ガラスの薔薇

猫山 水海 (ねこやま みう)

プロローグ

プロローグ



主に銅を多く産出することで、順調に国力を増し、発展してきたローエングリン王国。


その国には、不思議な慣習があった。


未来の王妃を選出する際、国宝であるガラスの薔薇を使用する。


王位を継ぐ者には、左小指に必ず、薔薇の痣があった。


王と王妃と占術者が選んだ娘が身につけると、ガラスの薔薇は世継ぎの王子のその痣と共鳴した。


よりよく王子の薔薇の痣が疼き、心に響く王妃が正妃になれる。


それは、王子が12歳になった日に、まずは第一候補、正妃となるべき有力な娘が王宮に招かれ、初めて顔合わせとなっていた。


通常ならば、王と王妃の導きによって、婚儀のすべてが進行される。


しかし、二人は暗殺されてこの世にはいなかった。


世継ぎの王子であるローゼルが、二十歳の成人式の儀のことだった。


残されたローゼルは、すぐさま王となり、亡き両親が選んだ三人の娘から、自ら王妃を選ぶように動かなければいけない。


その前に、自分のやるべきことを済ませてからと、ローゼルは考え動いた。


ローゼルは、新体制を機に、改革を行う。


まずは、暗殺事件の犯人探しとともに、湯水のように民から税金を引き上げていた官吏の動向を窺った。


王ローゼル自らの指揮で捕縛していき、それは二年かかったが功は奏した。


王妃を定める時期はきたが、第一候補の娘は王子の成人の儀にて召喚されていたが、改革の際に無惨に毒殺されてしまう。


王妃選びは、困難を極めていた。


ローゼルは、凛然とした粛清後は、華やかさが必要だと臣下に急かされていた。


十七歳と結婚適齢期ギリギリまで、待たせていた第一候補の娘。


必要時に、この世からいなくなってしまった。


他の候補者の一人は、十一歳と幼い上に、ローゼルの従姉妹。


ローゼルの母方の姉の娘で、力がありすぎて、権力的な問題があった。


もう一人は、亡くなった第一候補の妹だが、十二歳と幼い。


婚姻が結べる通常の適齢期、十六歳とは違っていた。


ガラスの薔薇に選ばれた存在は、必要不可欠。


正式な花嫁修業のためにも、王宮へ呼び寄せなければいけない。


その妹も姉と同じく、ドレスや宝石好きな噂が目立つ。


ローゼルは、最初の候補者だった娘の派手好きな性格を憂慮していた。


それゆえに彼自身、妹に対しても好感を持てずにいる。


ローゼルは、今春招き入れる妹には、まだ会っていない。


亡くなった姉は、誰もが視線を集めるほどの美貌の持ち主。


だが、彼のとって遊び女と同じ感覚だった。


見事な外見だけを誇示し、彼女の中身の下に何があるのか。


ローゼルは、知っている。


正確には、その下に何もないこと。


彼自身、身をもってわかっていた。


誰よりも華やかであっても。


ガラスの薔薇の色彩は足りない。


彼自身、すぐさま王妃にすることを躊躇した。


ローゼルは、亡き両親にきかされていた、滾るほどの情熱を抱くことが出来ずにいた。




~ガラスの薔薇は三つ、一つは王の王妃となる娘、あと二つは王の心次第 ~






※お読み頂きありがとうございます。

 恋愛ファンタジーです。

 楽しんで頂けたら幸いです。

 宜しくお願いします。


※追記

 初めから誤字脱字が!?

 初日指摘くださった方、本当ありがとうございます。

 感謝感激です。

 以後気をつけますが、どうも根本的抜けた性格なもので、見つけ次第直していきます。

 本当、気長に宜しくお願い致します。



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