第12話 社会福祉士K
社会福祉士Kは仕事から帰ってきて部屋に入ると煙草を一気に三本吸った。仕事のストレスからだろう、やけになって椅子に深く腰掛け煙を深く吸い込んだ。
社会福祉士Kはベッドに横になった。
「ああ、なんだかドキドキするな。心臓の鼓動でまったく頭が冴えちまった。なんてこった。これじゃあまるで眠れやしねえ」
5分後
「やっぱり煙草というのはいけないねぇ。こんなに鼓動が止まらないってどうかしてるわ。酒なら良かったのかな。猫をベッドに入れるのでもよかった、なぜってあたたかいから」
5分後
「ああ、お隣さんのこのアパートの奴、佐藤某っていうんだが、佐藤某、今日も部屋に女を連れ込んでやがる。ワァ、やら、キャン、やら、アンアン、やら、壁から聴こえてくる。とっかえひっかえして、まるでありゃあ猫かワンちゃんだ....」
社会福祉士Kは暗闇を見つめた。
「明日は仕事だ。俺は人のために生きたい。小さい頃からそう思ってたんだ(ここで隣の家の雄鶏が鳴く)もう朝か?!そんなはずはない。まだ暗闇、真っ暗闇だ.....いや....なんだあれは、向こうの方の奥に銀の裂け目が見える....光っているが、空間が裏返ってるような感じ.....」
5分後
「銀の点、5分たったらこんどは不味そうなパンケーキみたいに膨れ上がりやがった。どんな物質で出来ているのか、これじゃまるでわからん。さっきはこんにちは、ってしかも喋ったんだ。生き物でもあるらしい。と、こうしているうちにも銀の点がどんどん膨張していっている。俺は怖ろしくなってきたよ」
5分後
「もうついに銀のモヤモヤは私の部屋に充満した。裂け目があったので、入ったら、虹色の無があってな...鶏がこんがり焼けた匂いに...」
社会福祉士Kはその夜失踪した。
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