第39話
「ゆっくりしろ、と言われてもねぇ」
【役所】の建物内にある食堂にて、ウカノはぽそりと言った。
その横では、ライドが手当たり次第にフライドポテトやら丼物やらをかき込んでいる。
なんやかんやで、すでに昼食の時間を過ぎていたのだ。
「農業ギルドの食堂のご飯も美味しいっすけど、ここのご飯もめっちゃ美味っす」
「そりゃ良かったな」
言いつつ、ウカノも腹が減っていたので自分の分の食事を食べ始めた。
と、そこにパタパタと小走りに現れる者がいた。
昨夜、ちょっとだけ話したミズキである。
「あ、いた!
ねぇねぇ!!コレ見てください!!」
なんて言って、その手に持った物騒な大鎌を見せてくる。
と、その背後から、
「返してくださいよー、それ、俺のデスサイズ~」
なんて言いつつ銀髪の美少女がやってきた。
「えーと、だれ?」
ライドがミズキと銀髪美少女を交互に見て、ウカノへ説明を求める。
ウカノは、
「えっと、こっちがミズキさん。
そっちの人は、知らない人だ」
ウカノの視線を受けて、美少女が頭をぺこりと下げる。
それから、名乗った。
「あ、えと、はじめまして。
シャーロット、です」
その自己紹介に、ミズキが意外そうな顔をした。
「そっちの名前にするんだ」
「この姿なら、そっちの名前の方がいいかなとおもって。
それに、海外っぽい世界観ならやっぱり【シャーロット】かなって。
それよりも、それ俺の武器です。返してくださいよ。
振り回したら危ないですし」
と、よくわからないことをシャーロットはミズキに言っている。
「凄くデカイ鎌っすねぇ。
お嬢さんの武器なんすか?」
「あ、はい」
ライドの質問に、シャーロットは頷く。
そんなやりとりに構わず、ミズキがウカノへ大鎌を見せてくる。
「アエリカさん達が、ウカノさん専用の武器作ってるって聞いて。
その候補としてどうかなって思ったんです。
けど武器開発は上手くいってないらしいし。
アエリカさんも、エステルさんも、姿が見えなくて」
「……はぁ」
「そしたら、ウカノさんがここでご飯食べてるって聞いて。
どうせなら機能だけじゃなく、デザインの参考に見てもらおうかなって考えて」
「それで持ってきたと?
大鎌を?」
「はい!
だってこれ、カッコよくないですか?
デザインとか死神みたいだし。
なにより、これ、今のところあのクリーチャーを一発で倒せる唯一の武器らしいですよ!!」
「え、そうなんですか?」
ウカノは、本当か?と持ち主であるシャーロットを見る。
シャーロットは、困惑していた。
「どうなんでしょう?
たしかに、ゲームに出てくるモンスター、まぁデザインが違ったのでイースターエッグとしてのモンスターだと思って、この鎌を使ってあのモンスターを倒したのは事実ですけど」
「いーすたー??」
「あ、こっちの話です」
「とりあえず、シャーロットさんはその大鎌を使って、怪我することなくあのクリーチャー、敵を倒した、と?」
「え、えぇ、それは事実です」
「すごいなぁ。俺なんて怪我したとこが焼けただれたり腐ったりしたから」
ウカノはしげしげと、いまだミズキの手の中にある大鎌を眺めた。
ミズキが口にしたように、それは絵画の中で描かれている死神が持つ大鎌だった。
「名前もあるんですよ」
武器を褒められて嬉しかったのか、シャーロットがそう説明した。
「名前?」
「はい。
【
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