一品とも言えるかもしれないな」
「あはは!!隣人さんの黒歴史も、役に立ったんじゃないですかね」
「そうだな。でも、流石に腕に鎖を巻くのは辞めておいたよ」
腕に鎖ですか。遊戯〇のネタですね!!
私はクラピ〇に憧れてた時代が長かったです!!
「気持ちはわかりますが、デートの格好では無いですね。私は指輪と鎖をセットにしてた時がありましたよ」
「あはは。本当にお前は女の子だったのか?と思いたくなるような趣味だな」
こんな可愛い女の子に!!な、なんてことを言うんですか!!
「むーー!!失礼ですね!!この超絶美少女の美凪優花ちゃんに向けるセリフじゃないですよ!!」
「あはは。ごめんな、美凪」
彼はそう言って私に謝罪を入れると、真剣な表情で私に手を差し伸べました。
「美凪優花さん。俺とデートに行ってくれませんか?」
もう。そこまで言うなら仕方ありませんね!!
私は彼の手を取りながら微笑みを向けてあげました。
「ふふーん。貴方がそこまで言うなら良いでしょう。この美凪優花ちゃん。隣人さんとデートに行ってあげますよ」
「今日も楽しく過ごそうな、美凪」
「はい!!今日もよろしくお願いします、隣人さん!!」
笑顔でそう言ってくれた隣人さんに、私も笑顔で答えてあげました。
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