きゅうぱら~弓道パラダイス~

霜花 桔梗

第1話 はじまり、はじまり。

 四月の新学期。

 これから、二年生になるのに、わたしは部活の新規勧誘の中に居た。

 あああ、誰か誘ってくれないかな。

 一年前、部活に入りそこねて、わたしは帰宅部になっていた。

「お姉ちゃん、なにしているの?」

 うん?妹のみつかである。みつかとは年子でこの春はれて、この高校に入学したのだ。

「えー、とこの辺を掃除しているの」

「はいはい、部活に誘って欲しいのですね」

「ま、そんなところ……」

 妹のみつなは弓道部のチラシを取り出す。

「この部にしない?」

 弓道部か……この高校にそんな部があったのかと考察する。

 確かに和を極めた恰好である、そんな姿の生徒を見かけたことがある。

 あれが弓道部かと思うのであった。


 天気は曇り空、春先の雨が心配な気分だ。

 チラシを頼りにして、わたしと妹のみつかは高校の校舎の裏に向かう。

 向かう道は笹でおおわれていた。

 ガサガサ、むむ、狸か?

 現れたのは黒と白の猫であった。

「にゃーん」

「お前も弓道部の所属か?」

「にゃーん」

 猫はすたすたと去って行く。

 更に進むと一戸建て、オンボロの部室があった。

 しかし、中は本格的な施設が整っていた。

 そして、玄関まで行くと。

「おや、新入部員だよ」

 金髪のポニーテールの女子が大声を上げる。

 すると、黒髪の女子も出てくる。

「わたし達、弓道部に入りたくて来ました」

 妹のみつかは社交性が高いな、知らない人でも簡単に会話ができる、

 それに比べてわたしはタジタジである。

「わたしは『鮎川 正美』二年生です」

「えー、と部長の『松里 木舞』です」

 部長を名乗る木舞は正美に隠れている。

 整理すると、女子弓道部は部長の木舞さんと正美さんだけである。


「新入部員は大歓迎ですよ」

 と言って、二人に案内されたのは掘りこたつであった。

「四人だと丁度いいです」

 木舞先輩は掘りこたつに入り。

 ぬくぬくしている。

 確かにまだ寒い日もあるが部員の二人は練習しようとしない。

「そうだ、ガールズトークをしましょう」

 正美さんが妙な提案をする。

 最新のファッションに学年一位のゴッシプネタ。

 近くのコンビニのスイーツの味。

 どれがガールズトークなのか分からないが。

 四人は意気投合して話し続ける。

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